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マルチタイプ急速充電器は運まかせ [ID.4をチャージせよ!:その9]


TEXT:生方 聡 PHOTO:生方 聡
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90kWは最初の15分だけ

友部サービスエリアの下りは、これまでは駐車場の奥のほう、商業施設から離れた場所に急速充電器が設置されていました。一方、新しい充電器は商業施設やトイレに近い場所に設置され、使い勝手が向上しています。ただ、充電待ちが発生した場合に、待機場所が用意されないのが惜しいところです。

それはさておき、急速充電ステーションに到着した時点で、他に充電しているEVはゼロ。これは好都合です! というのも、マルチタイプ急速充電器ではEVが90kW以上の急速充電に対応していても、複数のEVが同時に利用する場合は最大出力の90kWが得られないことがあるからです。ID.4の場合、最高94kWの急速充電(CHAdeMO)に対応しており、他の90kW急速充電器では74kW程度で充電できることを確認しています。

急速充電ステーションの駐車エリアにバックでID.4を停め、フォルクスワーゲン充電カードで認証したあと、充電コネクターをID.4に接続します。このマルチタイプ急速充電器は充電ケーブルが吊り下げ式で、左右どちらにも動かせるので、ID.4の充電口に楽に接続できるのがうれしいところです。

充電コネクターを接続したあと、充電器の確認ボタンを押すと充電がスタート。ID.4のコックピットに戻ると充電電力は70〜73kWと表示され、90kW急速充電器と同レベルで充電できていることがわかります。

しかし、15分が経過すると、充電電力はいきなり46kWに低下。というのも、このマルチタイプ急速充電器では「ブースト機能」が働く90kW充電は最初の15分だけで、その後は50kWに出力が抑えられるのです。それでもこのときは30分間で29.3kWhの充電ができました。50kW急速充電器で30分充電するときの充電量はだいたい23kWhくらいですから、50kW器よりも明らかに多いことがわかります。

ただし、複数のEVが利用している状況では充電量が減る場合も。これは大黒パーキングエリアで充電したときのことですが、ID.4だけの状態で充電を始めたときには74kWだった充電電力は、数分後に2台のEVが充電を始めたことで54kWに低下。15分が経過するとブースト機能がオフになり46kWに。その後、もう1台EVが到着すると36kWまで出力が落ちてしまいました。それでも最終的には23.3kWh充電できましたが、場合によっては50kW急速充電器を下回るでしょう。

このように充電量は運次第というマルチタイプ急速充電器ですが、急速充電器の数が1基だけというサービスエリアやパーキングエリアが多く、週末ともなると充電待ちがよく発生している現状では、マルチタイプ急速充電器の普及がその改善に貢献することが期待できます。首都圏に住む者としては、さしあたり、常磐道の守谷サービスエリアや、東北道の佐野サービスエリアあたりに設置してもらえるとうれしいですね!



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