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よし、銚子にいこう! 足回りは少し硬め・適度な加速感・安心のADAS
そもそも銚子に行こうと思ったのは、“水素自動車”がどのような車なのかを長距離乗ってみて試したいという理由からだ。あわよくば、ネッソを景色が美しい場所で撮影したいという思いもあり、海が美しく見える銚子の犬吠埼を目指した。
実際に走り出すと、モータードライブならではの適度な加速感を感じた。ただ、FFで車両重量が1,870kgと重めのため、若干のっそりとした感覚も否めなかった。以前乗った、同じくヒョンデのアイオニック5に比べると、加速感は控えめだ。いっぽう、ネッソはアイオニック5より少し硬めの乗り味で、ステアリングが軽過ぎるということもなく、ボディの動きがブレにくい印象があった。
ADAS装備も充実しており、車両停止まで行なえる全車速ACC、車線中央をキープするレーンキープ機能も備わる。ウィンカーで車線変更を試みると、ウィンカーを出した方の後方映像がメーターに映し出される。これらは2021年発売のアイオニック5でも同様のものが備えられており、見劣りしない。これまで言及をしていなかったが、ネッソは2018年に韓国で発売され、それが2022年5月に日本で売りだされた。5年前に発売されたものとは思えない、斬新な機能、デザイン性は、高く評価できるポイントなのではないか。
コックピットみたいな運転席、広々室内
最近の潮流を感じさせる大型ディスプレイ。センターコンソールは、若干ボタンの数が多いことが気になる。レクサスのCT200に似ているようにも感じた。CT200は車幅が狭めのため、このデザインはまとまりが良いのだろうと思っていたが、ネッソのように車幅が広くてSUVに近いタイプであっても、美しく見える。実によく考えられている。
ただ、残念ながら、ナビゲーションシステムが日本では対応していないようで、センターディスプレイはメディア関連や車両情報を映し出すだけに留まる。なお、Apple CarPlayやAndroid Autoが利用できるので、それで賄うと考えれば良いかもしれないが、やはりこのクラスの車であれば装備しておいて欲しいものだ。ちなみに、エニカでネッソを借りた際には、運転席側にパナソニック製のポータブルナビが備え付けられていた。運転席から視野が狭くなるので、正直微妙だと思った。
車内は広々している。サンルーフの搭載も相まって、開放的な車内になっている。また、フロントのみならず、リアにもシートヒーターを装備、KRELLプレミアムサウンドシステムによって心地よく音楽を楽しむことができる。
トランクルームは、後部座席を倒すことによってフルフラットに近い広い荷室を作ることができる。複数人で旅行にいくとなっても、余裕を持って積載することができるだろう。
さて、返却のお時間です
犬吠埼を後にして、帰路についたのが18時ごろだった。それから、返却場所の竹芝まで2時間半ほどかかる計算。もちろん、最後には水素を充填して…と考えていると、またもや、ひやっと事件が発生する。道中の水素ステーションは、20時には閉店する場所がほとんどだった。かろうじて21時まで営業しているのが、往路で入ることができなかった「イワタニ水素ステーション芝公園」であった。今度こそ、なんとしてでも入らなければ、という緊張感のある帰路となった。
無事ステーションに到着。今度は、問題なくステーションに入ることができた。充填装置自体は2基設置されているが、その時に稼働していたのは1基だけであった。前にはミライが2台いた。例によって1台あたり5分程度かかるので、自分たちの車の順番が回ってくるのは10分後。実際には12分ぐらいかかった。
このステーションも充填から支払いまで、全てスタッフが行ってくれる。しかし、車載のカードはENEOSと東京ガスの水素ステーションにしか対応していなかったので、自身のクレジットカードにて支払った。この場合、車両利用後にエニカの運営元に領収書を用意した上で問い合わせると、その料金分プラス300円分のエニカポイントが還元される。
東京タワーが見える抜群のロケーションにある水素ステーションが、今回のドライブの最後のスポットとなった。
総じて、ネッソに一言
今回のネッソの旅を通じて筆者は「現時点では、毎日の実用に燃料電池車を使うのは難しい」と思った。たとえ所有したとしても、移動できる範囲が狭いことを懸念して、この車を積極的には利用しないだろう。カーシェアという観点では、水素ステーションが近くにある都市部などの利用には適しているかもしれないが、それ以外の遠出や地方へのドライブは避けておいた方が良いかもしれない。
しかしヒョンデは果敢にも、日本再進出の際に、BEVのアイオニック5と燃料電池車であるネッソの2台のみで参入した。これからは水素が中心となる社会がくるのであろうか。今後の動向に注目をしたい。