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高額車両は補助金が減額に
それでは令和5年4月以降はどう変わるのか。この3月末から受付が始まる令和4年度補正予算と令和5年度予算案では、補助金としてそれぞれ700億円と200億円(予定)が確保される。これは令和3年度補正予算の375億円(インフラ導入促進補助金)と令和4年度本予算の155億円を合わせた額よりも約7割も多くなっている。
気になる補助金の額だが、算出方法は同じだが、次の制限が加わる。
- ・税抜840万円以上の高額車両は補助額を0.8倍した金額に
- ・補助金の上乗せには外部給電機能に加えて、省エネ法トップランナー制度の2030年度燃費基準の対象となることが必要(型式指定自動車)
税抜840万円以上の高額車には、「アウディe-tron」、「ジャガーIペース」「テスラ・モデルX」「BMW iX」、「ポルシェ・タイカン」「メルセデス・ベンツEQE」などが該当し、高価格・高性能の輸入EVを買おうという人には、ちょっと気になる変更である。
経済産業省の資料によれば、高額車両の補助金を減らしたのは、「価格低減を促す観点から」とのことだが、具体的に補助金の額がどう変わるのか、試算してみよう。
たとえば、「アウディe-tronスポーツバック55クワトロSライン」(税抜1137万2727円)の場合、令和4年度の補助金額は、
3,000×(423ー160)×176.2÷236+50,000=639,075円
の63万9000円だが、令和5年4月からは0.8倍の51万1000円に減額になる見込みだ。
一方、外部給電機能がある「メルセデス・ベンツEQE 350+」(税抜1134万5455円)では、
4,000×(624−160)×176.2÷176+50,000=1,908,109円
上限額の85万円を超える場合は、これを0.8倍して68万円となる。上限額が65万円のモデルなら52万円である。
つまり、税抜840万円以上の高額車両は現在の2割減、最大17万円の減額になる。840万円を大幅に上回るモデルは手の施しようがないが、840〜1000万円程度なら、装備の一部をオプション化し、車両本体価格を840万円以下に抑えてくるブランドが現れるに違いない。
経済産業省では3月中旬ごろに対象車両ごとの補助金額を公表する予定で、3月下旬頃から申請の受付を開始するという。
今後のこうした動きについては、補助金の執行団体である「次世代自動車振興センター」からの発表をチェックしてほしい。