スポーツカー好きにもアピールするスタイリング
東京都の郊外、八王子駅にほど近い、真新しい公共施設でアウディQ4 e-tronの試乗イベントは行われた。プレゼンテーションを実施する広大なホールの中に十数台の試乗車が収められており、そこから搬送用の廊下を経てジャーナリストたちが公道での直接テストドライブに赴く。排ガスを出す内燃機関車の時代には考えられなかったシーンだ。我々に預けられた試乗車は「Q4 スポーツバックe-tron 40 Sライン」(716万円〜)。20インチ・タイヤを履く、最もスポーティなモデルである。
薄暗いホールの中で見るクールなカラーのQ4 スポーツバックは、全長4,590mmという数字から想像するよりも大きく感じられた。大きなタイヤを四隅に配し、ベルトライン(サイドウィンドウとドアの境目)も高い位置にあるから、かなり嵩高くマッシブで、第三者的な視点では近寄りがたい印象すら受ける。
そうしたボリューム感に加えて、フロントとリアのフェンダーにはそれぞれ深いキャラクターラインが彫り込むように加えられている。ファストバック風に弧を描くルーフから下りてきたリアエンドには、ダックテール風に跳ね上がったスポイラーも備わる。スタイリッシュさを重視してスポーツカーを乗り継いできたようなクルマ好きをもエキサイトさせるような外観だ。
インテリアもまたスポーティだ。小径のステアリングホイールは上下をストレートにカットされており、グリップの部分にはパンチング・レザーが巻かれる。エアコンのアウトレットはシャープな造形とされ、中央のメイン・モニターは若干ドライバーの方へ傾けて設置されている。
座ってみると広い後席
ルーフライン後方を絞り込んだQ4 スポーツバックe-tronは、室内も黒一色だったため広々とした印象とまでは言えないものの、前席頭上はアーチ状のルーフラインのため十分余裕があり、かつ後席に座ってみると前席までの距離はかなり広く取られていて、身長171cmの筆者が適切な運転姿勢で前席のポジションを決めて後席に移った場合、ひざ前には拳2個半ほどの空間が残される。さらに、動力を伝えるシャフトが室内には通っていないため、後席に3人乗っても中央の人が窮屈な思いをしなくて済むのがいい。
ラゲッジスペースは5人乗車でトノーカバーを被せた状態において520Lの容量を持つ。バックレストを倒せば1,490Lまで拡大可能だ。床面の長さは実測で88cm、幅は最も狭いところで98cm、広いところで130cmであった。
アウディの通例どおりパッケージングへの配慮も入念なQ4 e-tronだが、フロントのボンネットの下にはパワーステアリング等の補機類しか収まらないにもかかわらず、荷物を載せられるスペースになっていないのは意外だった。兄貴分のアウディe-tronやe-tron GTでは小さいながらもラゲッジスペースが設けられているので、Q4にも拡大してもらえればユーザーは喜ぶだろう。
ピアノブラックのパネルに置かれたスライド式スイッチからDレンジを選び、アウディQ4を発進させる。周囲の歩行者に危険を知らせる低い唸りが発進加速時には発せられる。がっちり作られたドイツ車らしさを想起させるサウンドだ。
Audi Q4 Sportsback 40 e-tron S-line