#THE視点
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
NEXCO各社、2025年までにEV急速充電器を1,100口に大幅増設……デイリーEVヘッドライン[2023.04.14]

高速道路外のEV充電器の利用も2024年から実施 FCEVにも同様の措置を 【THE 視点】NEXCO東日本・中日本・西日本各社と株式会社e-Mobility Powerは、高速道路のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)におけるEV・PHEV向け急速充電口数を2025年度までに約1,100口に増設すると発表した。 今回の発表によれば、2020年度末からの5年間で約2.7倍に増えることになる。単に増やすのではなく、高出力化・複数口化も推進していくというのがポイントだ。 さらに、高速道路外に整備されたEV急速充電器も「高速道路内の充電器」として利用可能となるよう、課金・決済等を含めて制度を整え、2024年度から順次実施できるよう検討を進めていくという。これらが整えば、高速道路利用時のEVの充電がよりしやすく便利になる。 高速道路における急速充電器の大幅な増設計画や複数口化は想定内の発表であったが、今回は新制度の課金・決済の導入も発表された。 これは従来の時間課金だけではなく、従量課金制度にも移行することと理解でき、充電料金に対する不公平が是正されることになる可能性もある。 言い換えれば、今はほとんどが充電時間で課金されているのが、ガソリン給油と同じように、入れた量だけ課金されるようになると言える。 さらに画期的と思われたのは、高速道路を一旦出て充電する場合にも、充電しないで通過する料金と高速代が同じとなること。例えれば、EV充電のためならば、初乗り運賃を気にせず途中下車ができるということ(時間制限あり)。これは、PA・SAの充電器が埋まっている場合、そこに近い一般の充電器を利用しやすくなる非常に便利なシステムとなる。 ただ、この制度はEVとPHEVを対象としたものであり、FCEVを日頃の移動の足としている筆者にとって羨ましく思う。 水素ステーションは今日現在、高速道路のPA・SAにひとつもないのだ(現在、東名足柄SAに建設中)。そのため、高速を降りて水素を充填することも多々ある。できれば、NEXCOグループには是非ともFCEVもその施策の仲間に入れてほしいと切に願うばかりである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、EV関連事業に24兆ウォン(約2兆4,000億円)を投資……2030年までに31のEVモデルを発表 ★★キア、EV専用工場を起工……年間生産15万台規模、2025年後半に生産を開始 ★★日産、「アリア」をリコール……コンビネーションメーター上の速度表示が出なくなるおそれ ★★JR西日本、水素燃料電池列車を開発へ……駅などを活用した総合水素ステーションの設置も計画 ★富士急行、沼津駅南口に新商業施設「Plaza Fontana-Numazu Station-」を開業……エネチェンジの普通充電器(最高出力6kW)2基を設置[詳細はこちら<click>] ★日本IBM、自動車業界のエグゼクティブに対するEV意識調査を発表……「2030年までにEVへの支出は61%増加し、販売シェアは40%になる」「内燃機関への支出は2040年までに半減」と予測  ★米マック・トラックス、ユタ州のウェストバレーシティの清掃業者にEVのパッカー車を納入……「マックLRエレクトリック・リフューズ・ヴィークル」を8台、最高出力448hp(334kW)/最大トルク5,493Nm(559kgm)のツインモーター式 ★EVバイクのMSソリューションズ、原付一種クラスのEVスクーター「スーパーソコ・シーユーミニ+」に新色を設定……オレンジとレイクブルーを追加 ★日産、フォーミュラEのルーキーテストに2人の選手を参加……FIA F3チャンピオンのビクター・マーティンズ選手とF2優勝経験者のルカ・ギオット選手

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日産、「サクラ」の電源でエレベーターを15時間駆動に成功……デイリーEVヘッドライン[2023.04.13]

日立ビルシステムと共同実証に成功 6階建エレベーター往復416回分 【THE 視点】日産自動車と日立ビルシステムは、「日産サクラ」からの給電のみでエレベーターを15時間連続稼働することに成功した。 日産と日立ビルシステムは、EVからの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2Xシステムの普及に向けた協創の取り組みを実施している。 今回はその第2弾として、「サクラ」のバッテリーの電力を使用し、外部給電可能な残電力10%に至るまでの連続稼働実験を実施。その結果およそ15時間の連続稼働を実証した。 6階建ての試験棟に設置されたエレベータを実験環境として設定。実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点で「サクラ」のバッテリー残量が10%となり、エレベーターも安全に停止したという。 筆者の個人的な経験で恐縮だが、以前二十数階のいわゆるタワマンに10年程度住んでいたことがある。その期間中、停電でエレベーターが動かなかった時が3回あった。1階と2階にあるロビーは、エレベーターが動くのを待つ人であふれた。まだ少し若かった筆者は、二十数階の自宅に階段で登ることができた。階段数は500程度だったと記憶している。 地震等で停電が今後もあることを考えると、老後までタワマンに住むのは難しいと思い、その後低層のマンションに引っ越した。このエレベーターの件もその理由の一つである。 今回の実証のように、マンション側にV2Xの受け入れができるようであれば、住民が保有しているV2X対応のEVを予め登録しておき、災害時など停電となった場合に使用できればエレベーターを稼働させることが可能になる。住民は最低限帰宅できるわけだ。 この有用性が認知されればマンション内に遅々と進まない充電器の設置なども推進されることも考えられる。ただ、エレベーターによっては安全確認後ではないと稼働できないものもあるため、普及には遠隔確認システムを確立させるなどの条件がいくつか付きそうではある。 しかしタワマンでの停電被害の大変さを実体験した筆者からすると、EVの災害時等の活用事例として非常に良い取り組みだと感じる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★GM、リチウムの自社生産体制を強化……米エナジーXと提携し塩水からのリチウム精製技術を開発 ★★フォード、カナダ・オンタリオ州の工場をEV向けに改修……18億カナダドル(約1800億円)の大規模投資、2024年第2四半期に改修開始 ★★テラモーターズ、新潟県村上市にEV充電器「テラチャージ」を100基導入……3年以内に市内施設へ順次設置 ★★トヨタ、「クラウン」にFCEV追加を正式発表……セダンモデルに設定、2023年秋頃発売[詳細はこちら<click>] ★メルセデス・ベンツ、2023年第1四半期のEV販売台数は5万1,600台……前年同時期比89%増、全車の販売台数のうち10%を占める ★レクシブ、神奈川県小田原市に「日産サクラ」を5台導入……平日は公用車、休日はカーシェアとして民間に供与 ★住友金属鉱山、電池材料事業を拡大……次世代正極材料の開発を加速、電池研究の試験設備と開発棟を建設 ★プラゴ、ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルと提携……2024年末までに系列ホテル30カ所にEV充電ステーションを開設 ★イヴェコ、スペイン・セビリア市にEVバスを納入……市内の路線バス用に全長12m級を5台を納入 ★アバルト、「500e」の擬似エンジン音の開発に6,000時間以上と公表……「ステランティス・サウンド・デザイン・スタジオ」が担当、車内にエンジン音を再現[詳細はこちら<click>] ★ブレイズ、EVモデル第2回試乗会を開催……4月21日(金)・22日(土)、本社駐車場(名古屋市中村区)にて

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
フォックスコン、米オハイオ州で自動運転EVトラクターを生産……デイリーEVヘッドライン[2023.04.12]

自動運転が人手不足と身体負担を解消 脱炭素・脱騒音のEVトラクターは日本にも有用 【THE 視点】ホンハイ・テクノロジー・グループ(フォックスコン)は5月4日、米国オハイオ州で自動運転対応のEVスマートトラクター「モナーク MK-V」の生産を開始し、最初の5台をラインオフしたと発表した。近くユーザーに引き渡される。 2020年に一般公開された「モナークトラクター」は、次世代のEVテクノロジーと自動化機能で農業業界を変革し、農家の最も差し迫ったニーズを満たしているという。フォックスコンは「モナーク MK-V」シリーズの商業生産を、予定通り今年の第1四半期に開始する。 農業においても、人手不足の解消や排ガス・騒音などクリーン化が求められる中、自動運転とEV化によるクリーンな農業がその解決策となる。それらはアメリカだけでなく日本においても同様の課題だと認識している。 特に広大なアメリカや北海道の農場では、自動化による労力の削減は農場経営者に大きな恩恵をもたらすだろう。 もちろん日本においても、例えば都市部の再開発事業で自然公園を設け、そこに畑などを開いた場合、EVトラクターがあれば騒音を気にせず作業ができるといったメリットも考えられる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、韓国ポスコ・ホールディングスと提携を検討……EV駆動用モーターの素材の量産やバッテリー用素材の調達など ★★ポールスター、「ポールスター4」を「上海モーターショー2023」で発表……SUVクーペタイプの新型EV[詳細はこちら<click>] ★★トヨタ自動車傘下のウーブン・プラネットHDが「ウーブン・バイ・トヨタ」に改名……EVを含む次世代車の開発と車載OS「アリーン」の開発を加速[詳細はこちら<click>] ★テスラ、「モデル3」「モデルY」のCEV補助金額を公表……2023年4月1日からの登録車両は65万円 ★DeNA、EV転換シミュレーター「FACTEV」をオートリース企業向けに試験提供……ゲーム開発などのシリコンスタジオが開発に協力 ★BMWグループ、2023年第1四半期のEV販売台数が6万4,647台……純粋なBMWブランドでは5万5,979台 ★ボルボ、2023年第1四半期のEV販売台数が世界合計3万69台……前年同時期比157%増 ★ユアスタンド、最高出力6kWの家庭用小型充電器を予約開始……ウォールボックス社と代理店契約、「パルサー・プラス」を輸入販売[詳細はこちら<click>] ★日本レンタカー、屋久島と種子島でEVのレンタルを開始……「スバル・ソルテラ」を2台ずつ配備 ★DIC、リチウムイオンバッテリー用の新素材「ウォーターゾール-LB」を開発……環境負荷の少ない負極用水系バインダー素材、バッテリーの長寿命化に ★岡山大学、「リチウム空気電子」を長寿命化するカーボン新素材を発見……従来のカーボン正極材に対して6倍以上の充放電サイクルを実現

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
VW、新型EVセダン「ID.7」を4月17日に初公開……デイリーEVヘッドライン[2023.04.11]

新世代プラットフォーム「MEB」を使用 EVリムジンとしてのポジションを狙う 【THE 視点】フォルクスワーゲン(VW)は4月5日、新世代EV「IDシリーズ」のフラッグシップモデル「ID.7」を4月17日にワールドプレミアすると発表した。VWの新世代プラットフォーム「MEB」が用いられたシリーズ初のセダンモデルで、販売は欧州・中国・北米の予定。 実車は現在スペインの山岳道路で最終段階の開発テスト中という。搭載されるパワーユニットも「ID.7」用により強力な新しいものが用意されるとのこと。 航続距離は、バッテリー容量に応じて最大700km(WLTC)で、最高出力200kWの急速充電に対応する。この航続距離には、高効率の新パワートレインと優れた空力性能が貢献している。 高い走行性能を保持するとともにインテリアの快適性も追求したという。VWは、革新的なテクノロジーと高品質の外観を備えた「ID.7」で、アッパーミッドサイズクラスの長距離旅行用のEVリムジンとしての地位を明確に位置付けていく。 日本での販売はアナウンスされなかった「ID.7」であるが、航続距離700kmという数値に見られるように高性能さは容易に想像できる。日本には「ID.7」はもちろんEVセダン自体が少ないだけに、導入を希望するユーザーは多いのではないだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、「上海モーターショー2023」にEVを出展……「MINIクーパーSEコンバーチブル」は世界初、「MINIコンセプト・エースマン」は中国で初公開予定 <関連記事> ・MINI初のオープンEV「クーパーSEコンバーチブル」製品詳報[詳細はこちら<click>] ・純正ホイールに変化。MINI(ミニ)が電気自動車に採用したホイールはエコなだけでなく、スタイリッシュで空力にも配慮[詳細はこちら<click>] ・MINI Concept Aceman(コンセプト エースマン)が日本初上陸、3月5日まで一般公開も実施[詳細はこちら<click>] ・次期MINIクロスオーバーEV版の詳細が公開。航続距離450kmでツアラーとしてのポテンシャルも[詳細はこちら<click>] ★テスラ、中国で大型蓄電システム「メガパック」を生産へ……年間1万個製造、「カリフォルニアでの生産量を補う」とマスク氏 ★横浜ゴム、「アドバンV61」が「レクサスRZ」の純正タイヤに採用……EVに求められる高い静粛性と転がり抵抗の大幅低減などを両立[詳細はこちら<click>] ★裏面でも発電可能なソーラーパネルを備えたカーポートが発売……三谷産業/三共立山/三共アルミの3社協業、路面からの反射光でも発電 ★V2Hのニチコンとオリコが包括的業務提携……V2Hの普及やオリコの決済サービスの活用などについて協業 ★台湾ホンハイグループのフォックスコン、米オハイオ州で農業用EVトラクターを生産……米モナークトラクターと提携、予定通りにEVトラクター「MK-V」シリーズの生産を開始 ★テスラ、2023年第1四半期は44万808台を生産……納入は42万2,875台

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
アウディ、リユースバッテリーを活用した充電ハブをベルリンに開設……デイリーEVヘッドライン[2023.04.10]

リユースバッテリーの電力で急速充電 ハブ自体への充電はグリーン電力を使用 【THE 視点】アウディは4月6日、ベルリンの中心街にEV充電施設「Audi charging hub(アウディ・チャージング・ハブ)」を開設したと発表した。本施設はニュルンベルクやチューリッヒに続いて3番目となる。 新設の本ハブでも、リユースバッテリーが蓄電装置として使われた。蓄電装置を使用することで、各充電器では、320kWの安定した出力で車両を充電することができる。 またこの施設では、4口のコネクターを持つコンパクトな急速充電器が用意されているが、コネクターは需要に応じて6口まで増やすことも可能とのこと。 蓄電装置への充電は、商業施設のFrischeparadiesからの電力を使用するが、商業施設のエネルギー需要が低い場合にのみハブに電力供給がされる仕組みを取る。その電力はグリーン電力だという。EVには、ハブに設置されている1MWhの容量の蓄電装置から安定的に電力が供給される。充電料金は、1kWhあたり0.35ユーロ(約50円)と他の充電料金のおよそ半分だという。 ベルリンの中心街では、EVユーザーの多くは自宅に充電設備を持っていないため、都市の中心部での急速充電ステーションの設置を望んでいたという。充電の待ち時間にショッピングや食事を楽しむこともでき一石二鳥だ。 首都の中心街に充電ハブを作りグリーン電力で稼働させ、さらにリユースバッテリーを活用して急速充電を可能とした「アウディ・チャージング・ハブ」は、急速充電ステーションのひとつの理想形と言えるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、2026年までに新型EV10車種を投入……FCEVは商用車として量産化目指す[詳細はこちら<click>] ★★フォルクスワーゲン、「ID.7」のテストをほぼ完了……4月17日(月)にワールドプレミア ★★新生ランチア、新型コンセプトモデルの新たな部分画像を公開……オープンモデルか、4月15日(金)ワールドプレミア ★★ヒョンデ、「アイオニック6」が「ニューヨーク国際オートショー2023」で受賞……「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・エレクトリック・ビークル」の三冠王に[詳細はこちら<click>] ★テスラ、インフレ抑制法によるクレジット額を公開……本国公式webにて、各車価格と控除額は以下 ・「モデル3」:車両価格4万1,990ドル〜/最大控除7,500ドル ・「モデルY」:車両4万9,990ドル〜/控除7,500ドル ・「モデルS」:車両8万4,990ドル〜/控除記載なし ・「モデルX」:車両9万4,990ドル〜/控除記載なし ★フォード、商用EV「E-トランジット・クーリエ」を欧州で発表……2024年後半に生産開始、欧州の商用車らしい2ボックスタイプのボディ ★GMC、「ハマーEVオーバーランダー・コンセプト」を2023年夏終わりに発表……オフロードカスタムメーカー「アース・クルーザー」とコラボ ★キア、2030年までにEV160万台の販売を目指す……2027年までにEV15車種を投入 ★米スーパー大手のウォルマート、店舗でのEV急速充電を大規模拡充……2030年までに数千台規模 ★ユビ電、オムロンベンチャーズをリード投資家に3億円の資金を調達……スマホで決済可能な充電サービス「WeCharge」の普及などを目指す ★安川電機、2022年度の売り上げは5,560億円で増収増益……リチウムイオン・バッテリーやEV関連が好調、23年度もプラスの見通し ★トルコ新興のTogg、ブランド初のEV「T10X」を出荷開始……航続距離523km(WLTP)のミドルクラスSUV ★ゼロホーム、CEV補助金の申請代行受付を開始……V2H補助金も代行

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日本製EVがアメリカでの税優遇から除外……デイリーEVヘッドライン[2023.04.07]

米財務省が「インフレ抑制法」による減税指針を発表 北米生産以外のEVは税優遇の対象とならず 【THE 視点】米財務省は3月31日、消費者がクリーンビークル(EV、PHEV等)を購入する際の税優遇の指針を発表した。いわゆる「インフレ抑制法」で、日本・欧州・韓国が求めていた北米以外で生産した輸入車への優遇適用が見送られた。 これにより、措置が見送られた国の車両は税優遇を受けられないまま販売を継続するか、北米で現地生産に切り替えるかの判断を迫られることになる。ただし、バッテリーに使用される重要鉱物の割合を北米産とした場合など一部税優遇を受けられる措置は、日本などの要求を受け入れた。 このインフレ削減法の対象となる北米産の車両は、最大7,500ドル(約100万円)の税優遇を受けられることになる。ちなみにフォードからは、ピックアップEVの「F-150ライトニング」で7,500ドル、乗用EVの「マスタング・マッハ-E」で3,750ドルの税優遇となるとの発表があった。 今回のアメリカでの税優遇の対応については、EVの販売拡大が著しい中国に対抗するとともに、国内の産業振興にもつなげたい狙いがあると思われる。 日本・欧州・韓国は北米での工場建設に動き出しているが、今回の指針が23年4月から始まることから、しばらくの間はアメリカでの販売において苦戦をしいられることになる。 これまで日本政府もアメリカと交渉はしてきたが、結局は受け入れられなかったという残念な結果となった。日本国内での販売よりも輸出の方が多いメーカーもある。日本メーカーにとっては今後販売台数に大きく影響が出ることが予想される。 日本にも、CEV補助金[詳しくはこちら]があるが、生産国による差別はされていない。来年以降の改善を望まざるを得ない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォード、米インフレ抑制法を受けて税額控除対象になるEVを発表……「F-150ライトニング」「マスタング・マッハE」「E-トランジット」の3台、各車クレジットも決定 ★★ステランティス、EVピックアップトラック「ラム1500REV」を発売……バッテリー容量168kWh/航続距離563kmと229kWh/804kmの2種類を用意[詳細はこちら<click>] ★アウディ、リユースバッテリーを活用した充電拠点「アウディ・チャージング・ハブ」をドイツ・ベルリンに開設……最高出力320kWの急速充電に対応した3番目の充電ハブ、既存の電力インフラをそのまま利用 ★自動運転EVのチューリング、「J-Startup企業」に選出……経済産業省主導のスタートアップ支援施策、「世界の自動車業界進出に向けた高い技術力」などが評価 ★メルセデス・ベンツ、スウェーデンの極寒地で次世代のブレーキシステムをテスト……EVモデルへの使用を見据えた開発[詳細はこちら<click>] ★東洋紡と三菱商事が合弁会社「東洋紡エムシー株式会社」を設立・事業開始……車両の軽量化が可能な高機能樹脂開発など推進 ★西武バス、EVバス2台の運行を4月上旬から開始……[清63] 清瀬駅北口~けやき通り~旭が丘団地系統に導入予定、安全性対策済み

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
メルセデス・ベンツ、新型EV「EQE SUV」を欧州で発売……デイリーEVヘッドライン[2023.04.06]

セダンの「EQE」よりもホイールベースを短縮 最高出力180kW(245ps)〜300(408ps)の4グレード展開 【THE 視点】メルセデス・ベンツは5日、2020年12月に受注を開始したミドルサイズのSUV型EV「EQE SUV」を欧州で発売した。 今回発売となったのは、後輪駆動の「EQE 300」「EQE 350+」2車種に、四輪駆動の「EQE 350 4MATIC」「EQE 500 4MATIC」2車種の4車種。価格は8万3,478.5ユーロ(約1,185万円)から。 「EQE SUV」には、「EQS」や「EQE」同様にメルセデスの新しい電動プラットフォームが与えられるが、この「EQE SUV」は「EQE」のホイールベースを90mm短くして、「SUVらしからぬアジリティ」を表現したという。 動力性能は、最高出力180kW(245ps)~300kW(408ps)で、最大トルクは一番大きいもので858Nm(87.5kgm)と非常に強烈である。 一充電あたりの航続距離は、セダンの「EQE」と同じ90.6kWhのバッテリー容量で最大596km(WLTC)。この「EQE SUV」には、先日のデイリーEVヘッドライン[詳しくはこちら]でも取り上げたアイシン製のサンルーフが採用されたのも特徴だ。 「EQS SUV」は既に日本でもお披露目済みだが、「EQE SUV」はまだだ。日本での導入時期などは2023年中ということ以外は明らかにされていない。 ホイールベースが短くてバッテリー容量がセダンの「EQE」と同じ。ということは、ホイールベース間のスペースを余裕を持って設計していたということだろう。今後のバリエーション展開もあると思われる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新世代EVモデル「カントリーマン」の生産を開始……最高出力230kW(312ps)、バッテリー容量64.7kWなど性能値も公表[詳細はこちら<click>] ★★ボルボ、EV特化型店舗「ボルボ・スタジオ東京」を青山(東京都港区)にオープン……EV特化型としては世界初[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、商業施設「ガレリア・ユギ」(東京都八王子市)にEV用充電器を設置……「Terra Charge」の急速充電器も導入 ★豊田合成、ミリ波レーダーを備えた発光エンブレムを開発……レクサスの新型EV「RZ」に世界初採用 ★ボルボ、2023年第1四半期の販売台数は16万2,938台……うち完全電動モデルのシェアは18% ★フォード、第1四半期のEV売り上げが41%増の1万866台……EVモデルの生産能力を増強へ ★電力シェアリング、EVのタイムシフト充電で特許を取得……V2GやV2HでのCO2削減効果の算定・評価・取引の技術を開発 ★佐賀県基山町が「基山町脱炭素型カーシェア事業」を実施……「日産リーフ」「三菱eKクロスEV」を1台ずつ導入、ソーラーカーポートやV2Hシステムも導入 ★ホンダのインド二輪子会社HMSI、インド国内にEVバイク専用工場を建設……2024年度にEVバイク2台を発売、「ホンダ・モバイル・パワー・パックe:」も活用

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
テスラ、「モデルY」にロングレンジモデル追加……デイリーEVヘッドライン[2023.04.05]

航続距離605km(WLTC)を達成 走り重視の「パフォーマンス」とどちらを取るか 【THE 視点】テスラは4月4日、ミッドサイズのSUV「モデルY」に航続距離が長い仕様の「ロングレンジ」モデルを追加した。納車は5月末から開始される。一充電あたりの航続距離は605km(WLTCモード)となり、価格は676万600円(税込)に設定された。 従来の「RWD」(後輪駆動)モデルは航続507kmで価格は583万4,600円。対して「パフォーマンス」(AWD)は595kmで754万4,600円。「ロングレンジ」は航続距離をグレード中最長としながら、価格的には両車の中間を埋める形となる。 テスラはバッテリー容量やモーター出力などについては未公表だが、車両重量からみるとバッテリー容量は航続距離も近い「パフォーマンス」と同じと思われる。ちなみに、それぞれの車重は「パフォーマンス」が2,000kg、「ロングレンジ」が1,980kgだ。 しかし動力性能は大きく異なり、「パフォーマンス」の 0-100km/hの加速性能は3.7秒、「ロングレンジ」では5.0秒となる。合わせて最高速度も「パフォーマンス」が250km/hで「ロングレンジ」が217km/hだ。この性能の違いは、モーターやインバーターの違いによるものと思われる。 購入を検討している人は、文字どおりにパフォーマンスを重視するか、航続距離を含めたコストパフォーマンスを重視するか、悩まなければならない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アークエルテクノロジーズ(AAKEL)と日東工業、EV充電システムで連携……日東工業の普通充電器「Pit-2Gシリーズ」でスマート充電システム「AAKEL eFleet」の機能が利用可能に[詳細はこちら<click>] ★EV開発のGLM、車載用サブバッテリーを開発……商用車向け、バッテリー容量は2.45kWh

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVカートを使用したレベル4の自動運転を認可……デイリーEVヘッドライン[2023.04.04]

国土交通省が国内で初めてレベル4を認可 2kmの区間を12km/hで走行 【THE 視点】国土交通省中部運輸局は、全国で初めて運転者を必要としない自動運転車(レベル4)を認可したと発表した。福井県永平寺町で移動サービスとして運行する車両について、道路運送車両法に基づき3月30日付けで全国初の認可となった。 この自動運転車両は運転者を必要としないが、走行エリアは限定される。自動運転を継続することが困難な状況(故障や天候の急変等)が生じた場合に安全に停止することが可能だ。 今回認可された車両は、ヤマハ発動機製の電動カートを国立研究開発法人産業技術総合研究所が改造し、自動運転機能を追加したもの。道路に敷設した電磁誘導線上を追従しながら12km/hで走行するが、限定領域内ということで今回の運行区間は約2kmにとどまる。 今後国内では、走行エリアが限定された自動運転シャトルバスなどが走り出す見通し。レベル4での運行状況を見ながら安全性を確認し、やがては場所・条件を問わずに、いつでもどこでも自動運転が可能でハンドルのない水準のレベル5「完全運転自動化」を目指すものと思われる。 海外では自動運転レベル4の車両が既に走っている国もあるので、ようやく日本もそれに追いついた感じだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、高性能EV「アイオニック5 N」の極寒テストを実施……ー30℃の北極でテスト、2023年7月デビュー予定[詳細はこちら<click>] ★★エネチェンジ、ルートインホテルにEV充電器を導入および更新……全国214店舗に最高出力6kWタイプの普通充電器「EV充電エネチェンジ」を設置 ★京急バス、小型電気バスを上大岡山地区(上大岡駅~大岡交番前・笹堀・岡村梅林入口・泉谷公園~岡村・泉谷循環)で運行……「BYD J6」を使用、六価クロム対策済み ★ウィル、成田空港第1・2ターミナル内で自動運転サービスを開始……1人乗りの電動パーソナルモビリティで計4台を稼働 ★日産、EVコンセプトモデル「マックスアウト」を中国で公開……「上海モーターショー2023」に出展[詳細はこちら<click>] ★トヨタとCJPT、タイでカーボンニュートラルを推進……タイのCharoen Pokphand Groupと基本合意しEVなどを提供へ ★GCストーリー、ソーラーカーポートの導入を法人向けに無償サポート……「ソーラーカーポートPPAモデル」を開始、EV用充電コンセントやV2Hの設置も相談可能

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
車工会とCJPT、商用EVの架装対応に向けてワーキンググループを設立……デイリーEVヘッドライン[2023.04.03]

商用EVの普及に避けて通れない架装 円滑な開発実現に向けて積極的に情報開示・共有を 【THE 視点】3月31日、トヨタ自動車やいすゞなどが加盟するCJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)は、商用電気自動車の普及にあたって課題の架装について解決に動き出した。 車工会(日本自動車車体工業会)と連携し、初の試みとして架装メーカーおよび関連架装機器メーカー(以下、業界各社)と共に、商用車電動化のワーキンググループを設立。商用EVと架装に関わる課題と対応の方向性を共有したと発表した。輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラルの実現への貢献を目指す。 商用車の中でも、小型・中型トラックは「はたらく車」の中核で重要な社会インフラと言える。トラックの電動化を進めるうえでは、架装においても従来とは異なる技術的対応が必要。架装の種類や方法は多種多様であり、今後それらの電動化に向けて開発を円滑に行うため、CJPTは業界各社の輪を拡げ、商用EVの普及を着実に進めていくという。 トラックの多くはカタログモデルではなく、荷台などを架装業者が製作して1台の働くクルマとしてデリバリーされている。 これがEV化となると、高電圧バッテリーや車両制御の通信などエンジン車とは異なる仕様となるため、架装作業が難しくなる恐れがある。エンジン等から外部への補助駆動としてPTO(パワー・テイク・オフ)などが付いた車両では尚更だろう。また、FCEVトラックなどは、高圧水素を搭載しているためタンクやその周辺機器などが多い。架装業者にとってはブラックボックスであり改造を躊躇する課題ではないだろうか。 筆者もこれまでに、改造のEVトラック・バス、そしてFCEVのトラック・バスの開発に携わってきたので、架装業界が抱えている不安は理解できる。電動車両を、これまでのエンジン車のように汎用的に改造・架装ができるようになるこの取り組みは、架装業界にとって非常に重要で、トラックなどの電動化推進に寄与するものと考え歓迎する。 是非とも電動車両のシャシーを販売するメーカーには、架装がスムーズにできるような車両の開発と、より多くの架装情報を提供して頂きたいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マツダ、「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を日本初公開……「オートモビルカウンシル2023」にて[詳細はこちら<click>] ★★国土交通省、レベル4(無人)の自動運転車を認可……ヤマハ発動機のEVカートを産業技術総合研究所が改造、「永平寺参ロード」(福井県永平寺町)のうち2kmを走行 ★★ジープ、「ラングラー・マグネトー3.0コンセプト」を初公開……AWD・6速MTのEVオフローダー[詳細はこちら<click>] ★ デンソー、SiCパワー半導体を用いたインバーターを開発……EVの航続距離を延伸、レクサスの新型EV「RX」に初搭載※SiC:シリコンカーバイド[詳細はこちら<click>] ★レゾナック、デンソーのインバーターに「パワー半導体用SiCエピウェハー」が採用……「レクサスRZ」のインバーターに、熱の発生・電力損失を低減 ★フォード、リチウムイオン・バッテリー用のニッケルをインドネシアで生産……インドネシアVale Indonesia社と中国Zhejiang Huayou Cobalt社と提携、バッテリー価格の低減を目指す ★エネチェンジ、3自治体の施設に普通充電器(最高出力6kW)を設置……福岡県北九州市/同みやま市/神奈川県横須賀市の公共施設に ★日産、「アリア」の長距離冒険がスタート……北極から南極を目指して2万7,000kmの旅、12月にゴール予定[詳細はこちら<click>] ★エネルギー事業の鈴与グループ、「カーボンニュートラル宣言」を表明……社用車のEV化および車両管理システムを導入 ★BYD、新規店舗「BYD AUTO 越谷」(埼玉県越谷市)を4月7日(金)にオープン……国内3店舗目のショールームを備えた正規ディーラー ★BYD、ドライブレコーダー等のアイテムをプレゼントする企画「スプリングフェスタ」を実施……工賃を含めて20万円相当をサポート、5月31日(水)まで ★BYD、「普通充電器・V2H機器 導入サポートキャンペーン」を実施……設備費用最大5万円をサポート ★トヨタ、燃料電池車「ミライ」の電力で新宿御苑の桜をライトアップ……「NAKED桜の新宿御苑2023」(東京都新宿区)を4月23日(日)まで開催 ★IHI、航空機推進系の小型大出力モーターの試作に成功……容積3L級に収めた250kW(340ps)級、将来的に1MW(1,360ps)以上を目指す

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