ファミリー向け居住性重視の「bZ3X」とZ世代向けパーソナル空間重視の「bZ3C」 トヨタは「知能化」「電動化」「多様化」を軸に、モビリティカンパニーへの変革に向けた中国での取り組みを紹介するとともに、顧客ニーズに寄り添った商品、サービスを通じて、新しい価値を創造していくことをテーマに、2024年4月27日から開催の北京国際モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)に出展した。 そして、地域ごとに最適な複数の方法でカーボンニュートラルを目指すトヨタの戦略「マルチパスウェイ」を通じて開発されたトヨタのバッテリーEV「bZシリーズ」の名を冠した新型車、「bZ3C」および「bZ3X」を世界に向けて初公開した。 この2台が中国市場を強く意識したクルマであることをトヨタは強調している。トヨタ副社長・チーフテクノロジーオフィサーの中嶋裕樹氏は、「中国のお客さまが笑顔になるBEVとは何か。このテーマを中国のパートナーとともに探求し、送り出すのが『bZ3C』と『bZ3X』です」と新型車を紹介。 bZ3CとbZ3Xは、2023年の上海国際モーターショーでコンセプトカーを公開し、量産化に向けて改良を施したクルマで、複数の企業と共同開発したモデルになっている。この2モデルは今後1年以内に中国での発売を予定しているという。 「bZ3C」は、4社による共同開発車だ。トヨタ、BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY カンパニー、一汽トヨタ自動車、そして中国のトヨタ知能電動車研究開発センター(以下、IEM by TOYOTA)が「Reboot」をコンセプトに掲げ共同開発を行った。 画像を見てもわかる通り、モデル名末尾の「C」はクーペスタイルの「C」と理解していいだろう。アクティブで象徴的なスタイリングを採用したこのクロスオーバーBEVの「bZ3C」は、Z世代と呼ばれる若い世代の顧客層をターゲットとし、パーソナルな空間を楽しめる機能を追求した内容が盛り込まれているという。 「bZ3X」も4社が手を取り合って共同開発したモデルだが、その企業内訳が異なる。トヨタとIEM by TOYOTAの2社は変わらぬが、bZ3Xには広州汽車集団、広汽トヨタ自動車が共同開発にあたっている。 bZ3Xはその車種名からも想像がつくように、日本でも販売されているBEV「bZ4X」と同じSUVタイプのモデルだ。心地が良い動く家を意味する「COZY HOME」をコンセプトに、大空間で快適な居住性を実現したファミリー向けSUVのBEVになっている。 どちらのモデルも最新の運転支援システムやスマートコクピットを搭載し、安全で快適なドライブに加え、新しい体験価値を提供するとトヨタはリリースで説明している。 EV大国の中国において、このトヨタの新型BEVが存在感を示せるのか注目する一方、日本国内のトヨタブランドからは、bZ4Xの後に続くBEVモデルが登場していないのが少々残念だ。bZ3Cにはクラウンスポーツに通ずるデザイン性の高さを感じるので、簡単でないことは重々承知のうえだが、見た目で「欲しい!」と思わせるこのモデル、BEVセールス向上の起爆剤として国内投入されることを願わずにはいられない。
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