2種類のグレードを用意 ソニーホンダが初の量産車であるアフィーラ1を正式発表しました。そしてアフィーラ1のEV性能から判明した日本メーカーの現状を分析します。 まず、ソニーとホンダが合弁して立ち上げたソニーホンダモビリティは、すでにアフィーラと名付けられたコンセプトモデルのEVを発表しています。テスラの充電規格であるNACS規格を採用するなど、市販車バージョンのEV性能に注目が集まっていました。 そして、1月のCESにおいて正式発表されたアフィーラ1について、車両サイズや主要EV性能、そしてソニーが手がける自動運転システムやソフトウェアの一部機能が公開されました。競争力を競合のEVと徹底比較していきましょう。 まず、アフィーラ1は、エントリーグレードのOriginと上級グレードのSignatureという2グレード展開となります。Signatureグレードでは専用の内外装カラーを選択できたり、21インチホイールや後席用12.9インチタッチスクリーンがふたつ搭載されるなど、装備内容がより充実しています。 また、納車が優先されるのはSignatureであり、北米においては2026年中旬に納車がスタート。日本国内でも2026年末までに納車がスタートします。対するOriginの納車スタートは2027年にずれ込んでしまいます。 さらに、北米市場でアフィーラ1を購入できるのは、当初カリフォルニア州に在住しているユーザーに限定されることも発表されました。順次それ以外の州でも発売を予定していると発表されたものの、実際の反響であったり需要を見極めてからという流れになりそうです。 次に、EV性能について、91kWhのバッテリーを搭載して前後にそれぞれモーターを搭載したAWDグレードを標準設定。そして、EPA基準で航続距離483kmを確保しました。また、充電性能は最大150kW級の急速充電に対応し、北米仕様・日本仕様ともにテスラのNACS規格を採用することで、テスラスーパーチャージャーを充電アダプターなしに使用可能となります。 それでは、このアフィーラ1の直接の競合車種となるであろうテスラ・モデルSおよびエグゼクティブセダンとして競合関係となるLucid Airとを詳細に比較分析していきたいと思います。 まずバッテリー容量について、アフィーラ1の91kWhというバッテリー容量はいたって標準的なバッテリー容量です。Lucid Air Touringは92kWhとほぼ同等のバッテリー容量であり、テスラ・モデルSにも100kWhが搭載されています。 そして、航続距離と電費性能という点について、Air Touringの場合、92kWhバッテリーでEPA基準653kmを確保しています。つまり、アフィーラ1はAirとほとんど同じような電池容量を搭載しているにもかかわらず、EPA基準で170kmも航続距離が短く、電費性能でまったく勝負になっていないのです。 さらに懸念するべきは充電性能です。確かにNACS規格を採用しているという点は、北米と日本でEVを販売する上で重要であるものの、その充電出力は最高でも150kWと、モデルSやAir Touringの250kWと比較すると劣ります。 おそらくアフィーラ1に採用されるプラットフォームやバッテリー、BMS、およびパワートレインの多くが、アキュラZDXと共有しているのではないかと推測しています。というのも、ZDXには102kWhというバッテリー容量が採用されており、ホンダのオハイオ工場で生産されることを加味すると、バッテリーに関連するプラットフォームはZDXなどと共通化し、そのバッテリーセルの数を調整しているだけなのではないかと考えられるからです。 さらに、ZDXのAWDグレードでは、前後モーターによって得られる最高出力は360kWと、じつはアフィーラ1とまったく同じスペックです。よってアフィーラ1は、EVの主要コンポーネントを、GMと共同開発したアキュラZDXと多くを共有しているのではないかと推測可能なわけです。