#日産
TEXT:桃田 健史
日産創業の地・横浜工場で次世代に向けて進化を準備。エンジン累計4000万基突破取材会で明らかになったこととは?

日産の横浜工場で製造されたエンジン総数が2023年6月に累計4000万基を超えた。それに伴い、「エクストレイル e-POWER」等に搭載するVC-ターボの製造工程を公開。さらに、横浜工場の次世代化について方向性を示した。 1933年創業からDNAを継承 京浜工業地帯の一角にある、日産自動車横浜工場は、1933年に日産(当時:自動車製造株式会社)が創業した地である。1935年には、日本初の自動車一貫製造工場として稼働した。生産したのは、ダットサン14型だった。 その後、1965年に神奈川県内の座間工場完成に伴い、横浜工場はエンジンやサスペンション等のユニット生産工場に特化し、現在に至っている。2010年には、「リーフ」対応の電気モーター、また2019年にはe-POWER用モーターの生産も開始した。 日産横浜工場長の和田民世氏は「ここは、生産技術開発部門と協働し、圧倒的なものづくり力で量産条件をグローバルで展開する、グローバルパイロットプラントだ」と、日産にとっての横浜工場の立ち位置を表現する。 VC-ターボの生産技術詳細を初公開 日産は今回、横浜工場での生産累計4000万基突破に伴い、量産エンジンとして世界初となる圧縮比を可変できるターボチャージャー付エンジン「バリアブル・コンプレッション・レシオ・ターボ(略称VC-ターボ)の生産技術をメディア向けに初公開した。  理論上、ガソリンエンジンにおいて、圧縮比を上げるほど理論熱効率も比例して上がる。だが、あまりに高い圧縮比では、シリンダー内で混合気が自然着火するノッキングなどが発生する。そうしたガソリンエンジンの基本特性を踏まえた上で、エンジンの運転中に圧縮比を可変することがガソリンエンジンの理想の形であると、長年に渡り言われてきた。 実際、「(一時期、日産と技術連携していた)メルセデス・ベンツも、圧縮比が可変するエンジンを試作したが量産が難しく実現していない」(日産エンジニア)という。日産では、こうした技術難関を、高強度部品の製造技術、高精度部品の加工技術、高精度部品のバラツキをコントロールする組立技術、さらに新材料と新工法にチャレンジすることで実現した。 技術的には、ピストンの上下運動を、U(アッパー)リンク、Lリンク(ローワーリンク)、Cリンク(コントロールリンク)の3部品の動きを、VCRアクチュエーターを介して作動させることで、圧縮比の可変を行っている。 そうした設計図の上での理論を、横浜工場における「匠」の技術を自動化した生産技術によって、リアルワールドでのパワートレインとして量産しているのだ。

TAG: #全個体電池 #工場 #日産
TEXT:岩尾 信哉
ルノー・日産・三菱アライアンス、資本提携関係を見直し 日産、ルノーのEV子会社への出資を決定

変化するルノー・グループと日産の関係 ルノー・グループ、日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社は2023年2月6日、英国ロンドンで会見を行い、ルノー・グループと日産の取締役会での承認を経て、3社のアライアンスをより高いレベルに引き上げることを目指す旨を発表した。 会見の内容として重要なのは、ルノー・グループと日産の資本比率がそれぞれ43%、15%から、どちらも15%に変更されたことだ。日産としては1999年のルノーとの資本提携から20年以上を経て、ようやく「不平等条約」の解消にこぎ着けたことになる。なかでも注目すべきは、ルノー・グループと日産が将来のEV開発に向けて、新たな取り組みを共同で実施するとしている。 世界市場での電動化モデル販売の拡大 今回のアライアンスの発表として、以下のような概要が明らかにされた。注力すべきマーケットとして、ラテンアメリカ、インドおよび欧州において、事業の拡大などのアライアンス強化を推進するとしている。 ラテンアメリカでは、ルノー・日産の協業によるアルゼンチンやメキシコでの新型車の投入を含むピックアップモデルの販売強化などを公表。メキシコでは、日産が20年ぶりにルノー・グループ向けに新型車を生産するとしている。EVに関しては、EV専用のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)-AEVプラットフォームをベースとした、日産とルノー・グループの「手頃な」AセグメントのEVを2車種投入するとされる。 市場拡大が見込まれるインドでは、ルノー・グループと日産は、複数の新型車プロジェクトでの協業を検討しつつ、中南米地域と同様にAセグメントEVの導入を検討するという。 ルノー日産による次期B/CセグメントのEV開発 ルノー・グループの主要市場であるヨーロッパについて見てみると、詳細は未公表ながら、将来への取り組みの検討が公表されている。 2026年以降のEVのラインナップに関しては、ルノー・グループと日産は、次世代CセグメントEVにおける協業の可能性を模索するとされる。将来的に技術水準となるような充電時間を達成するために、ルノーと日産は共通の800Vアーキテクチャーの採用を検討するなど、欧州市場向けモデルにおける技術の共有を継続するとした。 具体的には、2026年からルノーのEV生産子会社であるフランスの「ルノー・エレクトリシティ」で生産を予定。従来のCMF-BEVプラットフォームをベースとした将来の日産のコンパクトEV (Bセグメント) など、既存のプロジェクトとともに開発等を推進していくという。 いっぽう、ルノー・グループと三菱自動車は、ルノーの「キャプチャー」「クリオ」の資産を活用し、CMF-Bプラットフォームをベースとした次世代「ASX」「コルト」の2車種の新型車を開発予定としているが、電動化に向けた動きは明らかにされていない。 このように将来的にはアライアンス内でのEVのA/Bカテゴリーはルノー、C/Dは日産がカバーするとしており、三菱に関しては検討中となっている。 既存の長期ビジョンとしては、日産の「Nissan Ambition 2030」やルノーの「Renaulution」が謳われている。これらに基づき、アライアンス・メンバー各社の事業計画を補完するよう立案された今回のビジネスプランは、「各社の持続可能な成長や脱炭素化に向けた目標の実現に向けて、共通性や投資機会の面から活用されます」としている。 具体的には、各社の新たな取り組みに関して、異業種のパートナーが参加可能となるようなビジネス戦略を展開する。電動化や低排出技術について既存の戦略に沿って進めるとともに、ビジネスのうえで付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意したという。 前述のように、日産は2021年11月末に「Nissan Ambition 2030」を発表している。今後5年間で約2兆円を投資して電動化を加速するとして、2030年度までにEV15車種を含む23車種の新型EVを投入予定としている。日産はグローバルの「電動車」のモデルミックスを50%以上へ拡大。技術面では、次世代の高性能バッテリーとして注目される全固体電池を、2028年度に市場投入するなどとしている。

TAG: #ルノー #三菱 #日産
TEXT:TET 編集部
EVを含む次世代自動車の試乗会を横浜市が開催……デイリーEVヘッドライン[2023.02.08]

メーカーの垣根を超えた次世代自動車の試乗会を横浜市が企画 【THE 視点】横浜市は、EVをはじめとした次世代自動車の試乗イベント「Zero Carbon Yokohama 次世代自動車試乗会 in みなとみらい」を開催する。  同市は「横浜市地球温暖化対策実行計画」に基づき、温室効果ガス排出削減を進めるため次世代自動車の普及を促進している。その一環として各自動車メーカー・販売店と連携協定を締結。その第2弾のイベントとして開催する。  試乗車は「トヨタbZ4X」「トヨタ・ミライ」「日産サクラ」「ホンダe:」「マツダMX-30 EV MODEL」「CX-60 PHEV」「三菱eKクロスEV」「アウトランダーPHEV」「ヒョンデ・アイオニック5」の9車種。  これだけの車両が一度に展示・試乗できるのはなかなかないだけに、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。「EVなどの次世代自動車が欲しいがどれにしようか悩んでいる」という購入検討者には大変良い機会であるはず。昨日の「THE視点」でも触れたが、やはり実車を見て乗って、スタッフから話を聞きたいと思う人も多いのではないだろうか。  例えば試乗会で販売店のスタッフと話ができれば、その流れでディーラーにも行きやすいはず。こういった試乗会はぜひ全国規模で開催してほしいものである。  ちなみに横浜市は次世代自動車の普及促進に力を入れていて、燃料電池車購入やEV用充電設備導入の補助金などを用意している。  このようなイベントは、開催する横浜市をはじめ展示車を提供する地元ディーラー、ユーザーそれぞれにメリットがあると感じる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★BMW、メキシコに8億ユーロを投資……現地で高電圧バッテリーアセンブリーを生産 ・BMW、ライプツィヒ工場でバッテリーセルのコーティングラインを稼働……高電圧バッテリーの生産を強化[詳細はこちら<click>] ・マツダ、自動車用モーター可変界磁技術の開発で「NEDO省エネルギー技術開発賞」を受賞……モーターの実用域の効率改善と回生量を増加、今後EVにも技術を適用 ・ルノー・グループと日産、欧州で両社販売店における充電インフラの共同整備を検討……使用済みバッテリーと生産廃棄物のリサイクルについても共通パートナーを選定 ・東レ、韓国でPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂「トレリナ™」の生産能力を年産5,000トンに増設……EVの電装部品に使用する素材 ・アウディ、IT系人材400人を新規雇用……eモビリティのソフトウェア開発を強化

TAG: #bZ4X #eKクロスEV #MX-30 #THE視点 #アイオニック5 #サクラ #デイリーEVヘッドライン #トヨタ #ヒョンデ #ホンダ #ホンダe: #マツダ #ミライ #三菱 #日産 #福田雅敏
TEXT:TET 編集部
ダイワハウス、全社用車EV化で「日産サクラ」を導入……デイリーEVヘッドライン[2023.02.06]

ダイワハウス、全社用車EV化で「日産リーフ」を導入、充電器はクリーンエネルギー由来に 【THE 視点】大和ハウスグループの大和リビングは、2026年度中に全社用車(ガソリン車)をEVに切り替えるとともに、事業所の駐車場敷地内に再生可能エネルギー由来のEV充電設備を設置すると発表した。  大和ハウスグループは、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」に基づき、創業100周年を迎える2055年までに、グループ、グローバル、サプライチェーンを通じて「環境負荷ゼロ」の実現を目指している。  その取り組みの一環として、中期的な計画や目標を定め、事業所で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えるなど脱炭素の取り組みを推進している。  今回、大和ハウスグループの中期環境行動計画「エンドレスグリーンプログラム2026」の最終年度である2026年度までに、全社用車のEVへの切り替えや、事業所の駐車場敷地内に再エネ由来のEV充電設備を設置することとしたという。  その第一弾として、2023年3月までに全社用車(348台)の約2割にあたる70台をガソリン車からEVへ切り替え、全国36事業所の駐車場敷地内にEV充電設備を設置。車両は2月2日より「日産サクラ」を順次導入するとしている。  ダイワハウスはこれまでも、慶應義塾大学が2004年に公開したEV「ELIICA(エリーカ)」(8輪駆動で最高速度370km/hを達成したスーパーEV。実は筆者も開発のお手伝いをさせて頂いた)の開発に協力したり、バッテリーメーカーのエリーパワーへの投資など、EV関連事業をおよそ20年も前から支援してきた。  今回の発表は、ダイワハウスのこれまでのEVへの取り組みの流れをくんでいると思う。充電設備に使う電力を再生可能エネルギー由来にすることは、電力を使う側から提供する側に視野を広げたということであり、同社のEV関連事業が一歩踏み込んだ領域に入ったのではないだろうか。  これまでの経緯からも、今後もグループでEVの導入が推進されるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★関西電力、EV充電ネットワークサービス構築に向けて実証実験……住友三井オートサービス等パートナー企業内でEV充電器をシェア、一般利用も視野 ・双日、BYDの正規ディーラーを展開……「BYD AUTO横浜中央」(2023年4月)、「BYD AUTO名古屋北」(2023年中)の2店舗を予定[詳細はこちら<click>] ・令和4年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(令和4年11月8日〜令和5年3月31日の新車新規登録(新車新規検査届出)分)が決定……一般社団法人次世代自動車振興センター発表 ・トヨタ・オーストラリア、今後3年間で3車種のEVを導入と発表……「bZ4X」を皮切りに ・埼玉県小鹿野町でグリーンスローモビリティを実証運行……JAFとヤマハが協業し予約不要で乗車可、2月8日〜21日まで運行 ・日産、島根県邑南町と連携協定……EVを通じて脱炭素社会の実現を推進、災害発生時には「リーフ」等から電源供給

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TEXT:TET 編集部
日産、オープンのEVコンセプト「Max-Out」(マックスアウト)公開……デイリーEVヘッドライン[2023.02.03]

日産、EVのオープンカーコンセプト「Max-Out」(マックスアウト)を初公開 【THE 視点】日産はEVコンセプトカー「Max-Out」(マックスアウト)の実車を初公開した。このコンセプトカーは、2021年11月に長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した際にバーチャルで公開した2人乗りEVオープンカーである。 持続可能で革新的なモビリティを普及させていく日産の決意を具現した「マックスアウト」は、日産グローバル本社ギャラリー(横浜市西区)にて、2月4日(土)〜3月1日(水)まで展示される。 今回公開された「マックスアウト」は、「クルマとの一体感を基本コンセプトにした開放感とダイナミックなドライビング体験を予感させるデザインが特長」というアナウンスのみで諸元などの詳細は不明。ただのコンセプトカーなのか、今後発表されるモデルになるのか興味はあるが、2ドアのオープンカーというと、「フェアレディZ・ロードスター」「シルビア・ヴァリエッタ」などを思い出す。「フェアレディZ」は昨年発売されたばかりなので、「マックスアウト」はもしかしたら「シルビア」の後継モデルかもしれない。 同時にYouTubeで動画も公開され、マックスアウトの他に2台のコンセプトカーが並走していた。その中で興味を持ったのはピックアップ。この時期の発表だけにEVだと想像する。 アメリカでは、フォードやダッジ、GMなどからピックアップトラックのEVがすでに発売されている。この日産のピックアップも、将来EVとしてデビューすることになるだろう。恐らくアメリカなど海外向けではないだろうか。 アメリカでは日本の軽自動車のように、地域によっては一家に1台の感覚でピックアップを所有している。 日本では少し大きいと感じるが、筆者もピックアップが好きなだけに、適当に乗り置ける広い庭があってピックアップもある生活もしてみたいものである。だいぶ話が脱線した。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) これだけは知っておきたい本日の注目ニュース ★★ホンダ、「CR-V」ベースのFCEV(燃料電池車)を2024年に発売予定……水素エネルギー施策を推進 ★★ホンダ、燃料電池システムの施策を強化……FCEV(燃料電池車)・商用車・定置電源・建設機械の4つを軸として、2020年半ばには外部への販売も目指す ★Gachaco(ガチャコ)、ウーバー・イーツと協業……Gachaco対応の「ジャイロ・キャノピー e:」10台で実証実験 ★Terra Motors(テラモーターズ)、本田圭佑氏率いるファンド「KSK Angel Fund LLC」から資金調達……充電インフラ事業の拡大とグローバル化を加速 ★HW ELECTRO(HWエレクトロ)、愛知県豊橋市で販売網を強化……現地の石油販売の老舗マルシメと提携を協議 ★カーシェアリングのAnyca(エニカ)、神奈川県相模原市の公用EVを民間に解放しシェアカーに……稼働しない閉庁日に貸出し ★小型EV製造・販売のブレイズ、「大阪オートメッセ2023」(インテックス大阪、2月10〜12日開催)に出展……「ネクストクルーザーEV」等を展示 ★大和ハウス、社用車に「日産サクラ」を導入……2027年3月までに全社用車をEV化、事業所内に再生可能エネルギー由来のEV用充電器を設置 ★エネチェンジ、複合リゾート施設「NEMU RESORT」(ネム・リゾート)にEV用充電器を設置……最高出力6kWの普通充電器「EV充電エネチェンジ」を2基 ★日産、熊本県上天草市と連携協定を締結……「電気自動車を活用した持続可能なまちづくり」を目指す

TAG: #THE視点 #デイリーEVヘッドライン #マックスアウト #日産 #福田雅敏
TEXT:福田 雅敏
[THE視点]現役エンジニアが見抜いた「日産サクラ」JNCAPファイブスター獲得の要因

「衝突安全性能評価」「予防安全性能評価」の最高評価に加えて、「事故自動緊急通報装置」を備える必要がある「ファイブスター賞」 日産自動車株式会社は1月24日、自動車アセスメント(JNCAP)で、「衝突安全性能」と「予防安全性能」等を統合して評価する総合評価「自動車安全性能2022」において、「サクラ」が最高評価「ファイブスター賞」を獲得したと発表した。兄弟車の「三菱eKクロスEV」も同様に獲得した。 「サクラ」の「ファイブスター賞」獲得は、「デイズ」(2020年度)、「ルークス」(2021年度)に続き軽自動車として3車種目で、軽自動車EVとしては初の受賞である。ガソリン車も含めて日産の軽自動車の安全性の高さを改めて示したことになる。 JNCAPは、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)により自動車の安全性能を評価・公表するもの。最高評価となる「ファイブスター賞」は、「衝突安全性能評価」と「予防安全性能評価」の両評価で最高ランクを獲得し、かつ「事故自動緊急通報装置」を備えた車両のみに与えられ、審査は大変厳しいものとなっている。 「サクラ」は、「高強度安全ボディ(ゾーンボディ)+歩行者傷害軽減ボディ」と「7つのエアバッグ」による普通乗用車にも匹敵する衝突安全性能に加え、検知対象を人が乗車している自転車にも拡大した「インテリジェント・エマージェンシーブレーキ」などの先進安全装備で構成される「360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)」を採用している。 さらに「リーフ」の開発で培った技術を投入することで「衝突後の感電保護性能評価」もクリアし、軽EVの安全性の高さを実証した。 バッテリーパックの衝突安全基準が「サクラ」を頑丈なボディにしたか 日本の軽自動車は、車体の外寸が限られるなかで室内寸法を最大限に広げるという設計のものが多く、衝撃吸収部分がどうしても少なくなりがち。その中での評価獲得には、重くなりがちなEVでも高い安全性を確保するという日産の軽自動車に対する安全性の取り組み、そして開発陣の高い志があったのだろうと評価できる。

TAG: #eKクロスEV #JNCAP #THE視点 #サクラ #三菱 #日産 #福田雅敏
TEXT:栁 蒼太
メタバース上でサステナブルな暮らしを体験?日産自動車が「NISSAN EV & Clean Energy World」を公開

日産自動車は、メタバース上でEVを活用し、サステナブルな暮らしを楽しむゲーム型コンテンツ「NISSAN EV & Clean Energy World」を公開した。 日産が提供する「EV」とは いち早く量産型のEVを発売した日産は、「EVを作る」ことだけではなく、「『EVのある暮らし』への追求」にも余念がない。 昨今、持続可能な未来のために、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーの活用が注目されているが、これらのエネルギーは季節や天候、時刻などに影響されやすいため、電気を貯めて効率的に活用することも求められている。 日産は、大容量バッテリーを搭載するEVを電力系統に接続するなど、再生可能エネルギーを有効活用するための様々な研究にも取り組んでいる。また、EVに貯めた電気を家庭の電源として使用するためのV2H(Vehicle to Home)や、電気機器に給電するV2L(Vehicle to Load)などをあわせた、EVのある暮らしを提供してきた。

TAG: #日産
TEXT:栁 蒼太
[集合住宅にもEVを]日産自動車と積水ハウスがタッグ 「+e PROJECT」発足

集合住宅に暮らす、あるいは自宅は持ち家ではなく賃貸派の人々にとって、「自宅(集合住宅)で充電ができない」ケースが多いことは、EVの購入をためらわせる最も大きな要因だ。実際、日産が2022年12月に実施した調査によると、EV検討層の半数は住環境を理由にEV購入を断念しているという。そのような背景のなか、集合住宅でEVを普及させる環境を整えるべく、日産自動車と積水ハウスは共同で「+e PROJECT」を発足させた。  プロジェクト始動、まずはサイトのチェックから プロジェクトのスタートにあたって日産自動車は、神奈川県横浜市に積水ハウスが建築したゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」において、集合住宅でEVと過ごす暮らしを体験するイベント「+e試住」を3月4日より実施する。「+e試住」では「食体験」「防災シミュレーション」「ペットとの暮らし」の3つのテーマを設定し、集合住宅にてEVのある暮らしを1泊2日で体験できる。 現在集合住宅で暮らしていて、集合住宅へのEV充電設備導入を検討している人に、具体的な方法をまとめた特設サイト(https://ev2.nissan.co.jp/PLUSEPROJECT/)も公開された。ここでは、プロジェクトに関する内容だけではなく、EVと暮らしにかかわるニュースや体験者の声などを定期的に配信するほか、「興味はあるけど、何から始めたらいいの?」という人のための『First Step診断』も設けられている。診断結果の中には充電サービス業者を紹介するページも用意され、設問に答えていくとEV導入に向けて、「初めの一歩」に何をしたら良いかが具体的に分かる仕様となっている。  *ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス):省エネと創エネを組み合わせ、快適な室内環境を実現しながら、年間の一次エネルギー消費収支をゼロにすることを目指す住宅のこと。

TAG: #日産 #積水ハウス
TEXT:福田 雅敏
実質EV元年と感じた充実のEV展示とそのカスタマイズ……EV開発エンジニアのオートサロン探訪[その4(最終)]

世界最大級のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」が1月13日から15日まで幕張メッセにて開催された。今回の「オートサロン」には、多数のEVも出展されると聞いた。そこでEV開発エンジニアであり本媒体のエグゼクティブアドバイザーである福田雅敏が現地に赴いた。その現場をレポートしたい。今回は「その4(最終)」をお送りする。 アウトドア志向を押し出した三菱 「ミニキャブ・ミーブ B-レジャースタイルⅡ」は、車載のバッテリーからの給電機能を活用したカスタムカー。アウトドアシーンに溶け込むアイボリーとモスグリーンの2トーンカラーとし、ボディサイドにはEVを象徴する電源プラグをモチーフとしたラッピングがなされている。 室内は荷台スペースをフルフラットとして居住性を高め、リモートワークに必要なデスクや座椅子、車中泊に必要なベッドキットを装備することで、プライベートな空間を演出している。 さらに、駆動用バッテリーから定格1500WのAC100V電源を取り出せる「ミーブ・パワーボックス」を使用し、リアゲートに取り付けたプロジェクターでのeスポーツ体験や、リモートワーク用パソコンの充電などを可能とするなど、ビジネス&レジャースタイルを提案していた。出先で楽しくなり電力を使いすぎて「電欠」にならないよう、電池残量のこまめな確認が必要だと感じた。 そして「eKクロスEV」をベースとした「eKクロスEV Smooth×Tough(スムーズ・バイ・ タフ)」も展示されていた。EVの静かかつ滑らか、そして力強い走りをそのままに、SUVテイストを一層高めたのが特徴。 ボディカラーは、マットグレーメタリックとブラックマイカの2トーンカラーとし、フロントグリルガードやオールテレーンタイヤを装着。さらに、リフトアップしたことで、オフローダースタイルとしている。 ただ残念なのは、ここまでSUVテイストを強めているのに、4WD仕様がないこと。雪の多い地域のSUVファンのためにも早期に4WD仕様を出してほしいものである。 「オートサロン」ならではのアフターメーカーによるEVカスタムカー見聞 「テスラアライアンス」のブースには4台のドレスアップされた「モデル3」とテスラ用のドレスアップキットなどが所狭しと展示されていた。 テスラ好きが集まったカスタムメーカー集団「テスラアライアンス」の関連企業は20社あまり。その中には普通充電器付貸ガレージなども紹介されていて「EVと住宅」というライフスタイルをどう快適かつ楽しく過ごすかを訴求していた。このブースの中に、KGモーターズの超小型EV「ミニマム・モビリティ・コンセプト」も展示されていた。 「ブリッツ」のブースでは、日産「アリア」をドレスアップした「ブリッツ・アリア」を展示。エアロパーツとホイールでドレスアップされていた。「ブリッツ・アリア」は、来場者の投票により決定する「東京国際カスタムカーコンテスト」SUV部門において優秀賞を受賞した。 先の「カー・オブ・ザ・イヤー」でもそうだが、このような賞典をEVが受賞するようになり、時代の移り変わりを実感した。 「トーヨータイヤ」のブースではアウディ「e-トロン・クワトロ・フーニトロン」を展示。1980年代の伝説ともいえる「スポーツ・クワトロS1」をオマージュした電動4輪駆動のレーシングEV。2モーターによる合計最大トルクは6000Nm(611.83kgm)を誇る。 本来であれば、世界的ラリードライバーであり、「ジムカーナ」シリーズの神業ドライブでもおなじみのケン・ブロック氏が来場するはずだった。が、1月2日午後、ユタ州においてスノーモビルの事故で亡くなり、それがかなわなくなった。享年55。非常に残念なことである。ご冥福をお祈りする。 「ボンドグループ&レザーコーポレーション」のブースには、「テックアート・タイカン4S」が展示されていた。エアロパーツをまとい車高が落とされた車体、大径ホイールでドレスアップされたもの。標準のホイールでは大きく感じたフロントブレーキキャリパーは、大径ホイールの影響で逆に小さく感じた。 総括:「オートサロン」は実質モーターショー、来年は走行性能にも手を加えた「チューニングEV」登場の予感 筆者にとって、コロナ禍では初のオートサロン見学。プレスデーに見学したが、当日は4万4000人の来場者があり、十分混んでいた。3日間の合計来場者は18万人あまり。出展社数341社、出展台数789台、ブース総数3904小間。特に出展車数は昨年より1割(77台)増しとなった。 今回は、主催者による「オートサロンテック2023」などEVを中心とした次世代自動車のテーマ館もあり、カスタムカーの祭典「オートサロン」でも新時代への流れを感じた。 自動車メーカーの多くがEVを展示していたこと、海外EVメーカーの出展や新型車の発表など、これまで「東京モーターショー」の場で行われてきたことが、「オートサロン」で行われるようになった。先日アメリカで「CES」が開催されたが、実質北米のモーターショーに変わったと言われている。「オートサロン」もそんな「CES」の流れと被るように思う。 2022年がEV元年と一部では言われているが、今回の「オートサロン」のEVの出展を見るに、実質は2023年がEV元年のように思えた。 ただ一部聞いたところによると、半導体不足などの納車の影響で、ベース車の入手ができない業者もあったようだ。展示台数がもっと多いであろうと思った日産「アリア」や「サクラ」、三菱「ekクロスEV」などがほとんど見かけなかったのは、その影響もあるのではないだろうか。 恐らく来年は、カスタムEVがさらに増えるだろう。今後はアフターメーカーも、EVの純正ECUの制御を解析しパワーアップした「チューニングEV」が出てくる予感がする。 <了>

TAG: #eKクロスEV #アウディ #アリア #タイカン #テスラ #ブリッツ #ポルシェ #ミニキャブ・ミーブ #モデル3 #三菱 #日産 #東京オートサロン2023 #福田雅敏
TEXT:福田 雅敏
モータースポーツの可能性を広げるEV、カスタムの方向性も示唆……EV開発エンジニアのオートサロン探訪[その3]

世界最大級のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」が1月13日から15日まで幕張メッセにて開催された。今回の「オートサロン」には、多数のEVも出展されると聞いた。そこでEV開発エンジニアであり本媒体のエグゼクティブアドバイザーである福田雅敏が現地に赴いた。その現場をレポートしたい。今回は「その3」をお送りする。 交換式バッテリーを用いてEモビリティの発展性を感じさせたホンダ カーボンニュートラルをテーマにしたブース「オートサロンテック2023」でホンダが展示していたのが、交換式EV用バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」と、そのシステムを核とする充電設備「ホンダ・パワー・パック・エクスチェンジャー e:」、ポータブル電源「ホンダ・パワー・ポッド e:」、二輪車「ジャイロ キャノピー e:」と、電動パワーユニット「eGX」搭載のレーシングカートだ。 「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」はその名のとおりバッテリーパックで、1個あたりのスペックは、DC50.26V/26.1Ah=総容量1314Wh(1.314kWh)。連続出力は2.5kWで、1パックの重量は約10kg。大人が片手で持てる重さである。ホンダのバッテリー交換式スクーターのプロジェクト「ガチャコ」で使われているものだ。 「ホンダ・パワー・パック・エクスチェンジャー e:」は「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」の充電器で、12個のバッテリーが同時に充電可能。バッテリーの盗難防止などのために、カードが必要となる。こちらも「ガチャコ」に使用されている。 「ジャイロ キャノピー e:」には「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」2個がシート下に搭載され、航続距離は70km程度だという。充電装置が置かれている場所に行けば、2分程度で充電済みバッテリーに交換が可能で時間を省けるのがメリット。 「ホンダ・パワー・ポッド e:」 はモバイル電源ユニットで、「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」1個を本体に収納して使用する。AC100V/1500Wの出力で電池容量が約1.3kWhなので、100Wの電化製品が十数時間使用可能となる。非常用やアウトドア用にと活用範囲は広い。 このシステムに「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」が使われていたのは今回初めて知った。「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」は近いうちに小型の電動農機などにも使用されるのではないだろうか。そのほかにも様々に応用できそうである。

TAG: #アリア #サクラ #ホンダ #日産 #東京オートサロン2023 #福田雅敏

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