減速エネルギーで充電するのが回生ブレーキの役割 最初に所有したEVが初代リーフで、2025年になってイタリアのEV「フィアット500e」を乗り始めた筆者。500eは軽量なコンパクトEVということもあって、日常的に10km/kWhを超える好電費で走れることも珍しくない。 初代リーフに乗っていたときも、200km近く走ったときの区間電費で9km/kWhを超えることはあった。同じような走り方で、なおかつ最新のEVであれば、電費の数字が向上するのは自然というのが正直な感想だ。 ※2021年頃、リーフ専用アプリに表示された走行距離と電費 こうした話をしても、EVのあるカーライフを送っていない人からすると、「その数字はどのくらいいいのかわからない」といわれてしまうことのほうが多い。日常的にEVに乗っていないと、電費の数字を見てもピンとこないのも当然だろう。 『km/kWh』という単位は1kWhの電力量で走れる距離を示すものだ。つまり、数字が大きいほど同じ電力量で長い距離を走れるわけだから、電費において優秀といえる。 たとえば、フィアット500eの搭載するバッテリー総電力量は42kWhで、カタログスペックの一充電走行距離は335kmとなっている。この数字から『km/kWh』の電費を計算すると、7.9km/kWhとなる。冒頭に記した10km/kWhを超える電費は、カタログスペックを上まわったことになる。 ちなみに、初代リーフはバッテリー総電力量が30kWhで、カタログに記載されている一充電走行距離は228km(当時はJC08モード)だった。ここから計算すると、7.6km/kWhがカタログスペックの電費と考えられ、これを超えた電費で走ったということは、上手にエコドライブができたという意味になるのだ。 このように電費の説明をすると、つづけて「電費をよくするEVならではの運転テクニックがあるの?」と聞かれることも多い。 筆者もつねに好電費が達成できるわけではなく、もっとエコドライブの上手なEVオーナーはたくさんいるのも承知しているが、EVのエコドライブにおいて筆者が気を付けている最大のポイントは、「回生ブレーキを効率的に活用する」ことだ。 EVに限らずHEV(ハイブリッドカー)などの電動車全般にあって、エンジン車にない機能が「回生ブレーキ」で、電動車においては非常に重要な役割を果たしている。 ご存知のように、回生ブレーキというのは減速時に駆動モーターを使って発電、バッテリーを充電する機能だ。一度、バッテリーから放出した電力を回収するということは、そのぶんだけ航続距離を伸ばすことにつながる。 誤解を恐れず単純化すると、100kmの距離を移動したときに加速で12kWhの電力を消費したとして、回生ブレーキによって2kWhを充電できれば、トータルでの消費電力は10kWhになるため、この区間での電費は10km/kWhと計算できる。 EVにしろHEVにしろ、技術的な進化による回生ブレーキによる発電・充電性能は進化している。この機能を活用しない手はない。