バッテリーやプログラミングを学んでエンジニアを目指す 「自動車大学校」と聞くと、整備士の養成学校をイメージするかもしれないが、実際はそれだけにとどまらない。カーデザインや設計、モータースポーツ、カスタマイズなど、自動車にまつわる各分野に特化したコースが学校ごとに設けられており、それが学校の特色にもなっている。 新潟県を中心に、教育、福祉、農業、ICT、ホテル、ECなど多岐にわたる事業を展開するNSGグループは、このほど福島県郡山市にある学校法人国際総合学園 WiZ国際情報工科自動車大学校に、持続可能な社会の実現と新しい時代に即したニーズへの対応を目指し、新たな学科を新設。2024年4月1日から学生の募集を開始したことを発表した。 新設された学科は次世代モビリティのプロを目指す「eモビリティ科」だ。カーボンニュートラルの実現に向けて欠かすことのできない、バッテリー技術、プログラミング、モビリティシステム全般に関する知識を学ぶことができる全国唯一のカリキュラムで、未来のモビリティ革命を牽引するリーダーを育成するとしている。 WiZ国際情報工科自動車大学校には、自動車、ドローン、情報技術、電気工学の各分野に適した学科があり、それらと連携したカリキュラムを組むことで、eモビリティ科では幅広い専門知識と総合的なスキルの習得が可能になるのだという。 学生は、eモビリティで求められる専門知識を習得することで、自動車産業はもちろん、ドローンやその他のモビリティ関連産業でのキャリアを目指すことができる。具体例としては、バッテリーテクニカルエンジニア、モビリティ開発エンジニア、バッテリーシステムエンジニア、EVエンジニアなどがそれである。 また、eモビリティ科を卒業した後も、継続的な学びと成長を学校側がサポートすると発表されている。業界との強固な連携を通じて、最新のトレンドや技術を学び続ける機会を提供し、学生のキャリア形成を全面的にバックアップするというから頼もしい。 資格の取得に関しても、国家資格である一級小型自動車整備士や二級自動車整備士ガソリンなど、いわゆる整備学科で目指せる資格はもちろんのこと、eモビリティ学科特有のものとして、C言語プログラミング能力認定試験、Python3エンジニア認定基礎試験、蓄電池設備整備資格者などの試験受講、および資格取得が目指せるという。 自動車メーカーやカーディーラー、整備工場だけが自動車大学校卒業生の就職先と思いきや、損保会社での保険アジャスター、航空会社で地上作業車の整備、自動車関連部品メーカーで開発業務など、案外就職先は多岐にわたる。それらどの就職先においても、今後EVをはじめデジタル領域が大幅に進歩した車両を相手にしていかなければならない。また、既存の型にはまらないモビリティの企画開発こそ、若く柔軟性に溢れる若手エンジニアの発想と行動力が活きるかもしれない。eモビリティ科でのエンジニア育成に期待したい。