メルセデス・ベンツ 記事一覧

TEXT:TET 編集部
680馬力のファーストクラスEV。メルセデス・マイバッハが「EQS SUV」を発表

独メルセデス・ベンツは4月17日(現地時間)、最高級ブランド「メルセデス・マイバッハ」初の完全電動モデル「メルセデス・マイバッハEQS SUV」を発表した。マイバッハ・ブランドに相応しく超豪華に仕上げられたe-SUVの内容を紹介したい。 最大トルク950Nm 、最高速は210km/h達成 メルセデスのEVサブブランド「EQ」が、フラッグシップSUV「EQS SUV」を発表したのが昨年4月。それからちょうど1年で、専用の内外装を奢り、パワートレインをさらに強化したマイバッハ・バージョンが登場した。 メルセデスのEQS SUVが「EQS 450+ SUV」、「EQS 450 4MATIC SUV」、「EQS 580 4MATIC SUV」という3グレード構成なのに対し、マイバッハ版は「EQS 680 SUV」のモノグレード。数字が示すように、ツインモーターパワートレインはEQS 580 4MATIC SUVよりおよそ114ps/90Nm増となる658ps(484kW)/950Nmにまで強化され、0ー100km/h加速は4.4秒、最高速度は210km/hに達する。 バッテリーに関しては最大200kWの急速充電に対応し、15分で220km(WLTPモード)分の充電が可能。ただし、航続距離は最大600kmと発表されており、豪華装備の代償としてメルセデス版より若干短くなっているようだ。 足回りは、連続減衰力調整機能付きAIRMATICエアサスペンションが標準装備され、最低地上高を最大35mm引き上げることができる。EQS 680 SUVで悪路に踏み込むオーナーがいるのかわからないが、走破性は相当高い水準が期待できそうだ。そして、最大10度のステアリング角を持つリアアクスルステアリングも標準装備され、全長5125mm×全幅2034mm×全高1721mmという巨体にも関わらず、最大回転直径はコンパクトカー並みの11mを達成している。 エクステリアでは、EQSシリーズの特徴であるブラックグリルに、クロームメッキを施した縦長のストリップを追加。クロームはエアインテーク、ロワーバンパー、さらにはサイドピラーなどにも加えられ、ボディ全体からリッチな雰囲気を放つマイバッハらしいデザインに変更されている。 また、足元にも21インチまたは22インチの専用鍛造アロイホイールが奢られ、ホイールキャップには「MAYBACH」のレタリングが施される。リアコンビネーションライトは2つの部分からなる螺旋状の連続した形状とされ、ラグジュアリーなキャラクターを強調。さらに、このライトは全幅に渡ってアニメーション化されている。ボディカラーにマイバッハだけの2トーンカラーが5つ設定されているのも大きな魅力だ。 >>> 次ページ セレブリティをもてなす超豪華な後席

TAG: #EQS #SUV #メルセデスマイバッハ
TEXT:生方 聡
EQBはIQ高め!? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その3]

2基のモーターにより、215kWのシステム最高出力を発揮する「EQB 350 4MATIC」の走りは? 4MATICがもたらすスムーズな加速 EQBを発進させるまでの手順はエンジン車と同じ。すなわち、ブレーキを踏みながらステアリングコラム左側にあるスタートボタンを押し、そのあと、ステアリングコラム右側から伸びるシフトセレクターで「D」または「R」を選べばいい。準備が整ったところでブレーキペダルから足を離すと、クルマはゆっくりと動き始める。 資料を見ると、EQB 350 4MATICでは、「リアの電気モーターをメインとして、フロントの電気モーターを高負荷時等にサポートとして使う」とある。ダッシュボード中央のメディアディスプレイでエナジーフロー表示を選択すると、前後モーターの動きがわかるので、それを観察しながら走り出すことにした。 軽くアクセルペダルを踏む状況では、EQB 350 4MATICはリアモーターだけでスムーズでストレスのない加速を見せる。街中を穏やかに走るぶんには、リアモーターだけでカバーできてしまうほどだ。そこからさらにアクセルペダルを踏んでいくと、フロントモーターのサポートが加わり、より素早い加速が楽しめる。 高速道路の合流や追い越しといった場面でアクセルペダルをさらに踏み込むと、勢いよくスピードを上げていくのが爽快だ。そんな状況でも、EQBがスムーズさと静かさに加えて、4輪で大トルクを受け止めて安定した加速を続けるのは、4WDを採用するEQB 350 4MATICならではの強みだ。

TAG: #EQB #パワートレイン
TEXT:生方 聡
906万円は高い? 安い? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その4]

SUVらしいデザインが特徴の「EQB 350 4MATIC」。その走りっぷりを試すとともに、気になる部分もチェックしていこう。 4MATICの恩恵はここにも 今回試乗したEQB 350 4MATICには、メーカーオプションのAMGラインパッケージが装着されている(上の写真はAMGラインパッケージ非装着車)。これを選ぶと、装着されるタイヤが標準の235/55R18から2インチアップの235/45R20になるとともに、アジャスタブルダンピングシステム(可変ダンピングコントール)が備わるスポーツサスペンションに変更となる。 サスペンションの特性は「ダイナミックセレクト」により「Eco」、「Comfort」、「Sport」の3つから選択可能で、さらに自分好みに設定が変更できる「Individual」が用意される。 標準のComfortモードで走り出すと、2インチアップされた235/45R20のタイヤが多少硬めの印象だが、乗り心地自体は十分に快適で、目地段差を超える場面でもショックをうまくいなしてくれる。高速道路では概ね落ち着いた挙動を示すが、軽いピッチングが気になるのであればSportモードに切り替えることで安定感が向上。乗り心地は少し硬くなるが、ドイツ車らしい乗り味を好む人には受け入れられるだろう。 ダイナミックセレクトでモードを変更すると、当然パワートレインの挙動も変わってくる。標準のComfortモードに対して、Sportモードではアクセル操作に対するモーターの反応が鋭くなり、スポーティなドライビングが楽しめる。一方、Ecoモードではアクセルレスポンスが穏やかになるが、それでもストレスのない加速が味わえた。 別の機会にFWDのEQB 250をチェックすることもできたが、最高出力140kWのパワートレインでも加速には余裕があり、84万円の価格差を考えると、どちらを選ぶか悩ましいところ。ただ、モーターの大トルクを4輪で受け止めるEQB 350 4MATICのほうが加減速の挙動が落ち着いており、加速そのものもよりリニアでスムーズなだけに、私ならEQB 350 4MATICを選びたい。

TAG: #EQB #SUV
TEXT:生方 聡
「GLB」とは別モノ!? 「EQB」の電気自動車らしいデザインとは? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その2]

メルセデス・ベンツの人気SUVがベースの「EQB」は、「GLB」譲りの強い存在感を放つ一方、EVらしいデザイン要素によってGLBとは異なる個性を手に入れている。 フロントマスクを一新 大小の箱を連ねたような、まさにSUVという四角いフォルムが特徴のEQBのエクステリア。全長は、以前試乗した「トヨタbZ4X」よりも5mm短い4,685mmであるにもかかわらず、ひとまわり大きく思えるほど、強い存在感を放つ。この印象は、ベースとなるGLB譲りといえるが、フロントマスクやリアビューはGLBとは明らかに異なるデザインに仕上げられている。 たとえばフロントマスクは、押しの強いGLBに対して、EQBは都会的なイメージ。電気自動車だけに本来ラジエターグリルがある場所は光沢のあるブラックパネルでカバーされ、EQB専用デザインのヘッドライトと組み合わされることで、洗練された印象を強めている。 フロント以上に個性的なのがリアエンドのデザインで、ユニークな意匠のLEDテールライトとそれを結ぶライトストリップがEQシリーズの一員であることをアピールしている。 一方、EQBのコックピットはGLBのデザインをほぼ受け継いでいる。コックピットディスプレイとセンターメディアディスプレイを並べたダッシュボードや、5つの円形のエアアウトレットなどには見覚えがあり、GLB同様、きらびやかさが際だっているのだ。

TAG: #EQB #デザイン
TEXT:生方 聡
クラス唯一の7人乗りEV「EQB」ってどんなクルマ? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その1]

ライバルがひしめくCセグメントにおいて、クラス唯一の7人乗りを武器に戦いを挑む「メルセデス・ベンツEQB」に試乗。まずはどんな特徴を持つEVなのかを見ていくことにしよう。 人気の「GLB」がEVに 2019年に「EQC」を投入して以来、電気自動車「EQ」シリーズの拡充を進めているメルセデス・ベンツ日本。2023年4月時点で、「EQS」を筆頭に、「EQE」、「EQC」、「EQB」、「EQA」を設定し、さらに「EQS SUV」や「EQE SUV」の導入を予定している。 そんな豊富なラインナップのなかで、エントリーモデルを務めるのが「EQA」と「EQB」だ。今回試乗するCセグメントSUVのEQBは、日本でも高い人気を誇るSUVの「GLB」をベースとするEVであり、全長4,685×全幅1,835×全高1,705mm、ホイールベース2,830mmの比較的扱いやすいサイズのボディに、広い室内空間を確保している。 しかも、このEQBは、GLBが誇るSUVらしい存在感のあるデザインのみならず、3列シート構成を受け継ぐことで、このクラスのEVとしては唯一7人乗りという特徴を手に入れているのだ。 グレードはFWDの「EQB 250」と4WDの「EQB 350 4MATIC」が用意され、どちらのグレードにも66.5kWhの駆動用バッテリーを搭載する。一充電走行距離はEQB 250の520kmに対して、EQB 350 4MATICでは468km。充電は6kWの200V普通充電と、100kWのCHAdeMO規格の急速充電に対応しており、最新のEVとしては納得のスペックである。

TAG: #EQB #SUV
TEXT:TET 編集部
ー20℃以下でEVを走行。メルセデスがスウェーデンでの極寒地テストの模様を公開

独メルセデス・ベンツは4月6日(現地時間)、EV専門サブブランド「EQ」の冬季テストの模様を公開した。極寒地でのテストの目的は低温下でのバッテリー性能の確認にとどまらず、ブレーキ性能の向上などにも役立てられるのだという。  EVならではの高精度なブレーキ制御が実現 BMWやポルシェもテスト走行を行うこのフィールドに、メルセデスは専門部署を設け20年以上にわたりテスト走行を実施している。アリエプローグの路上は時にー26℃ほどまで下がり、温度、降雪、風、凍結路面など、自然ならではの様々な気象条件が実験室では得られない貴重な計測データをもたらすようだ。 そして、これまでメルセデスの内燃機関モデルが潜り抜けてきたアリエプローグの洗礼を、現在はEQシリーズの電動車が経験している。特に目下メーカーが重点を置いているのは最新世代のブレーキ制御システムのテスト。エンジニアのチームは主に安全性、効率性、快適性に力点を置き、「EQE」、「EQS」、「EQS SUV」、「EQE SUV」といったモデルのブレーキ制御システムを、個別に調整し、物理的な限界まで押しあげるという。 加えて、テスト車両の中には、まだ我々が知らない次世代プラットフォームを使った将来のEQシリーズも含まれているとのこと。そうした開発途上のプロトタイプは、凍った湖を横断し、地域の最高峰の山々を登るテスト走行にも供されるとのことだから、我々が想像するより相当早い段階から厳しい実地試験が行われているようだ。 また、メルセデスでは単にEVと寒冷地の相性を確認するだけでなく、新世代のスタビリティマネジメントシステムの開発にも取り組んでいるという。このシステムは電気駆動の特性を利用して、各タイヤのトルクを正確に制御することで、危険な状況を未然に回避する。きめ細かな制御ではドライバーはシステムの介入に気付かないかもしれないが、将来的には車両のバックグラウンドでこうした機能がフル稼働することとなる。 付け加えると、公開されたイメージに写る車両が装着しているのは標準のオールシーズンタイヤまたはウィンタータイヤで、グリップ力の高い専用タイヤは使用されていない。つまり、将来的にテスト中のシステムが市販車に実装されれば、仮にマイカーのEQシリーズでアリエプローグに乗り込んでも、同じように走行が可能というわけだ。 >>>次ページ アスファルトに比べグリップレベルは1/10

TAG: #EQE #EQS
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
メルセデス・ベンツ、新型EV「EQE SUV」を欧州で発売……デイリーEVヘッドライン[2023.04.06]

セダンの「EQE」よりもホイールベースを短縮 最高出力180kW(245ps)〜300(408ps)の4グレード展開 【THE 視点】メルセデス・ベンツは5日、2020年12月に受注を開始したミドルサイズのSUV型EV「EQE SUV」を欧州で発売した。 今回発売となったのは、後輪駆動の「EQE 300」「EQE 350+」2車種に、四輪駆動の「EQE 350 4MATIC」「EQE 500 4MATIC」2車種の4車種。価格は8万3,478.5ユーロ(約1,185万円)から。 「EQE SUV」には、「EQS」や「EQE」同様にメルセデスの新しい電動プラットフォームが与えられるが、この「EQE SUV」は「EQE」のホイールベースを90mm短くして、「SUVらしからぬアジリティ」を表現したという。 動力性能は、最高出力180kW(245ps)~300kW(408ps)で、最大トルクは一番大きいもので858Nm(87.5kgm)と非常に強烈である。 一充電あたりの航続距離は、セダンの「EQE」と同じ90.6kWhのバッテリー容量で最大596km(WLTC)。この「EQE SUV」には、先日のデイリーEVヘッドライン[詳しくはこちら]でも取り上げたアイシン製のサンルーフが採用されたのも特徴だ。 「EQS SUV」は既に日本でもお披露目済みだが、「EQE SUV」はまだだ。日本での導入時期などは2023年中ということ以外は明らかにされていない。 ホイールベースが短くてバッテリー容量がセダンの「EQE」と同じ。ということは、ホイールベース間のスペースを余裕を持って設計していたということだろう。今後のバリエーション展開もあると思われる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新世代EVモデル「カントリーマン」の生産を開始……最高出力230kW(312ps)、バッテリー容量64.7kWなど性能値も公表[詳細はこちら<click>] ★★ボルボ、EV特化型店舗「ボルボ・スタジオ東京」を青山(東京都港区)にオープン……EV特化型としては世界初[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、商業施設「ガレリア・ユギ」(東京都八王子市)にEV用充電器を設置……「Terra Charge」の急速充電器も導入 ★豊田合成、ミリ波レーダーを備えた発光エンブレムを開発……レクサスの新型EV「RZ」に世界初採用 ★ボルボ、2023年第1四半期の販売台数は16万2,938台……うち完全電動モデルのシェアは18% ★フォード、第1四半期のEV売り上げが41%増の1万866台……EVモデルの生産能力を増強へ ★電力シェアリング、EVのタイムシフト充電で特許を取得……V2GやV2HでのCO2削減効果の算定・評価・取引の技術を開発 ★佐賀県基山町が「基山町脱炭素型カーシェア事業」を実施……「日産リーフ」「三菱eKクロスEV」を1台ずつ導入、ソーラーカーポートやV2Hシステムも導入 ★ホンダのインド二輪子会社HMSI、インド国内にEVバイク専用工場を建設……2024年度にEVバイク2台を発売、「ホンダ・モバイル・パワー・パックe:」も活用

TAG: #EQE SUV #THE視点 #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
メルセデス・ベンツ、独クッペンハイムにバッテリー・リサイクル工場を起工……デイリーEVヘッドライン[2023.03.07]

バッテリーのリサイクルを内製化 新たなバッテリーは「EQ」に搭載可能 【THE 視点】メルセデス・ベンツ・グループは3月3日、ドイツのクッペンハイムにて新たなバッテリー・リサイクル工場の起工式を行ったと発表した。全電動車化を目指すメルセデス・ベンツにとって、持続可能な車両開発を支える重要な拠点となる。 同工場では、モジュールレベルでの解体からバッテリーの材料の細断・乾燥・処理までリサイクルに必要なすべての工程をカバーする。将来的に回収率が96%を超える予定で、電池材料の循環型経済を可能にする。ちなみにこの事業でメルセデス・ベンツは、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル事業を手がける独プリモビウス社の協力も得ている。 工場の概要は面積7,000m2で、年産能力は2,500トン。リサイクルするバッテリーは、プラグインハイブリッド車および電気自動車(EV)用のリチウムイオン・バッテリーで、5万個以上の新たなバッテリー・モジュールが生まれるという。新たに生成されたバッテリーはメルセデスのEV「EQ」モデルに積むことが可能になる。 メーカーが自前の工場を持つことで、ディーラーでの車両回収からバッテリーの取り出し、そしてリサイクルまでメーカー内で一貫してできる。様々な種類のバッテリーを処理している一般のリサイクル業者を通すよりもシンプルで効率的だ。 原材料が高騰している中、一度精錬されたバッテリーは都市鉱山と同様に適切なプロセスを踏めば原材料依存度が低く抑えられ、バッテリーの価格高騰を防ぐことにも貢献できる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、ポーランド・クラクフにテックハブを新設……2030年の完全電化見据えEV開発の中核に ★ボードリー、北海道東川町で自動運転EVバス「ナビヤ・アルマ」を運行……東川町役場や道の駅ひがしかわ「道草館」などを通る2.6km、3月6日(月)〜10日(金)まで ★フォルクスワーゲンのEVバン「ID.バズ」がポルシェのサービスカーに……オランダの「ポルシェセンター」8箇所に導入 ★フォルクスワーゲン、米サウスカロライナ州にEV向け新工場を建設……傘下のスカウト・モーターズ用の工場、ピックアップ・トラックなどを生産 ★スカニア、ノルウェー・ヴェルダルの石灰岩採石場にEVトラックを納入……最高出力450kW(612ps)/総重量66トンのフルトレーラー ★ボルボ、北ヨーロッパの物流企業DFDSからEVトラックを受注……125台のうち20台を納入済み ★ホンダ、米国現地法人のアメリカン・ホンダ・モーターの敷地内に燃料電池(FC)の定置電源を設置……燃料電池車(FCEV)「クラリティ」のユニットを再利用、データセンター向けの非常用電源に ★豊田合成、商用車向け大型高圧水素タンクを市販化……FCEV「トヨタ・ミライ」の約8倍の容量

TAG: #THE視点 #バッテリー
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツ、商用EV「eスプリンター」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.02.09]

2023年後半に北米で発売後欧州にも導入、基本ラインアップはバンと平ボディ 【THE 視点】メルセデス・ベンツは、商用EVのバン「eスプリンター」を発表した。2023年後半に米国とカナダで発売され、2023年末にかけてヨーロッパでも発売される予定。 「eスプリンター」は、3つのモジュールからなる新コンセプトのシャシーが用いられている。フロントモジュールにはすべての高電圧コンポーネントを搭載し、ホイールベース内には低重心なバッテリー、そしてリアには電動アクスルを備える。すなわち後輪駆動だ。 ちなみにボディタイプは、バンと平ボディの2種類が用意され、それ以外にも多数のコンバージョンに対応しているという。 バッテリー容量は、56/81/113kWhの3種類が用意され、バッテリーの種類はリン酸鉄(LFP)となる。航続距離は113kWhのバッテリーで最大400km(WLTC)、街乗りでは最大500kmの走行が可能。充電については、普通充電が最高出力11kWで、急速充電が同115kWに対応している。 海外では、この「eスプリンター」のようにボンネットを持ったバンや平トラックなどが多く存在し、それらがキャンピングカーやマイクロバスに改造されている。 車種によっては、フレームに運転席の屋根とドアだけがあり、運転席の後ろのパネルはなく開いているタイプがカタログに載っていることもあり、改造の範囲を広げている。 「eスプリンター」のシャシーは、前述のとおり「運転席を含む前まわりの高電圧ユニット」「床下のバッテリー」「リアのモーター」という構成になっている。運転席から後ろが平らになるようレイアウトされているということであり、おそらく改造を見越している。容量の違う3種類のバッテリーと2種類のモーターも用意されており、それらを組み合わせることで、「ウニモグ」のように用途別に特化したクルマを作ることができる。 もしかしたら、「eスプリンター」はEVのバリエーションの可能性をさらに広げるのではないだろうか。日本でもニーズは必ずあると思う。ぜひ正規輸入モデルとしてほしいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★JFE、EV向け駆動用モーターに使用する素材の供給能力3倍を目指す……西日本製鉄所で高級無方向性電磁鋼板の製造設備を追加増強、2026年度中の稼働を目指す ★★出光とブリヂストン、超小型EVを用いて次世代タイヤを実証実験……出光の構内移動用EVに樹脂製スポークを用いたタイヤ「エアフリーコンセプト」を装着[詳細はこちら<click>] ★トヨタ、BRTひこぼしライン(日田彦山BRT/JR九州)に燃料電池小型バスを供与……小型バス「コースター」ベースのFCV、2023年秋頃から実証運転開始 ★自動運転EV開発のチューリング、千葉県内のベンチャー企業に対する助成事業「公益財団法人 ひまわりベンチャー育成基金」に採択……車両の自社内生産体制構築を目指す ★エネチェンジ、事業者向けのSaaS型クラウドサービスを刷新……「エネチェンジクラウド」として開発体制を強化

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TEXT:TET編集部
「メルセデス・マイバッハ EQS SUV」を今年上半期に発売へ……デイリーEVヘッドライン[2023.01.23]

  メルセデス・マイバッハ、ブランド初のEV「EQS SUV」を2023年上半期に発売 【THE 視点】 メルセデス・ベンツグループは1月10日、ハイラグジュアリーブランド「マイバッハ」において、EVモデル「メルセデス・マイバッハ EQS SUV」を2023年上半期に発売すると発表した。まずは中国から納入を開始するという。  メルセデス・ベンツは2021年9月に「メルセデス・マイバッハ EQS」のコンセプトモデルを発表している。コンセプトモデルは「EQS」をベースに、インテリアを大幅にアップグレード。白を基調とした室内に、同じくホワイトの専用シートを奢り、インフォテイメントシステムを充実させるなど、富裕層が乗るにふさわしいショーファードリブン性を極限まで高めている。  もちろんエクステリアにおいても「メルセデス・マイバッハ」のアイデンティティである縦ラインのグリルをあしらうなど、ベースの「EQS」よりも豪華さを際立たせている。  2021年9月の発表からここまで時間がかかったのは、半導体不足の影響のようだ。2022年は「メルセデス・マイバッハ」としても前年比37%増の売り上げを記録しており、「メルセデス・マイバッハ EQS」が発売されれば瞬く間に受注が増えるのではないだろうか。  また「メルセデス・マイバッハ EQS SUV」の性能も楽しみである。 現行の最高グレード「EQS 580 4MATIC」は最高出力400kW(544ps)、最大トルク858Nm(87.5kgm)のパワーユニットを搭載し、航続距離は最大613km(WLTPモード)となっている。この値が「マイバッハ」でどこまで強化されるか注目である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★アウディ、EVモデル販売店「e-tron店」の充電ネットワークを拡大……150kW充電器を全国合計102基に拡充、50〜90kW基を置き換え→[詳細はこちら<click>] ★日産、EVのある暮らしをメタバースで再現……自然エネルギーで「アリア」を充電するゲーム型コンテンツを公開[詳細はこちら<click>] ・パワーエックス、アウディジャパンと事業提携……「e-トロン店」への240kWの急速充電器「ハイパーチャージャー」の導入など→[詳細はこちら<click>] ・日産、「ブルー・スイッチ」の取り組み数が200件を達成……災害時に給電するなど、EVを活用した地域課題解決の取り組み ・日産、社債「サステナビリティボンド」2,000億円の発行に向け条件決定……資金はEVや自動運転開発などに充当 ・日立、英国での商用EVの実証実験「オプティマス・プライム」を終了……コストやエネルギー需要などの障壁をデジタル化と新製品の提供で克服可能と結論、商用EVの大量導入に期待 ・大同特殊鋼、磁気ノイズを抑制する素材「パーマロイ箔」を販売開始……EVや自動運転に使用される機器の軽量化・薄型化に寄与 ・東北大と名古屋工大、脱レアメタルかつ高エネルギー密度のリチウムイオン・バッテリー正極材を開発……資源リスクを回避でき低コスト化に貢献 ・アウディ、故ケン・ブロック氏がドライブしたEVレーサー「S1 e-tronクワトロ・フーニトロン」を展示……1月21日「六本木ヒルズ」を皮切りに東京3ヵ所を順次[詳細はこちら<click>] ・エネチェンジ、ミライト・モバイル・イースト/ウエストと協業し「EV充電エネチェンジ」の設置拡大……充電設備の設置費用と月額費用が0円のサービス

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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