MINI 記事一覧

TEXT:TET 編集部
次期型はEVの設定も。次期「MINI」を予告する公式画像が公開へ

独BMWは、新型MINIの登場を予告する一部として、新たに採用される部品や技術の一部を公開した。このたび情報が明かされたのはOLEDディスプレイ、ステアリングホイール、シート、ホイールなどで次期型への期待が膨らむ仕上がりとなっている。 未来を予感させるデザイン 新型MINIについては、4月下旬にエクステリアのリーク写真がインターネット上で公開され、閉じているように見えるラジエターグリルや三角形のリアコンビネーションライトなど特徴的なデザインが衆目にさらされた。これを受けてか今回BMWでは、内外装に関する情報を公式に公開。個性的でプレミアムな質感を持ったMINIらしいデザインを垣間見ることができる。 まず、OLEDディスプレイについてはイメージが公開されていないものの、他ブランドにはないラウンド(円形)タイプを採用するとのこと。これまでもMINIはディスプレイ周囲に円形のモチーフを取り入れていたが、新型ではディスプレイ自体が丸く、しかも全面をタッチパネルとして使用可能とされる。その直径は240mmとかなり大型で完全なフレームレスデザインとなり、インテリアは未来感を帯びたものとなりそうだ。機能としては、インフォテインメントシステムに加えエアコンの操作もできるようなので、物理スイッチはかなり減ると予想できる。 最も詳細な画像が公開されたのはステアリングホイール。2本スポークと太いリムが特徴のスポーティなデザインで、各種スイッチが内蔵された横方向のスポークとは別に、ステアリングセンターからリム下部に向けメッシュ状のファブリックが追加されている。そのため、一見すると3本スポークのようにも見え、従来モデルとの共通性を感じさせる。 また、プラスチック部分にはメタリック加飾が入っており、ここもプレミアム感を高めているポイント。もちろん、これらは上級グレードのみの装備となる可能性もあるが、コクピットの質感が全体に向上するのは間違いなさそうだ。 >>>次ページ ヘッドレスト一体型の新設計シートを採用

TAG: #BEV #ニューモデル #新型車情報
TEXT:岩尾 信哉
次期MINIの3ドアボディの電気自動車仕様、「クーパー・エレクトリック」がティザー公開

BMWはMINIブランドに関して、去る4月に新型「カントリーマン(日本名:クロスオーバー)」のカムフラージュされた車両とスペックの概要の披露に続き、5月初旬に新型MINIの3ドア仕様の電気自動車(EV)をティザー公開した。発表が近づきつつある次期型MINIについて、3ドアBEV(バッテリー式電気自動車)である「クーパー・エレクトリック」を中心に、限られた情報から探ってみる。 EVであることを明確に表現 今回の発表では、BEVとなる3ドアMINIの呼称として「クーパー・エレクトリック」の名が与えられることが明らかにされた。これには現行の3ドアBEVである「クーパーSE」のような単一グレード(先頃発表されたコンバーチブルを除く)ではなく、後述するようにパワーと航続距離の違いによって2グレードを設定予定であることに起因するのだろう。 現行型(残念ながら日本未導入のままだが)での呼び名である「クーパーSE」の「E」は「ELECTRIC」を意味するとはいえ、多少のわかりにくさを補填する意図も感じられる。MINIの3ドアEVとして、“クーパー”というスポーティさをイメージさせる名を残すとともに、電気自動車であることを明示するために「エレクトリック」の呼称を加えたに違いない。 2020年に現行MINIに加えられたBEVである「クーパーSE」は、2022年には前年比25.5%の販売台数を達成し、4万3,000台が世界で販売された。現状ですでに路上のMINIの5台に1台が電動化モデルということになる。 2030年までにEV専売ブランドとなるMINIであれば、今回加えられた「エレクトリック」の名も、いずれは取り除かれるのかもしれない。 MINI初のドイツ生産モデル オリジナルから続くコンパクトカーとしての成功を受け継ぐ3ドアMINIの中で、BEVとして登場する「クーパー・エレクトリック」は、5代目(オリジナルミニからのカウント)となる次期MINIのティザー的役割を果たすことになる。 新型MINIに関する情報では、BEVの生産工場の変化が挙げられる。MINIの生産拠点といえば、60年以上の歴史を持つ英国オックスフォード工場が有名だ。去る3月には3ドアMINIの100万台目を世に送り出している。 いっぽう「クーパー・エレクトリック」は、生産工場をBMWのドイツ・ライプツィヒ工場として、5ドアBEVである新型カントリーマンとともに、MINI初のドイツ生産モデルとなる予定だ。 クリーンエネルギーによって稼働するなど大規模投資が実施された同工場において、BEVである2種類のMINIが、BMWグループとして初めてBMWの1/2シリーズなどと同じ生産ラインで混流生産される。すなわち、次期型のカントリーマンと3ドアのフル電動MINIはプラットフォームを共用することを意味する。

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TEXT:TET 編集部
次期MINIクロスオーバーEV版の詳細が公開。航続距離450kmでツアラーとしてのポテンシャルも

現行モデルに比べ、大幅な電動化を達成 独BMWは4月5日(現地時間)、新型「MINIカントリーマン(日本名:クロスオーバー)」の登場を予告するティザー第二弾を公開した。 MINIのラインナップでもっとも大柄なクロスオーバーSUVのMINIカントリーマンは、AWD機構やゆとりあるラゲッジスペースをセリングポイントとして2010年に初代がデビュー。2017年に登場した現行の2代目には、リアアクスルに65kW(88ps)の電気モーターを追加した「MINIクーパーSE カントリーマンALL4」も設定され、日本でも「MINIクロスオーバーPHEV」として511万円(税込)で販売されている。 現在、MINIブランドではハッチバックにフルEVの「MINIクーパーSE」(日本未発売)を設定しているが、それ以外の電動車は限定車を除くと、カントリーマンに設定されるPHEVのみ。それでもグローバルでは既に販売台数の5台に1台は電動車になっているというが、2030年代初頭までにBMWグループ初のフルEVメーカーになるというMINIのブランドプランを実現するためには、次期カントリーマンでのさらなる電動化の進捗が非常に重要なのだ。 先月、新型MINIカントリーマンのティザー第1弾としてイエローで擬装されたプロトタイプのイメージが公開された際、次期型にはフルEVと内燃機関モデルの2種類が設定されることが明らかにされた。今回の第2弾ではこのうち前者のスペックがより詳細に示された。それによると、フルEVは「MINIカントリーマンE」と「MINIカントリーマンSE ALL4」の2グレードが用意され、前者は191hpの最高出力を持つFWD車となる。 一方、上位グレードとなる後者は、前後アクスルにモーターを装備するブランド初の完全電動AWD車となり、一時的なブーストを含めて313hpの最高出力を達成するという。また、カントリーマンSE ALL4は64.7kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約450kmに及ぶとのことだから、街乗りだけでなく遠出もこなす実力派EVとなりそうだ。 >>>次ページ サイズ拡大で居住性がさらにアップ

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TEXT:岩尾 信哉
BMWグループ 年次総会を開催 新型5シリーズに電気自動車仕様「i5」を導入

BMWグループは3月15日(現地時間)、独ミュンヘンにおいて「BMWグループ・アニュアルカンファレンス2023」を開催、財政状況の報告とともに、今後のモデル展開などについて明らかにした。ここでは電気自動車についての話題を中心にまとめてみる。 電気自動車の納車台数は増加 2022年のBMWグループ全体での総納車台数は、前年を4.8%下回る239万9,632台だった(前年同期:2,521,514台)。半導体部品の供給難、サプライチェーンの混乱、新型コロナによる中国のロックダウンなどの影響を受けたとされ、このうち電気自動車(バッテリーEVとプラグインハイブリッド:PHEV)は、合計で納車台数の18.1%(433,792台/前年比32.1%増)を占めた。BMW AG取締役会会長であるオリバー・ツィプセは「2023年は電気自動車(BEV)のさらなる成長を目指しており、総販売台数の15%を占めると見込んでいます」と述べた。 BMW「i5」など、各ブランドのBEV導入予定 注目の新型車導入スケジュールについて、BMWグループは2023年10月に新型5シリーズ・セダンを発表することを明らかにした。さらにPHEV、48V仕様エンジンの各モデルを設定するとともに、BEVとして「i5」を新たに導入する。i5はパフォーマンスモデルを担当するBMW M社が開発を手がける。なお、新型5シリーズにはステーションワゴンである「ツーリング」が2024年春に発表予定とされ、i5にも設定されることになる。i5はiXと合わせて、ドイツ・ディンゴルフィング工場で生産される。加えて、近い時期に発表予定のBEVの新型車としては、2023年末にコンパクトSUVの「iX2」が市場に投入される。 10年以内に電気自動車のみのブランドとなることが明らかにされているMINI とロールス・ロイスについても触れておこう。2030年代初頭にはオールEVブランドになるとされるMINIでは、ミニ・カントリーマン(日本市場名:クロスオーバー)が、ICEモデルとともにBEVを導入予定だ。さらに昨年発表された「エースマン・コンセプト」の量産型が新たなシリーズモデルとして今年加わる。ロールス・ロイスでは、2022年に発表された同ブランド初のBEVである新型車「スペクター」が今年マーケットに提供される。 BEVラインナップのさらなる増強 BEVの販売強化は欧州の自動車メーカーとして必須の課題だ。BMWグループはすでに12種類のBEVをラインナップしているが、今後数年間はBEVが急成長を遂げると予測。2024年にグループ内において新たに5車種のBEVを発表するとしている。 BMWグループとしてのBEVの総納車台数は、昨2021年から倍以上となる21万5,000台を達成。2023年には総納車台数の15%がBEVで占められ、2024年には少なくともグループでの新車の5台に1台がBEVとなり、2025年には同じく4台に1台、2026年には3台に1台程度がBEVになると見込んでいる。2030年に向けて、同年までに通算1,000万台のBEVを顧客に納入することを目指す。

TAG: #BMW #i5 #iX2 #iX5
TEXT:栁 蒼太
MINI Concept Aceman(コンセプト エースマン)が日本初上陸、3月5日まで一般公開も実施

MINIは、3月2日の“ミニの日”に「MINI Concept Aceman」(コンセプト エースマン)を日本で初公開した。このモデルはミニの将来的な姿を示すコンセプトカーである。3日から5日は一般公開される。 MINIの将来を示すモデル 昨年7月に欧州で発表された「コンセプト エースマン」は、MINIシリーズで初となるクロスオーバー・タイプの電気自動車コンセプトカーだ。MINIが将来のブランド特有のドライビング・プレジャーの決め手となると考えているデザインと、技術革新にスポットライトが当てられた。 具体的には、明快で無駄のないデザイン言語「カリスマティック・シンプリシティ」、新しいデジタル・インテリア体験、レザーやクロームのエレメントをまったく使用しない素材を利用することで、新しいMINIの幕開けを告げるものとなっている。 なお、全長4.05m、全幅1.99m、全高1.59mという、ブランドに期待されるプロポーションを備え、空力性能にも長けたボディが将来のMINIを示している。 ドライバーを迎えてくれるフロントエンド 正面から見てみる。まず目につくのが、ヘッドライトとフロントパネル(ラジエター・グリル・エレメント)だ。ヘッドライトは従来の丸型から、独自の輪郭を持つようになった。パネルの周囲は明るい表面で囲まれ、従来の六角形の輪郭はさらに洗練の度を増して八角形とされ、ユニークで印象的な光をつくり出す。なお、パネルは完全に閉じられており、上部にはマトリクスLEDユニットが組み込まれている。 通常フォグランプが装備されるあたりに位置する、赤色のメッシュ時のパーツは、スピーカーとなっている。EVはパワーユニットからの音がわずかなため、安全性能の観点から擬似的に走行音を作り出すべく、車外向けスピーカーを搭載した車種はあったが、それら以外の利用も踏まえられている。 これらのフロントパネルとスピーカーは、車両に人が近づくと前方の光によって追跡したり、音量がクルマとユーザーとの距離に連動したインタラクティブなサウンドが流れるという、カミングホーム機能に利用されている。 モダンながらも60年代を感じさせるサイドビュー サイドのシルエットは、MINIの元祖である、オリジナル・ミニのデザインを尊重している。その一方でボディ下端のワイドなサラウンド、力強いシルエットのホイール・アーチ、大径ホイール、印象的なルーフ・ラック、 アンダーライド・プロテクションなどを備えており、市街地走行に適したクロスオーバー・タイプとして、堅実でオールラウンドな特徴が強調されている。 タイヤに関しては、前後ともにピレリ製のP ZERO 245/40R20 99Wを装着している。同社のMINI TIRE CATAROGUEを見る限り、コンセプトカーが装着していたタイヤは最大サイズのものとなっている。よく見ないと気づかないかもしれないが、ホイールのリム中央には、三角形の輪郭が表現されており、スポークに視覚的な深みとダイナミズムを持たせている。 自分らしさを表現できるリアエンド リアでは、印象的なテールライトに着目したい。ここにもフロントのラジエター・グリル・エレメントやヘッドライトの内側と同様、マトリクス LEDユニットが採用されており、状況に応じて異なる照明シナリオが可能となっている。これらのライトの点灯の仕方を制御することで、ブレーキランプをユニオン・ジャック模様に表示できる。MINIデザイン責任者オリバー・ハイルマーは、将来的にはドライバーが自身でテールランプの表示形式をカスタマイズすることが実現すると話していた。

TAG: #MINI #エースマン
TEXT:曽宮 岳大
純正ホイールに変化。MINI(ミニ)が電気自動車に採用したホイールはエコなだけでなく、スタイリッシュで空力にも配慮

自動車に使われる素材に変化が見られつつある。最近では、環境保護の観点から本革不使用をうたうメーカーが出てきたり、リサイクル素材の使用を強化するなど、エコな素材の利用を模索する取り組みが加速している。そうしたなか、BMWグループはMINI(ミニ)の限定の電気自動車「ミニ・クーパーSEコンバーチブル」に、リサイクルアルミで作られたホイールを採用。強度や品質を確保しつつ、CO2排出量を大幅に低減し、さらに空力面にも配慮した革新的なホイールを完成させた。 CO2排出量を最大75%削減 「ミニ・クーパーSEコンバーチブル」に純正採用されるアルミホイールは、リサイクル素材のみで作られている。アルミホイールへの完全リサイクル素材の採用は、量販モデルでは同ブランド初という。なお同ホイールは、アルミホイールメーカー、ロナール(Ronal)とBMWのコラボレーションにより実現したもの。参考までにロナールは現在、アフターマーケット用ホイールとして有名なSPEEDLINE(スピードライン)の供給元でもある。 BMWグループによれば、再生アルミニウムを使用することで、原材料の消費を抑えられるだけでなく、製造工程においてエネルギー消費の大きい電解工程を省けるため、CO2排出量を大幅に抑えられるという。具体的にはアルミニウム1kgあたりのCO2排出量は0.16kg で済み、従来品に比べると工場でのCO2排出量を最大75%削減できるとのこと。 ディスク面に空力デザインを採用 完成したアルミホイールは、デザインも特徴的。4本あるスポークのうちの1本がセンターキャップと繋がった非対称デザインを採用となっており、ミニらしいユニークかつ目を惹くディスク形状となっている。 さらに細かに見ていくと、スポーク間の空間を半分ほど覆うインレイが設けられている点に注目したい。これはホイール内への空気の巻き込みを防ぐことで、空力を向上させるもの。通常のホイールではブレーキの冷却のため、スポーク間の空間を確保したものが一般的だが、ミニ・クーパーSEコンバーチブルはEVゆえ、通常のブレーキ以外に回生ブレーキで制動力を生み出すことができるゆえ、このような特殊なデザインを採用しやすいのかもしれない。

TAG: #MINI #ホイール
TEXT:曽宮 岳大
MINI初のオープンEV「クーパーSEコンバーチブル」製品詳報

BMWは電気自動車の「クーパーSEコンバーチブル」を欧州において999台限定で発売することを発表した。現在欧州におけるMINIの電動モデルのラインナップは、ハッチバックの「クーパーSE」と、プラグインハイブリッドの「クロスオーバーPHEV」(現地名カントリーマンPHEV)の2種類で、これに限定モデルとしてオープン版の「SEコンバーチブル」が加わる格好だ。さらに2023年中に新たなEVが披露される予定もある。 クルマ好きを刺激する4シーターオープンEV ミニがEVの「ミニクーパーSE」を発表したのは2020年。クーパーSのEV版ということで「SE」の呼称が与えられた3ドアハッチバックは、欧州で堅調に台数を伸ばし2022年には2万7000台を販売。ミニ全体の22%を占めた。 今回の「クーパーSEコンバーチブル」の設定は、こうした欧州におけるEVの需要の高まりに応えるもの。オープン+EVというニッチな仕様を仕向地のニーズに応じて展開できるのは、生産ラインが柔軟な生産体制に対応できることを示している。なおクーパーSEコンバーチブルはオランダの工場においてミニコンバーチブルと同じ生産ラインで組み立てが行われる。 クーパーSEコンバーチブルは、ブラックとシルバーの2種類のボディカラーが設定され、ドアハンドルやサイドガーニッシュ、ライト周りにはブロンズの装飾が施される。また、ドアシルのトリムとサイドガーニッシュには限定車であることを示す「1 of 999」の文字が入る。 ホイールは、「エレクトリックパワースポーク」と呼ばれる2トーン仕様の17インチ専用アルミホイールが採用される。こちらは循環素材を用いるとともに、製造時にグリーン電力を用い環境に配慮したものとなっている。 インテリアは、ヒーター機能付きのナッパレザー製スポーツステアリングホイールや、シートヒーター付きのスポーツシートなど、スポーティ感と快適性を共に高めた仕様となる。他にもピアノブラックの加飾やアンビエントライト、EVのみのイエローのカラーアクセントにより、特別感が高められているのが特徴。また、ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、ミニドライビングアシストなど運転支援機能も備えている。

TAG: #BMW #MINI
TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第4回:MINI Eのヤンチャぶりに惹かれた!

わが家にMINI Eがやってきた 前回は、主にスマートed のあれこれを書いたが、今回は「MINI E」について書く。 MINI Eとは、「EVの可能性や問題点を世界規模で掬い上げること」を目標に作られた実証実験車。アメリカ市場の450台を筆頭に、世界の市場に送られた。 日本での実証実験は、2011年の早い時期から始まったと記憶している。 ちょっと乗るだけの安易な試乗ではなく、一定期間続けて乗ってもらい、日常的な使用条件下での評価やデータを引き出す…といった、大規模で真剣な取り組みだった。 日本に何台来たのかは忘れたが、わが家には、たしか2週間ほど滞在したかと思う。 艶やかなチタングレーにライトイエローのアクセントが素敵 それより半年ほど前、MINI E は日本でお披露目された。東京ビッグサイトで開催された「BMW Group Mobility of the Future -Innovation Days in Japan 2010」がその舞台。 外見的にはMINIそのもの。だが、艶やかで深みのあるチタングレーのボディ、ライトイエローのルーフとドアミラーという装いは、とてもスタイリッシュ、かつ未来的に見えた。 ボディサイドの……これもライトイエローで描かれた「MINI+ 電気プラグを表すEmoji」もカッコよかった。 会場の照明は落とされ、舞台だけが、それもMINI E だけが、非日常的なインパクトで浮かび上がっていた。この演出とライティングは巧みだった。僕は完全に惹き込まれた。 もし、MINI Eが市販され、このデザインがカタログにあったら、僕は一も二もなく、これを選ぶだろうと思った。 印象的なライトイエローはインテリアにも使われていた。ダッシュボードとドアトリムに組み込まれたライトイエローのアクセントにも、僕はコロリとイカれてしまった。 基本的には市販モデルと同じインテリアなのに……僕には強烈なインパクトだった。まだ乗ってもいないのに、「僕の次のクルマはこれだ!」と心に決めた。 僕のクルマ選びに当たって、いちばん大事なのはデザイン、次に大事なのはブランドだが、どちらも文句なし。加えて、新たな時代を駆け巡ることになるだろうEVなのだから、これは買うしかない。そう思ったのだ。 2シーター、50:50、低重心、鋭い加速と強力な効きの回生ブレーキ……。楽しくて仕方がない 35kWhのリチウムイオン電池は後席部に搭載する。だから、MINI E は二人乗りだ。この潔さも僕は気に入った。「さすが、MINIのやることはカッコいい!」とさえ思った。 電池重量は260kgとされたが、現在の電池よりはるかに重い。ちなみに、僕のプジョー e-208GTは50kWhで235kg。これからも電池はどんどん進化してゆくだろう。 後席を潰して2座席化したが、重量配分はほぼ50:50にされ、当然重心も低い。 ルックスは一目惚れだったが、ステアリングを握って、その気持ちはさらに加速。それも猛烈に加速した。 発進する時、下手にアクセルを踏み込むと前輪は激しく空転。強いトルクステアもでた。でも、そんなヤンチャぶりにも惹かれた。 EVの楽しさは、アクセルを踏んだ時の鋭角なトルクの立ち上がり、加速のレスポンスにあるが、MINI Eはその見本のようだった。 もうひとつ、惹きつけられたのは「回生ブレーキ」。「こんなのあり!?」と思ってしまったほど強力な効きに、初めは戸惑った。でも、慣れるにつれて「楽しくて仕方がない」状態に引き込まれていった。 文字通り「アクセルペダルのコントロールだけ」で自在に走らせられた。縦横無尽に加減速をコントロールできた。僕は完全に依存症状態になってしまった。 一般論で言えば、明らかに過剰な設定だったとは思う。……が、僕は「このまま」市販してほしいと心から思った。 MINI Eの開発者たちは「EVの楽しさ」をフルに詰め込んだ。市販モデルには無理だとしても、実験車に触れる人たちには「EVって、こんなにドキドキ、ワクワクするんだよ!」と伝えたかったのだろう。 もし、MINI Eが、ほぼあのままで市販されていたら、僕の「EV第1号」になっていたのは間違いない。そして毎日、「走りたくてしょうがない症候群!?」にかかっていたのも間違いないだろう。 第5回はこちら

TAG: #EVは楽しい! #岡﨑 宏司
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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