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「EVの電力は結局火力発電じゃん」は木を見て森を見ず! EV化がもたらす本当の環境への優しさとは


TEXT:御堀直嗣 PHOTO:TET編集部/写真AC
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バッテリーやモーターの再利用まで考慮する必要がある

ところで、W to Wやライフサイクル・アセスメントは、ひとつの製品の生涯(誕生から廃棄)における評価の仕方であり、これは20世紀までの物づくりの上に成り立っている。しかし現在のEVは、リチウムイオンバッテリーを用いるため、その性能はEVの廃車後も継続する。

EVで働き終えたリチウムイオンバッテリーは、まだ70%ほどの容量を残している。廃車後にすぐ資源に戻すリサイクルを施すのではなく、70%も容量を残すリチウムイオンバッテリーを定置型として活用することが不可欠だ。たとえば再生可能エネルギーの発電による一時的な電力貯蔵や、災害支援のための電源確保、あるいは鉄道の踏切、また交通信号などで万一の停電に対する支援など、既存の電力供給網のうしろ盾となる働き場所がある。

使用済みEVを利用した蓄電池

二次利用されるリチウムイオンバッテリーは、EV製造時にCO2排出を含めた環境性能が査定されているのでCO2排出ゼロで製品化できる。もちろん製品を作る際にある程度のエネルギー消費はあるが、新品のリチウムイオンバッテリーを採用するのに比べ、環境負荷を少なく評価できる。

別の見方をすれば、そもそもEVとしては容量の30%ほどしか使えないのであれば、リチウムイオンバッテリー製造時のCO2排出量の30%程度のみEVの環境性能とし、エンジン車やHVと比較してみることも検討の余地がある。

レアアースを用いるモーターについては、家庭電化製品のモーターの耐久性の高さからも想像できるように、1台のEVで利用を終えてもモーター機能はそのまま別のEVで使えるほど耐久性が高いと、初代リーフの時代からいわれている。これについても、EV製造のために必要とされたレアアースの入手におけるCO2排出量は、EV2台ぶんにわけて評価してもいいという考え方もできなくない。

初代リーフのバッテリーセルを使用したポータブル蓄電池

いいたいことは、過去の製品や商品の環境性能の評価は、W to Wもライフサイクル・アセスメントも1代限りの評価だったということだ。しかし、EVで使われるバッテリーやモーターは、使用後もまだ用途が残されており、1代限りでの評価は必ずしも正当ではないといえるかもしれない。

また、いまの電源構成を前提とした環境評価はひとつの視点ではあるが、クルマは新車として誕生してから十数年は利用されるのが一般的で、いま購入した新車は2036~2040年ごろまで走り続ける可能性が高い。その時代に使う電力事情によっては、使用段階での排気ゼロがより重要性を高めることになる。

2036~40年になってなお排気を出し続けることがどのような環境負荷を与えるか。自分が購入しようとするクルマの生涯(十数年後)に視線を伸ばしながら環境性能を評価することが必要ではないだろうか。

いま証明される環境性能が無駄であるというわけではない。しかしその評価はいまの性能でしかなく、クルマや家庭電化製品のように十年単位で長もちする製品に対しては、10年後の電力供給の様子を視野に選択肢を検討するのがいいのではないかと思う。

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