随所に光る子育て世代に対するダイハツメイ
初代ミゼットは、「街のヘリコプター」と呼ばれていたそうで、このミゼットXにもそのエッセンスを取り入れている。カプセルをイメージしてデザインされたキャビンに合わせ、大きく湾曲させたフロントウインドウがそれだ。
ウインドウ下部は左右に向けてなだらかなカーブを描き、左右の視界を広げ死角を低減している。こうすることで、運転に不慣れなドライバーに安心感を与えるのが狙いだという。また、キャビン後方に向かって伸びるフレームも、ヘリコプターのテールをイメージしてあえて黒色に塗装して目立たせている。
ちなみに、荷台に取り付けられたボックスは、なんと幼児向けのペダル無し自転車「ストライダー」を収納できる大きさで設計したそうだ。現役で子育て中の筆者自身もやることだが、休日に親御さんがストライダーを自転車の前カゴに載せ、子どもとともに自転車の練習に向かう姿をよく目にする。都市部で生活する子育て世代の実態をよく考えて設計されているなと感心した。
一方で、ドアノブは多くのクルマに見られるようなものではなく、住宅のドアに使われるような丸い形状のだ。これはなるべく普段接するものから大きく形状を変えないことで、クルマに乗りなれない人にも違和感なく使ってもらうための配慮だという。
また、ドア内張りに取り付けられたボルダリングの石(ホールド)のようなものも、子どもが車内に乗り込むのが楽しくなるように「プレイランド」をイメージして取り付けたという。
モビリティによる課題解決にむけ市販化を熱望
ファニーでホビー的な見た目ながら、ミゼットXは運転に不慣れなドライバーや自動車に触れる機会が少ない人、そして日々自転車で子どもの送り迎えに奮闘するお母さんとその子どもたちのことを真剣に考えたモビリティなのだ。それを大真面目に作ってしまうとクルマに抵抗感を感じている人にとっては違和感が生じてしまう。だから人懐っこいデザインを採用することで、スムーズなモビリティ転換を目指している。
こうすることで、大雨の日に大変な思いをして子どもを送迎する自転車ユーザーの負担が少しでも軽減されれば良い。怪我のリスクが高い自転車事故に子どもを巻き込んでしまう可能性も、これで少しでも軽減できれば良い。それこそが子育て世代に対するモビリティでの課題解決というもので、それが未来のダイハツメイ「ミゼットX」というモビリティなのだと思う。






















































