レギュラーガソリンでもEV優位は変わらない
電気とガソリンそれぞれの単価をWLTCモードの電費と燃費に当てはめ、1kmを走るのに必要なコストを計算した結果は次のとおり。
FIAT600e(EV)=3.906円
FIAT600 HYBRID(マイルドハイブリッド)=7.758円
説明不要というくらい明確に、EVのランニングコストが安くなっている。
ちなみに、ガソリン税(53.8円)相当を抜いて、計算をしてもマイルドハイブリッドが1kmを走るときに消費するハイオクガソリンは5.439円ほどのため、現時点の電力&燃料コストで計算すると、EVのほうが安価に走ることができるといえるのだ。
仮にFIAT600 HYBRIDがレギュラーガソリン仕様だったとして試算すると、どうなるだろうか。レギュラーガソリンを170円/Lとして計算すると、1kmを走るのに必要なガソリン代は7.327円となる。ガソリン税相当を抜いても5.008円だから、同等の車格であればEVより安価に走ることのできるエンジン車を作るのは難しいといえそうだ。
トヨタのハイブリッドカーであればもっと燃費に優れるという意見もあるだろう。そこで、同じボディでトヨタ式フルハイブリッドとEVのバリエーションを用意するレクサスUXのWLTCモード電費と燃費で同様の比較をしてみたい。
計算方法や条件については前述したので、ここでは数値だけシンプルに記していこう。なお、レクサスUXのハイブリッドはレギュラーガソリン仕様だ。
UX300e(EV):141Wh/km→4.371円
UX300h(ハイブリッド):26.3km/L≒0.038L/km→6.460円
燃費性能で世界のトップを走るトヨタハイブリッドをもってしても、トヨタの技術で作るEVのランニングコストを超えることはできない。ガソリン税を抜いて計算すると4.416円となるので、EVのランニングコストに肉薄するが、逆にいうとガソリン税が廃止されたとしても、EVとハイブリッドカーを走らせるコストは同等レベルということだ。
ただし、ここではEVの電気代を、一般家庭の契約による普通充電の単価で計算している。急速充電など公共の充電インフラを使うと、ここでの試算より多額のコストがかかるのは確実だ。車両価格やリセールバリューといった要素を含めると、試算は複雑になるが、EVとエンジン車のコスト負担についての印象が変わるかもしれない。
とはいえ、シンプルに「毎日走るための電気代と燃料代で比べると、EVにコストメリットがある」というのは事実。そこを認識したうえで、EV所有を検討してほしい。