日産サクラやホンダN-ONE e:の強敵となるか
ちなみに日産サクラのベーシックなXは、20kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載して、1回の充電によりWLTCモードで180kmを走行できる。運転支援機能はオプションで、安全装備を相応に充実させて、価格は259万9300円だ。国から交付される補助金は57万4000円だから、実質価格は202万5300円になる。インスターカジュアルの実質価格は、リーフXよりも約26万円高いが、42kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載することも考えると割安に感じられる。
この点を踏まえると、インスターは街なかの移動が中心で、なおかつサクラの20kWhのリチウムイオン電池容量では物足りないユーザーに適する。ボヤージュやラウンジを含めて、割安な価格と、軽快で個性的な内外装が気に入って選ぶことも考えられる。
果たしてインスターは、日本で好調に売れるのか。軽快で個性的な内外装の評価も影響するだろう。軽自動車のサクラは、内外装を上質に作り込んで人気を高めたからだ。2024年度(2024年月から2025年3月)に国内で販売された乗用電気自動車の内、サクラが36%を占めた。インスターを堅調に売るには、サクラとは異なる魅力を備える必要がある。
また、中国のBYDは、2026年後半に、軽自動車サイズの電気自動車を導入すると公表した。その詳細やデザインは不明だが、サクラや今後登場するホンダN-ONE e:といった軽自動車サイズの電気自動車にとって、インスターが強敵になる可能性がある。
クルマの場合は販売網も完備も大切だ。そこでBYDは、準備中も含めると販売店舗数が全国で約60カ所に達している。また、電気自動車では、数年後に売却するときの価値を気にするユーザーが多い。そこでBYDでは、価値の下落を抑えることも考慮して、認定中古車制度を発足させた。クルマは財産価値が大きいから、車両以外の販売網、メンテナンス、売却時におけるサービスの充実も不可欠だ。
インスターを堅調に売るためにも、ヒョンデには、日本のユーザーに適した付帯サービスを提供することが求められる。