2025年3月
TEXT:すぎもと たかよし
「ジャガー終わった」「こんなのジャガーじゃない」 異様なBEVコンセプトカー「TYPE 00」にデザインのプロが判定を下した

派手なスタイリングに隠されたエッセンス 昨年12月、マイアミ・アートウィーク2024で発表されたジャガーのコンセプトカー「TYPE 00」が話題沸騰です。「こんなのジャガーじゃない」「ジャガー終わった」など否定的な意見が圧倒的ですが、果たして本当にそうなのでしょうか? 今回はあらためてこのデザインを検証してみたいと思います。 「Exuberant Modernism」、活気あふれるモダニズムをコンセプトとしたTYPE 00は、今後ジャガーがBEV専業メーカーへ移行するに当たっての「革新」を強力にアピールするための象徴といえます。したがって、当然それ相応のインパクトは必須なワケです。 1960年代の「E-TYPE」をオマージュした「ロンドンブルー」はともかく、マイアミの街を象徴した「マイアミピンク」のボディカラーはたしかに衝撃的ですが、それはジャガーも折り込み済みということでしょう。 じゃあスタイリング自体はどうなんだ? といえば、これは次世代モデルの「プロポーション」「サーフェス」「ディテール」を大胆に誇張して予告したと見るべきだと思えます。 まずプロポーション。TYPE 00は一見ぶっ飛んだスタイルに見えますが、ショートオーバーハングのロングノーズスタイル、豊かなリヤフェンダーなどは、現行の「F-TYPE」と基本的には同じクーペらしいスタンスですし、分厚いボディとスリムなキャビンの組み合わせも「XJ」や「XF」(生産終了)などに見られる近年のジャガーの特徴です。

TAG: #TYPE 00 #コンセプトカー #デザイン
TEXT:まるも亜希子
静かなのがEVのウリじゃなかったの? 疑似エンジン音を響かせるEV2台に乗った結果は……

擬似エンジン音を聴くことができるEVが登場! 純粋なガソリンエンジンの音は、疾走感やエモーショナルな高揚感、自分とクルマとの一体感などを高めてくれるものとして、大きな役割を果たしてくれました。古くから「名機」と愛されたエンジンには、やはりその音が好きだというファンも多かったように思います。 R32こと日産スカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETT。究極の自然吸気エンジンとの呼び声高い、ホンダS2000に搭載されたF20C型直列4気筒DOHC・VTEC。世界初の量産ロータリーエンジンの独特な音色が響く、マツダRX-7に搭載の13B-REW型などなど。人それぞれお気に入りの音があることでしょう。 しかし、電動化車両、とくに100%ピュアEVともなると、「静かさ」を魅力のひとつとして強調しているモデルがほとんど。エンジンの音がなくなったことで、風切り音やロードノイズ、モーターの音などが目立つようになり、それさえも室内から排除しようとあの手この手で防音対策が取られています。 そうした音のない世界で「走っている」という実感やリニア感を感じるには、加速Gや減速Gがもっとも大きな要素となっているのではないでしょうか。モーターで無段階にスルスルと加速していくなかでも、自分のペダル操作でそれらのGを作り出し、「自分はいま、このクルマと一緒に走っているんだ」と思い込むことができる環境を作ろうとしているのかもしれません。 そんななか、近ごろではEVなのに擬似エンジン音を聴くことができるモデルが登場しています。しかも、メーカーが率先して音にこだわり、魅力のひとつとして打ち出しているのです。代表的なモデルでは、アバルト500eやヒョンデIONIQ 5 N。 まずアバルト500eは、何も知らずにシステムをONにするとギョッとしてしまうくらい、地響きかと思うようなド派手な音が轟きます。深夜の住宅街や地下駐車場なんかだったら、きっと周囲の目が気になることでしょう。

TAG: #エンジン音 #音
TEXT:TET 編集部
湘南・鎌倉エリアの観光が電動トゥクトゥクで変わる! eMoBiが小型三輪EVと専用アプリで混雑解消を目指す

鎌倉を起点にした湘南エリア観光を逆向きに! 円高や政府の観光立国に向けた取り組みにより、海外からの観光客が急増している日本では、各地でオーバーツーリズムによる諸問題が噴出している。それは、もともと日本人観光客からも人気があった湘南・鎌倉エリアでも同様で、平日でも鎌倉の小町通りや漫画「スラムダンク」にも登場する鎌倉高校前、由比ガ浜に江の島といった浜辺は、どこも大混雑。海岸沿いの国道134号線やアクセス路線である江ノ電も終日混雑し、移動に時間がかかってしまっているのが現状だ。 それらの問題に対し、小型三輪EVの電動トゥクトゥクと専用のスマートフォンアプリを用いて観光客の利便性を向上させる取り組みが始まった。 2025年3月1日から提供が開始されたスマートフォンアプリ「Emobi」は、2020年に創業したモビリティスタートアップのeMoBiが展開している3人乗り小型三輪EVのレンタルサービス「Emobi(えもび)」と連動して利用される、キャッシュレス決済・シェアリングサービス用の多機能アプリだ。 Emobiは観光地における自由で効率的な周遊を実現すべく始まったサービスで、これまでに鎌倉や沖縄、九州北部など、全国的にサービスが展開されている。 すでにEmobiのサービスを実施している鎌倉ではあるが、湘南・鎌倉エリア専用のアプリが開発された背景には、このエリアが抱える観光客の人流特性にあるという。大都市圏の東京や横浜から湘南・鎌倉へ行こうとすると、電車ならばJR横須賀線で鎌倉駅まで行き、その先へは江ノ電に乗り換えていくのが一般的。クルマの場合も横浜横須賀道路の朝比奈インターから一般道を経由して鎌倉へ入るのが自然で、いずれも東京・横浜寄りの鎌倉を起点に湘南エリアへ入っていくこととなる。 つまり、周遊観光をするにしても鎌倉から江の島方向へ向かう右回りルートに観光客が集中し、混雑が発生していることが指摘されている。 そこで地域の価値創造に関する課題を解決するeMoBiは、JR大船駅から湘南江の島駅に向かって走る湘南モノレールと連携し、スマートフォンアプリ「Emobi」と自社の電動トゥクトゥクを連携した観光DXで、江の島から鎌倉へ向かう左回りルートでのエリア観光を推進し、人流の分散化を目指すこととした。

TAG: #三輪EV #小型モビリティ
TEXT:高橋 優
BYDの強みはEVだけじゃなくバッテリーメーカーという点! 世界規模でシェアを伸ばすバッテリー供給戦略の次なる一手

BYDが全固体電池に関するスケジュールを発表 中国BYDが全固体電池の見通しについて、2027年中に全固体電池搭載EVの量産をスタートしながら、2030年までに普及モデルに対しての導入を行うと発表しました。EVのリーダーであるBYDの全固体電池開発に対する期待と懸念を解説します。 まず、BYDは現在、世界最大のEVメーカーでありながら世界で2番目のバッテリーサプライヤーです。このグラフは世界の主要バッテリーサプライヤーのBEVに搭載された電池量の変遷を示したものです。CATLのあとにつけるのがBYDであり、2024年シーズンは153GWhを納入しています。 BYDについて注目するべきは生産能力の拡張のスピードです。2021年シーズンは26.4GWhという納入量だったことから、たったの3年間で6倍も成長したことになります。これまでは自社EV分のバッテリーを生産していたものの、2024年シーズン以降、外販にも本格的に注力。すでにテスラやトヨタ、シャオミなどにバッテリーを供給しており、今後はさらに中国メーカー勢やスズキ、ステランティスなどへも供給する見込みです。 その一方で、シェア拡大という観点で苦戦が続いているのが日韓勢の存在です。韓国最大手のLGエナジーソリューションは2024年シーズンに96.3GWhと、2023年シーズンと比較して納入量をほとんど増やすことができていません。さらにパナソニックは、前年比マイナス18%という結果に落ち込んでいます。 また、このグラフはバッテリーサプライヤーのマーケットシェア率の変遷を示したものです。トップのCATLは2024年に37.9%、BYDも17.2%を実現。上位2社で世界のEV用バッテリーの過半数を抑えてしまっている状況です。とくに3位以下のLGやSK、パナソニックなどが軒並み前年比で成長することができていないという点を踏まえると、2025年もCATLとBYDのシェア拡大が続くものと見られます。 そして、この世界のEV向けバッテリーで存在感を高めるBYDは、2030年に向けてバッテリー技術革新でふたつのアプローチを採用しようとしています。まずは独自開発のLFPブレードバッテリーの改良、コストダウン、そして生産拡大です。 すでに生産中の第一世代のブレードバッテリーのエネルギー密度は、LFPとして業界最高水準を実現済みです。たとえばATTO 3のエネルギー密度はパックレベルで150Wh/kgを実現。これは、三元系のトヨタbZ4Xや日産アリアと同等水準のエネルギー密度です。まさに一部メーカーの三元系バッテリーと同等のエネルギー密度を実現することで同等のEV性能を担保しながら、その上でLFPの強みである安さによって生産コストを大幅に削減することに成功しています。BYDのEVが高いコストパフォーマンスを実現できている最大の理由が、このバッテリーなのです。 また、BYDは3月中にも長らく待望されていたブレードバッテリーの第二世代を発表する見通しです。第二世代に関するリーク情報では、おもに超急速充電にフォーカスするショートブレードと、エネルギー密度のさらなる向上にフォーカスするロングブレードの2種類に分割する見通しです。 まず主力車種に搭載されるロングブレードでは、セルあたりのエネルギー密度を概ね200Wh/kg級にまで高めることでセルの搭載数を最適化し、車両重量の軽量化などを実現する模様です。 そして、フラグシップに搭載されるショートブレードでは、エネルギー密度は第一世代とさほど変わらない見込みながら、超急速充電に対応。Han Lには83.212kWhバッテリーが搭載されることが判明済みで、少なくともCレートで6Cとなる500kW級の超急速充電出力に対応し、充電時間は10分程度を実現する見通しです。 さらにBYDは、既存のLFPバッテリーの改善と同時並行で、トヨタ、ホンダ、日産という日本勢も研究開発を進める全固体電池の開発にも注力しています。BYDの全固体電池の研究開発は2016年から基礎研究がスタート。2023年までに基礎研究段階を終了して、2024年中に20Ahと60Ahの全固体電池セルの試作品の生産をスタート済みです。

TAG: #全固体電池 #普及
TEXT:山本晋也
モーターの「空回し」はムダな抵抗! メルセデスが採用する電費向上技術「DCU」ってなに?

DCUは「Disconnect Unit」の略称 メルセデス・ベンツのEV(電気自動車)といえば、EQというアルファベットで区別できるようになっているが、そのEQファミリーにおいて「DCU」という独自のメカニズムが拡大しているのにお気づきだろうか。 EQE SUVを皮切りに、EVフラッグシップのEQSシリーズにも採用されている「DCU」は、航続距離を伸ばすことが期待できる革新的かつメルセデス・ベンツのようなプレミアムモデルでないと実装が難しいといえるテクノロジーといえる。 あらためて、DCUとは「Disconnect Unit」の略称。直訳すると「断ち切る装置」といったとこだろうか。特徴としては、前後に駆動モーターを持つ4WDのEVだけが備えるメカニズムとなっている。 EQシリーズにおいても、上級グレードに採用されている印象の強い2モーター式の4WDは、ハイパフォーマンスかつ走行安定性アップを実現するだけではない。EVの場合は4輪で回生ブレーキを利かせることで減速エネルギーを回収できる能力が高まるメリットもある。 唯一といえるウィークポイントは、1モーター駆動で十分に走行できるような状況において、もうひとつのモーターが走行抵抗となってしまうことだ。いわゆるコースティングと呼ばれる惰性で走るような状況において、片方のモーターは“ジャマ”になってしまう。 メルセデス・ベンツの開発した「DCU」は、そうしたウィークポイントを解決するソリューションといえる。このメカニズムを搭載しているモデル(EQEやEQS)はリヤ駆動を基本としているので、低負荷でコースティング的な走行をする際にはリヤモーターだけが駆動していればいいことになる。

TAG: #DCU #EQ #メカニズム

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