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AIなどを活用した新たな解決策も必要か
<TOP1:充電待ち列横入り問題>
さて、どこでも起こっていると思われるのが、EV充電ステーションでの古典的なトラブルのひとつである「横入り問題」だ。充電待ちのクルマが続々と列を作るなか、「だれが先だったのか」という問題で駐車場が戦場と化すことがある。とくに明示的な待機場所がない、混雑する高速道路のサービスエリアや休日のショッピングモール、観光地などで顕著になる。
紳士的に順番を守るドライバーもいれば、無謀に割り込もうとする者も。疲れた顔でドライバー同士が視線をぶつけ合い、ときには口論に発展することもある。差し当たっての対策としては、充電ステーション管理者による明確な案内表示や、アプリによる順番管理システムの導入が考えられるが、そういう仕組みを取り入れているところはまだ少ないようだ。
<番外編:想定外のケーブル問題>
そのほか、充電ケーブルにまつわる問題がある。急速充電器のケーブルは太くて重い。そのため、取りまわしに苦労する人も多い。ケーブルを引っ張りながら歩いていると、隣のクルマにケーブルが当たってしまうことがあるのだ。「ガリッ」という音とともに、隣のクルマに傷をつけてしまった瞬間、充電スタンドは修羅場と化してしまう。
また、充電ポートの位置によっては、ケーブルが車体に接触し続けることもある。長時間の充電中、強風にあおられたケーブルが車体を擦り続け、クルマに戻ると車体に傷が。これぞ「EVユーザー泣かせの落とし穴」である。充電時は細心の注意を払う必要がある。
<その他技術的課題も>
充電器においては、技術面でも充電器の故障や通信エラーによるトラブルが発生している。決済システムの不具合や、充電器と車両間の通信エラーにより、充電が開始できないケースも少なくない。充電計画に入れていた充電器が故障で使えないと、最悪「電欠」になってしまう。また、寒冷地では、バッテリーの温度が低下し充電速度が大幅に低下することで想定以上の待ち時間が発生することがある。
このように、EVの普及に伴ってユーザーが増えるにつれ充電スポットでのトラブルが増加傾向にある。しかし、これらの多くは利用者間の相互理解とマナーの向上、そして充電設備の技術的進化により解決可能な問題である。メーカーやインフラ事業者も、より使いやすい充電環境の整備に向けて、ハード・ソフト両面での改善を進めている。
今後はAIによる混雑予測や予約システムの導入など、新たな解決策も期待される。と同時に、利用者のモラル向上も重要な課題となっている。EVオーナーはぜひとも寛大な心で充電器まわりのトラブルを少しでも減らすよう配慮していきたい。