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モーターパワーだけ見てもダメ! 見慣れない数値が並ぶ「EV諸元表」の読み解き方


TEXT:渡辺陽一郎 PHOTO:TET 編集部
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ややこしいのは最大充電能力の違い

EVはリチウムイオン電池に充電された電気を使い、モーターを駆動して走る。したがってガソリン/ディーゼルエンジン車とは各種の数値に異なる部分が多い。

動力性能の表記は、エンジンと同じく最高出力がkW(PS/馬力)、最大トルクはNm(kg-m)だが、これは駆動用電池の出力にも左右される。同じモーターを使っても、駆動用電池の出力が向上すれば動力性能も高まる。そして、リチウムイオン電池の総電力量(電池容量)は、kWhで表記される。

たとえば日産リーフの場合、駆動用リチウムイオン電池には、40kWhと60kWhの2種類がある。モーターの型式は同じで、定格出力も85kWで等しいが、運転すると動力性能は60kWhがパワフルに感じる。その理由は、60kWhのバッテリー出力が40kWhのタイプを上まわるからだ。EVの動力性能は、数値の違いだけではわかりにくい。

日産リーフ

また、エンジン車にはないデータとして、一充電走行距離の数値も示されている。1回の充電で走行できる距離のことで、リーフの場合、駆動用リチウムイオン電池が40kWhのグレードは322kmだ。60kWhになると450kmまで伸びる。

ちなみにエンジン車には、WLTCモード燃費と燃料タンク容量が記載されている。ノートX・2WDではWLTCモード燃費が28.4km/L、燃料タンク容量は36リットルだから、1回の給油で走行できる距離は単純に掛け算すると1022.4kmだ。

充電時間と給油時間の違いもある。ガソリンや軽油の給油は数分で済むが、EVの充電時間は長い。リーフを200V/6kWの普通充電器で充電した場合、40kWhは満充電まで約8時間、60kWhは12.5時間を要する。これが急速充電器なら、80%までの充電で40kWhが約40分、60kWhは約1時間とされる。

充電のイメージ

ややこしいのは最大充電能力の違いだ。60kWhは100kWの高出力急速充電器にも対応しているため、最短では充電所要時間を50分程度に抑えられる。しかし40kWhは、最大で50kWhしか受け付けられないため、高出力急速充電器を使っても充電所要時間は前述の約40分に留まる。

このほか、EV、PHEV(プラグインハイブリッド)、燃料電池車には、補助金も用意されている。2024年度の場合、リーフであれば、国から交付される補助金は全グレードにわたって85万円だ。このほか自治体から交付される場合もあり、EVの購入に伴う補助金額は地域格差が大きい。

以上のようにEVには、エンジンを搭載したクルマとは異なる特徴が多い。

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