コラム
share:

「30分で80%」って聞いてたのに半分しか充電されない……は普通に起こりうる! EVの急速充電の真実とは


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:テスラ/TET 編集部
TAG:

EV購入時には充電環境もチェックしたい

<充電器側のスペックが決め手>

EVの充電速度を左右する重要な要素として、充電器自体の性能もある。現在、日本の急速充電器の主流は50kW出力だが、最新の急速充電器のなかには150kW出力のものも増えている。

しかし、EV自体が150kWでの充電に対応していなければ、大出力の充電器を使用しても意味がない。ちなみに、日産サクラの急速充電の受入最大能力は30kWだ。そのため、最大出力50kWの急速充電器を利用しても、ましてや150kWの急速充電器でも、30分の充電量は最大で15kWh程度が目安となる。

充電のイメージ

また、その逆もある。たとえば、ある電気自動車が150kWでの充電に対応していても、充電器の出力が50kWであれば、そのスペックに合わせた充電速度となる。つまり、車両の充電能力を最大限活用するためには、対応する高出力の充電器を選ぶ必要がある。

テスラは、独自の急速充電器スーパーチャージャーを全国に設置していて、現在75kWから最大250kWの出力で充電できる。しかし、国内標準のCHAdeMO急速充電器を利用する場合、専用のアダプターを使用しなければならず、その場合、最大で50kWでしか充電できない。

テスラ・スーパーチャージャー

加えて、高出力の急速充電器でも、隣でほかのEVが充電を始めると充電出力を“シェア”してしまい、出力が低下する場合がある。複数の急速充電器がある場合は、なるべく離れた充電器を利用するようにしたほうがいいだろう。

「30分で80%まで充電可能」といった謳い文句は、EVの普及を促進するうえで、非常に魅力的なセールスポイントであることは間違いない。しかし、その裏には、車種の充電性能、バッテリー容量、充電環境、充電器のスペックなど多くの要因によって変化するという、重要な事実が隠されている。

EVの購入を検討する際は、カタログに記載されている情報だけでなく、自身のライフスタイルに合った充電環境が整っているかどうかも、しっかりと見極めるようにしたい。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
安全なリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載! 3輪EVでは世界初! EVジェネシスの「スリールオータ」にセルフヒーター内蔵バッテリーを搭載
スバル・ソルテラに兄貴分が現れた! 新型スバル「トレイルシーカー」と改良版「ソルテラ」を世界初公開
世界中のジャーナリストを惹きつけた! ボルボのフラッグシップe-SUV「EX90」が2025ワールド・ラグジュアリー・カー賞を受賞
more
コラム
スズキのEV「eビターラ」には兄弟車が存在! まったく顔が違う「トヨタ・アーバンクルーザー」がこれまたイケてる!!
GT-R NISMOやポルシェ911 GT3をぶっちぎる57秒台! 筑波最速EVの座を奪取した「ヒョンデ・アイオニック5 N」がヤバすぎる!!
寒い冬が苦手といわれる電気自動車! 逆に暑い夏はどうなる?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択