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2024年の日本国内のEV販売は完全に失速! 2025年に明るい材料はあるのか?


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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アリアは大幅値上げが販売に影響か

それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきたいと思います。

まず、テスラは11月におよそ521台を販売しました。テスラジャパンがQ4で前年超えを達成するためには、12月で777台を売り捌く必要があり、2024年末の販売動向には注目です。

グラフ

ちなみに、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、11月末時点において累計126カ所、634基を建設。実際に123カ所が稼働中です。

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また、10月中に新たに稼働した遠州森町スーパーチャージャーは、最新のV4スーパーチャージャーであり、設置台数も12基と日本最大級。とくに新東名沿いでの経路充電スポットとして充電渋滞が頻発していた浜松スーパーチャージャーに代わる重要拠点として、年末年始の帰省ラッシュにおいて、テスラオーナーが重宝することは間違いないでしょう。

次に注目していきたいのが、トヨタのEV販売動向です。トヨタは現在、トヨタbZ4X、レクサスUX300e、RZという3種類のバッテリーEVを発売中ですが、11月は107台と、前年同月比で21.9%減というマイナス成長に留まりました。10月はbZ4Xが85台、レクサスRZが29台、UX300eが0台と厳しい状況です。

レクサスRZ

また、日産アリアの販売動向について、10月は197台と、前年同月比で半減以下と落ち込んでしまっており、やはり120万円もの大幅値上げが需要に影響を与えていると推測可能でしょう。

次に注目するべきは中国BYDの存在です。BYDは11月に106台を発売したものの、8月に記録した298台以降、3カ月連続で販売台数が低下しており、失速している感は否めません。シールの1000台限定キャンペーンはいまだに継続中であり、その上でドルフィンにBaselineグレードを追加するなどによって需要を喚起しようとしているものの、12月に前年に記録した263台を超えることができるのか。2025年早々に投入予定のSea Lion 7にも要注目でしょう。

グラフ

最後に気になる動向が韓国ヒョンデの存在です。11月単体で35台を売ったものの、前年同月の販売台数36台と横ばいです。果たして年度末にかけて、最新の新型IONIQ 5の存在によってどれほど販売台数を伸ばせるのかに注目でしょう。

何よりも、ヒョンデは2025年早々にもコンパクトEVのインスターを日本に導入する見込みであるものの、現状の販売体制では苦戦する可能性もあることから、やはり値段設定でインパクトを出すしかないと感じます。2025年度の補助金動向も含めて、実質で200万円台を実現することができるのかに注目していきたいと思います。

ヒョンデIONIQ 5 N

いずれにしても、この日本国内の最新EVシフト動向は前年同月と比較してもマイナス成長であり、EVシフト後退という状況が見て取れます。他方で2025年に注目するべき動向としては以下のとおりです。

・テスラが2025年早々にも発売をスタートさせる公算の「モデルYジュニパー」、さらに廉価モデルとなる「レッドウッド」

・BYDのSea Lion 7、ヒョンデ・インスター、ボルボEX90、アウディQ6 e-tron、A6 e-tron、メルセデス・ベンツの新型EQEやEQS SUVなどの輸入EV

・ホンダのN One e:とスズキのe VITARAなどの国産新型EV

これらの新型EVがどれほど日本国内のEV需要を喚起できるのかに注目です。

ちなみにホンダのN-VAN e:はすでに発売がスタートしており、10月単体で600台以上を発売していることから、このN-VAN e:の存在によって、さらにEVシフトが進むことにも期待できるでしょう。

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