ヤマハが参戦! 日産の勢いは続くか? シーズン11注目チーム
それでは、ここからはシーズン11の注目チームについて紹介したい。
まず、はじめに昨シーズンのチャンピオンチーム「ジャガーTCSレーシング」だ。ジャガーの市販車になぞらえてI-TYPE7と名づけられたニューマシンには、リヤサスペンションまわりにジャガー独自の改良が施されているという。もともと定評のあるパワートレインと合わせて、このリヤサスペンションが世界の異なるコース特性にマッチすれば、王座防衛も夢ではない。ドライバーも昨シーズン王座を争ったミッチ・エバンスとニック・キャシディのニュージーランドコンビに変更はなく、非常に手強い。なお、ジャガーI-TYPE7は昨シーズンと同様にエンビジョンレーシングにも供給されるので、コース上にジャガーのパワートレインを搭載したマシンは計4台走行することになる。
次にシーズン10でパスカル・ウェーレインをドライバーチャンピオンに導いた、「タグホイヤー ポルシェ フォーミュラEチーム」だ。参戦6シーズン目となるシーズン11に投入するマシンはポルシェ 99X エレクトリックと名付けられ、ポルシェ史上もっとも強力な市販車だとポルシェ自身が語る、EVのタイカン ターボGTを想起させるカラーリングが施されている。
ドライバーも昨シーズンから継続のパスカル・ウェーレインとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタの強力コンビだ。
なお、ポルシェはシーズン11でこれまでの「アンドレッティ・フォーミュラE」の2台に加えて、今年から「クプラ・キロ」と名前を変えたアメリカ国籍チームを新たなパワートレイ供給先として獲得し、計6台の大所帯でシーズンに挑む。パワートレインの製造元を対象に争われるマニュファクチャラータイトル争いでは、パワートレインメーカー内の上位2台にポイントが与えられるが、この数的有利は乱戦になればなるほど有利に働くことだろう。
我が日本のチーム、パワートレイン供給メーカーも忘れてはならない。
昨シーズンの東京ePrixでは、あわや優勝というところまでトップを追い詰め会場を大いに沸かせた「日産」は、新しいファクトリーを本格稼働させて新シーズンに挑む。昨シーズンは日産チームが2勝、パワートレイン供給先のマクラーレンも1勝を飾るなど成長著しい。
ドライバーはオリバー・ローランドが継続参戦。もう1台はノーマン・ナトーがチームに復帰しステアリングを握る。
日産のパワートレインは「NEOM マクラーレン」チームにも継続供給されるので、昨シーズンの勢いをそのまま継続できれば、計4台の日産e-4ORCEがシリーズを席捲する可能性は十分にある。
そして、今シーズンから日本のヤマハ発動機が、イギリスのレーシングコンストラクターであるローラと共同開発したパワートレインを「ローラ/ヤマハ」としてシリーズに初投入する。供給先のアプトチームは、フォーミュラEの初開催レースで勝利したチームであり、アウディの準ワークスチームとして戦ったシーズン3には、ルーカス・ディ・グラッシをドライバーチャンピオンに導いた実力のあるチームだ。
シーズン1から参戦を続けるディ・グラッシが開発を担いながら参戦するほか、FIA-F2で実力を示す若手ドライバーのゼイン・マローニがドライブする。ヤマハが四輪トップカテゴリーに参戦するのは、F1の1997年シーズン以来27年振りだけに、その戦いぶりに注目したい。
このほか、「DS」と「マセラティ」、ふたつの異なるブランドを擁して戦うステランティスは、2024年の東京ePrixを制したギュンターがマセラティからDSへ移籍。逆にDSからマセラティに元F1ドライバーのバンドーンが移籍したほか、他チームからの移籍もあったりと、グループ内の体制見直しによる強化が図られていてなかなか侮れない。
インドの自動車メーカー「マヒンドラ」も継続参戦する。元フォーミュラEチャンピオンであり、F1やWEC世界耐久選手権での経験が豊富なニック・デ・フリースを擁するだけに、かつてのようなここ一発の速さがチームに戻ってくれば、このベテランチームがシリーズをかきまわす存在になれるかもしれない。
新世代マシンGEN3 Evoの投入で、勢力図に変化が見られそうなフォーミュラEシーズン11。日産、ヤマハの活躍に期待しつつ、5月17日(土)、18日(日)の両日に決勝レースが行われるダブルヘッダーラウンドにスケールアップする東京ePrixまで、今シーズンも全戦中継されるJ SPORTSで動向をチェックしてほしい。
なお、東京ePrixのチケットは、早くも12月7日(土)から15日(日)まで先行抽選受付が行われている。現地観戦をお考えの方にとっては、チケット争奪戦という名のレースが開幕しているのだ。