コラム
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アリアNISMOをじっくりテストしてわかった! 電費は良好も気になるのは「充電性能」!!


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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30分の充電で回復可能な航続距離はおよそ256km

【総評】

まず、航続距離テストについて、外気温は平均26℃程度だったこともあり、EVの電費という観点ではかなり有利なコンディションだったはずです。そして、アリアNISMOのもっとも信用に値するEPAサイクルにおける航続距離はアメリカで発売されていないため不明なものの、アリアB9 e-4ORCEの20インチ装着グレードは414kmと公表。さらに、日産は基準車と比較して10%程度の電費性能の悪化と説明していることから、時速100kmで高速を巡航すると、おおむね373km程度は走行できるのではないかと推測していました。よって当初の想定を上まわるスペックを実現できました。

次に充電性能テストについて、150kW級急速充電器を使用した場合、充電時間は33分程度を達成。他方で、90kW級を使用した場合、充電時間は48分とかなり長くなっています。

日産アリアNISMO

そして、30分間の充電時間で回復可能な航続距離を、航続距離テストの結果である402kmから概算すると、およそ256km。個人的にEVの経路充電において最低限必要な充電性能を「30分充電すると300km分程度の航続距離を回復可能」と定義しているため、その意味において、ややスペック不足感は否めません。

とくに、150kW級は日本国内にほとんど存在せず、実質的には90kW級を使用する場合が多いです。その場合には、30分の充電で176km分しか回復することができません。アリアNISMOに対して90kW級が力不足であることをイメージできるでしょう。

充電時の画面

※SOC9%からブーストモードの上限15分間充電を行った場合、SOC40%の段階でスペックどおりの130kWに到達。充電終了直前でも123kWを維持。約31kWh充電され、SOC46%まで回復。

また、私がEV性能とは別の評価軸として独自設定している6つの項目についても確認しましょう。

・乗り心地:6.5/10ポイント
いわゆるフワフワな乗り心地であるものの、基準車よりも接地感高めで安心感あり。専用チューニングされたサスペンションのおかげ?

・静粛性:8/10ポイント(100km/h:63-65dB)
前後に2重ガラス採用で静粛性高め。ロードノイズもEV専用タイヤだから基準車よりもわずかに静か?

・自動運転支援機能:10.5/10ポイント
プロパイロット2.0は日本国内で唯一、時速100km/h以上という高速域での手放し運転が可能。長距離移動においては比較にならないほどの疲労軽減に寄与。通常のプロパイロットも安定性高めであるものの、大雨の際など、一部条件下で解除されてしまった。

・音響性能:7/10ポイント
BOSE 10スピーカーシステム(サブウーファーあり、システム出力不明)。重低音はパンチあり。他方で高音域のクリア感に欠けるのでバランスはあまり良くない。後席側にバランスを寄せると高音域が幾分ハッキリするのでおすすめ。

・回生ブレーキのフィーリング:6/10
アリアは全グレードでワンペダルドライブ不可。リーフにはワンペダルが搭載されているだけに本当に残念な部分。

・小まわり性能:8/10
最小回転半径は5.4mとホイールベースが2775mmのミッドサイズSUVとしては優秀。全幅が1850mmとコンパクトであり取りまわしもよい。テスラ・モデルYは最小回転半径が6.065m、全幅も1925mmと取りまわしが悪く、競合と比較しても有利。

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