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日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES 情報提供・写真提供:ラフカル(改名前→初心者)@Rahukaruuuuu
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自動運転システムを刷新

まず、Sea Lion 07は、現在中国市場において4つのグレードをラインアップしているものの、おそらく日本に導入されるのは、Sealと同じく上位2グレードと推測可能です。Sea Lion 07は80kWh級のLFPバッテリーを搭載、CLTCサイクルベースで610kmという航続距離を確保しています。これはテスラ・モデルYや日産アリアを上まわる航続距離であり、トヨタbZ4Xと同等です。他方で、車両重量が2.2トンと嵩んでしまっており、よって電費性能も100km走行あたり15.2kWhと、モデルYやアリアと比較しても伸びていません。

他方で、BYDが改善を見せてきているのが充電性能です。最大240kWの超急速充電に対応しており、充電残量10%から80%まで充電するのにかかる時間も25分と、たとえばSealの場合は40分近い時間を要することから、大幅な改善が見て取れます。

BYD Sea Lion 07のテスト車両

また、先ほども説明した、充電残量80%以降の充電スピード改善、および寒冷状態における充電スピードの改善などもアドバンテージです。

ただし、日本市場のチャデモ規格への対応を行ってきた際に、どれほどの充電性能を実現できるのかはまったくの謎です。推測すると、2025年秋に導入されるeMPの350kW級急速充電器以外では、400Vに固定されてしまい、Sea Lion 07の最大電流値は400Aであることから、350Aと400V固定で、概ね140kW程度を許容可能になる見込みです。

※Sealの最大電流値は250A、最大充電出力は105kW

そして、今回もっとも注目するべき値段設定について、Sea Lion 07は中国国内で18.98万元から発売スタートしているものの、日本導入見込みの上級グレードは、RWDとAWDそれぞれ、日本円換算で489万円、そして555万円という値段設定です。じつはこの値段設定は、RWDグレードはシールとまったく同等。AWDグレードに至っては、むしろシールよりも安いという驚異的なコスト競争力です。

80kWhのLFPバッテリーを搭載し、800Vシステムを備えたミッドサイズ電動SUVが、日本国内においてシールと同等の値段設定で購入見込みとイメージしてみると、一気に興味が出てきた方が多いのではないでしょうか?

BYD Sea Lion 07のリヤスタイリング

そして、個人的に気になっているのが装備内容という観点です。じつはSea Lion 07からは、コクピットシステム、および自動運転システムが刷新されており、Sealとは別物と考えたほうがいいです。具体的には、4つほど、特筆するべき点を紹介したいと思います。

第一に、コックピットシステムについては、6nmプロセスを採用した、DiLink 100と呼ばれる最新チップを採用することで、さらに操作性の向上を実現しています。

次に、インテリアの装備内容がさらに拡充され、運転席はレッグレストを搭載していたり、後席シートも、シートヒーターだけでなくシートクーラー機能まで搭載。またフレグランス機能も装備されているという充実ぶりです。

BYD Sea Lion 07の内装

その上、BYDの独自内製電子制御サスペンション、Disus-Cを採用することで、シールに搭載されているメカニカルな可変ダンパーシステムよりも、より緻密なサスペンション制御が可能となり、乗り心地もかなり期待可能です。

そして、最大の目玉であるのが自動運転システム、God’s EyeのなかのDiPilot 100の存在です。BYDは現在、ADAS開発に莫大な資金と人材を投入中であり、独自システムGod’s Eyeを開発中です。すでに高級ブランドのDenzaやYangwangなどでは採用されていたものの、いよいよBYDブランドにもGod’s Eyeが採用され始めているわけです。

BYDが出資するhorizon Robotics製の、128TOPSを実現するJourney 5チップを採用することで、LiDARを搭載しなくとも、中国本土においては、高速道路上における追い越しや分岐、障害物に対する回避挙動を実現するNavigation On Autopilot、略してNOAを実装しています。おそらく日本国内は、高速道路上のNOAについてまでは採用することはできない見込みですが、これまでBYDの弱点ともなっていた、ADASの性能が改善される可能性は高く、シールの弱点のカバーに期待が集まります。

BYD Sea Lion 07の最新技術

いずれにしても今回、日本国内においてテスト走行の様子が確認されたBYDの最新EV、Sea Lion 07は、シールと比較してもEV性能をさらに向上させながら、装備内容についても、DiLink 100、Disus-C、およびGod’s EyeのひとつであるDipilot 100を採用することで、EVとしての完成度だけではなく、スマートEVとしての完成度を高めてきた格好です。

おそらく2025年前半には発表されるであろう、このSea Lion 07の最新動向は、今後も最新情報が判明次第、定期的に情報をアップデートしていきたいと思います。

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