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テスラ・モデルYに600km走れるRWD登場も日本導入はナシの予想! 日本は「ジュニパー」の登場に期待


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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ジュニパーはバッテリー変更で航続距離も伸長する見込み

また、ロングレンジRWDは、RWDグレードよりも車両重量が50kgも重いにもかかわらず、その加速性能はゼロヒャク5.9秒を実現。これは中国国内向けに採用されている新型の高出力モーターが搭載されていることで、加速性能を引き上げることができているわけで、RWDグレードの弱点でもあった動力性能に対しても妥協する必要がなくなっています。

そして、なんといっても注目はその値段設定です。ドイツ市場においては4万8990ユーロから発売されており、RWDグレードと比較すると4000ユーロアップするものの、ロングレンジAWDグレードと比較すると6000ユーロも安価に購入することが可能です。

RWDグレードでは航続距離の長さが物足りず、かといってロングレンジAWDでは1万ユーロも高額となってしまっていることで購入を躊躇してしまっていたユーザーにとっては、たったの4000ユーロで航続距離155km分を追加しながら動力性能も引き上げることができるということになり、非常に魅了的なグレードが追加されたことになったわけです。

テスラ・モデルYのフロントスタイリング

そして問題は、このロングレンジRWDグレードが日本国内に導入されるのかという点です。結論としては、その導入はまだまだ先となるのではないか、もしくは導入されないと推測しています。

というのも、このロングレンジRWDはドイツでのみ製造されていることから、中国で製造されないと日本に導入されることはないという点。さらに、もしも中国で生産されたとしても、問題は中国国内を優先とすることで、日本導入は数四半期先となる可能性があるという点。

そしてもっとも重要なのが、モデルYのモデルチェンジバージョンである通称「ジュニパー」の導入が、いくつかのリーク情報では2024年末までに行われる可能性があるという点です。そうなると、少なくともジュニパー登場までは、ロングレンジRWDを日本で購入することはできないはずです。

テスラ・モデル3の走行シーン

※モデルYジュニパーはモデル3に適用された変更点の多くが採用される見込み。見た目も新型モデル3に寄せてくるはず。

 

一方で、このジュニパーに期待されているのが、搭載バッテリーの変更です。現状、噂されているのがCATL製のM3Pバッテリーです。これにより、航続距離の長さが懸念材料であったRWDグレードが、大きく性能改善される見込みであり、するとロングレンジRWDをわざわざチョイスする必要もなくなる可能性も出てきます。よって、そもそもテスラ側も、ロングレンジRWDをラインアップしない可能性も出てくるわけです。

そして日本国内の移動という点でいえば、現時点におけるRWDグレードでは、EPA基準で400kmジャスト程度という航続距離の絶対的な短さを指摘せざるを得ません。これが、440-450km程度に到達すると、別にRWDグレードであったとしても多くの需要を満たすことが可能であり、ラインアップ数を少なく抑えるという点でもRWDグレード一本で済むことから、ロングレンジRWDを日本国内で導入する意味は限定的となるのではないかと推測できるでしょう。

テスラ・モデルYの走行シーン

いずれにしても今回、欧州でモデルYに対してロングレンジRWDグレードが追加設定され、長距離走行の需要が大きい欧州市場でコストと航続距離のバランスが取れたことで、さらなる販売台数の増加に期待することが可能です。

他方で、

・あくまでもドイツ製に限定されており、「ジュニパー」の登場が控えていることもあって、日本への導入の可能性は現状低いという点
・そのジュニパーの登場とともに期待されているRWDグレードの航続距離延長があれば、そもそもRWDグレードでこと足りてしまう点
・LFPとは異なり、ロングレンジバッテリーの三元系については充電残量を8割程度に制限することも推奨されている点

これらを考慮に入れると、日本国内においてはロングレンジRWDグレードはおすすめグレードにはなり得ないというのが個人的見解です。

日本市場向けのモデルYに対する、ジュニパーをはじめとする最新情報がわかり次第、定期的に情報をアップデートする予定です。

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