日本発売は予定なしもサイバートラックをお披露目
アメリカ、テスラ社の新型ピックアップ・トラック型EV、「サーバートラック」が2024年2月15日、東京で初披露された。このジャパンプレミアイベントは、これから約10日間をかけて、関東、東海、関西、九州の各地を展示ツアーでまわる予定になっているが、残念ながら現在の段階では日本市場における販売の計画は立っていない。
それにもかかわらず、これだけのツアーを実施する背景には、やはりその市場として、日本もまた重要視されていること、そしてEVブランドとしてさらなる認知を狙うことが理由としてあげられるのだろう。
サイバートラックには3タイプのモデルが用意されている。違いはパワーユニットにあり、シングルモーターの後輪駆動モデルをベースに、前後それぞれのアクスルを駆動するデュアルモーターのAWD、そしてさらに後輪の駆動に用いられる3つめのモーターを搭載したサイバービーストがそのラインアップとなる。
テスラはこの3タイプのコンフィギュレーションに対して、すべて同じモーターを使用しており、注目の最高出力はもっとも高性能なサイバービーストが845馬力、デュアルモーターのAWDは600馬力、シングルモーターのRWDは315馬力がスペックシート上には記載されている。
一方、最大航続距離は、それぞれ510km、550km、400kmを可能とするから、実用性の面でもまずは満足できる性能を持つと考えられる。さらにAWDとサイバービーストでは、リヤのデッキ部にレンジエクステンダーを搭載することもでき、それを使用した場合には最大航続距離は各々710km、760kmを実現する。
フロア下に搭載されるバッテリーは4680個のリチウムイオンバッテリーセルで構成されたもの。もちろんその安全性は十分に担保されており、クラッシュ時などにはそれ自身が安全構造体としての役割も担う。気になる最大容量は123kWhで重量は約790kg。DC400Vからの15分間の充電で206km、もしくは219kmの航続距離を伸ばすことができる。また、このサイバートラックは、停車時にはクルマから家に電気を供給する「ビークル・ツー・ホーム」機能を備えているのも特徴だ。
全長×全幅×全高で5682.9×2413.1×1790.8mmというボディが演出するサイズ感は、直線を基調としたボディデザインが採用されていることもあり、この日本ではかなり大きな印象を受ける。これはボディパネルがウルトラハードステンレススチールエクソスケルトンという、非常に加工の難しいステンレス系の素材で作られていることに理由があり、その強靭さと未来的な感覚は、仮に日本に導入されることがあれば、新たなアーリーアダプターに大きな人気を呼びそうな予感を抱かせてくれた。参考までにデッキの最大収納力は3423.5L、また最大牽引力は4990kgを誇る。
じっさいの運動性能にも、この車重から考えると魅力的に思える数字が並ぶ。0-96km/h加速はもっとも強力なサイバービーストが2.6秒。4WDでも4.1秒、シングルモーターのRWDでも6.5秒でそれを走り抜いてしまうのだ。サスペンションにはセルフレベリング機能を持つエアサスペンションを採用。最大で10度の操舵が可能な後輪駆動システムは、混雑した市街地などでは大いに役立つだろう。
アメリカではサイバービーストで9万9990ドル、AWDが7万9990ドル、RWDは6万990ドルと値づけられているテスラ・サイバートラック。はたしてそのステアリングを、日本で握ることができる日はやってくるだろうか。