2026年度までに16車種の電動車の新型車を市場投入
日産が新たな中期経営戦略である「The Arc」を発表しました。2026年度までにグローバルで100万台の販売台数増加を目指しながら、安価なLFPバッテリーの導入、全固体電池によるEVテクノロジーの革新など、さらなるEVシフトの詳細を発表した「The Arc」を解説します。
まず、カルロス・ゴーン時代からの復活を目標に日産のトップに就任した現在の内田社長については、2020年度から2023年度までの中期経営戦略である「Nissan Next」を打ち出して、ようやくそのNissan Nextの期間が終了。営業赤字が続いていた日産の業績は、そのNissan Nextのおかげもあってか、2023年4月から12月までの営業利益率は5.2%と、数年前までの赤字経営と比較すれば、収益性を戻してきた格好であり、構造改革という観点で一定の成果を上げたと言えます。
そして、2024年度から2026年度までの中期経営戦略として発表されたのが、The Arcです。日産については、2030年までの長期戦略である「Nissan Ambition 2030」も発表しており、そのNissan Ambition 2030の間を繋ぐ戦略となります。
とくに注目されている点が、内燃機関車とハイブリッド車、そしてEVをどのような塩梅で推進していくのか、および、Nissan Nextにおける構造改革によって、販売台数が大幅に低下してしまった2023年シーズン以降、どれほど販売規模を拡大させることができるのかという点です。
まず初めに、2026年度までに投入する新型車について、日産は新型車攻勢を強める方針を表明しました。具体的には、2026年度までに、グローバルで15車種の内燃機関車を投入することで、グローバルモデルの60%が刷新、もしくはフルモデルチェンジを迎えることになります。
さらに電動車という観点についても、2026年度までに16車種の新型車を投入。具体的には、2024年度中にバッテリーEVを2車種、2026年度中にバッテリーEV4車種、PHEV3車種、e-POWER3車種をグローバルで投入する方針です。
e-POWERについては、すでに新型ノートから第二世代が採用され始めているものの、現在第三世代の開発を進めており、出力20%アップ、燃費10%改善、そして20%のコスト削減を可能とし、2026年度までに投入される予定です。とくにアメリカ市場には、この第三世代からe-POWERを投入し、電動化を進める方針です。
そして、第三世代の採用によって、2026年度までにハイブリッドであるe-POWERと内燃機関車のコストが同等となることで、電動化と収益性の両立を目指すことが可能となる見込みです。
また、日産については、2車種目となるPHEVを導入する方針です。すでに中国市場においてVenuciaブランドからPHEVを導入済みです。
おそらく、アライアンス別のパワートレイン比率については、Dongfeng日産の電動車3車種はすべてPHEVになるはずであり、すると、2026年度までに投入予定のPHEV4車種のうちの1車種というのが、日産が開発を主導するモデルとして、アメリカ市場に投入されることになります。
ちなみに2024年度中に投入されるバッテリーEV2車種についてはすでに判明済みです。まずは、ルノーのコンパクトEVとして発表されているルノー5の兄弟車、マイクラEVです。
また、2024年中に投入予定とアナウンスされている、中国市場専売となる見込みのバッテリーEVについては、いまだに詳細情報が公開されていないものの、4月中に開催される北京オートショーにおいて初お披露目される見通しです。