参加者寸評
田中誠司
3台中、もっとも従来のICE搭載乗用車に近かったのはリーフだ。乗車した感じから判断できるパッケージングも、ラゲッジルームの取り方もICEの時代から何も変わっていない。だからこそこの値段と性能で世に送り出せるのだ、と開発関係者は言うのかもしれないが、「ひとつの時代を超えよう」と力み勇んでBEVを入手しようとしているユーザーにとっては、「古臭い」と一刀両断にされて終わってしまうようなパッケージングやディテールがあまりにも多い。
曽宮岳大
ちょっと踏んでみようかとか、速く走らせようとか、そういう危うい誘惑を仕掛けないクルマだと思った。テスラ・モデルYに乗ったときは、秘めた性能を覗いてみたい衝動にかられたが、リーフはそうではなかった。実際に高速道路で飛ばしているリーフをほとんど見ない気がする。ただそれはクルマの世界観からドライバーが受け取る情緒的なものであって、実際にアクセルを踏み込むと、十分な速さが備わっている。もうこれ以上はいらない。そう感じるほどの速さだ。にもかかわらず、心を危ういテンションに誘わないという点で安全だと思うし、いい道具だと思う。
烏山大輔
他の2台から乗り換えると圧倒的な軽快感がある。パワーは218ps、トルクも340Nm、0-100km/h加速は7.3秒とちょっとしたスポーツカー並の速さもある。テスラと対照的に初めてリーフに乗る人でもこれまでのガソリン車と同じ場所に同じスイッチ類が配置されているので、戸惑うこともない。
初代リーフは2010年にグローバルで販売された世界初のBEVだった。そして2017年に2代目に生まれ変わった。デザインやHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)はキープコンセプトだったため、ICEから乗り換えても違和感なく馴染める利点も受け継いだ。やっとライバルメーカーからもBEVが多数デビューし、身内にも「アリア」と「サクラ」が増えた。ICEからの“つなぎ役”はもう不要になったので、3代目をどうするのかが今から楽しみだ。
日産 リーフ