EVシフトが中国で一気に進んだのは「第12次五カ年計画」がきっかけ 中国が世界のEV市場をリードするようになって久しい。新エネルギー車(NEV)と中国政府が呼ぶ、EV・PHEV・レンジエクステンダーなどの車両を合算したシェアは、新車販売台数の6割近くに達している。同3%にも満たない日本の現状と比べると、あまりにも大きな差である。 これはひとえに、国策の差だ。中国は世界に先駆けて2000年代後半から、EV普及を国策として掲げた。そうした国の変革の意識を、北京オリンピック、広州でのアジア陸上選手権、そして上海万博を活用して国内外に向けて発信した。 また、「第12次五カ年計画」(2011〜2015年)でNEVの研究開発と販売を強化することを盛り込んだことで、中国国内の自動車メーカー、二輪・三輪車メーカー、トラック・バスメーカーはこぞってEV開発を進めたという経緯がある。 第一汽車、東風汽車、上海汽車などの地場大手メーカーや、それに続く地場中堅メーカーが国の施策を重んじることは当然であり、各社がEV開発を加速させた。一方で、海外から中国への投資を呼び込むため、中国政府はEVの最終組立工場や電動パワートレイン関連の製造工場の建設に対する補助金や、税制優遇を施した。また、中国政府はユーザーへのEV購入補助金制度を拡充させ、その後に段階的に同制度を収束させる施策を打った。 その結果、中国でのEVシェアが急速に上昇し、また航続距離に対する懸念をもつ人にはレンジエクステンダーを容認することでNEV市場全体を活性化させてきた。 こうして中国ではEVをラインアップしていないと、自動車メーカーとして生き残ることが難しい状況にあるが、人口14億人を超える中国では当然、ガソリン車に乗り続けている人も多くいる。そのため、中国の地場大手や地場中堅でも、ハイブリッド車を含めてICE(内燃機関)の製造は続けている。また、EVへの投資が十分に行えない中小メーカーではガソリン車の製造を継続しているが、中国政府が今後、NEVシフトに対する強制力を高めるとそうした中小メーカーは消滅するのかもしれない。 または、中国政府がある時点で日本のように、マルチパスウェイへと政策を軌道修正する可能性もゼロではないはずだ。 いわゆるカーボンニュートラル燃料の研究開発においても、中国はEVで実感した自動車政策の勝ち筋を参考として、日本や欧米諸国の先を行く大胆な施策を講じるかもしれない。
#第12次五カ年計画































