EVビジネスに挑戦するメーカーが多数 テスラの時価総額はイーロン・マスクとトランプ大統領の決別を受け、かなり下がったものの9000億ドル以上をキープして、自動車メーカーとしてはダントツのトップ。こうした一攫千金にも似たEVビジネスに挑戦する企業はあとを絶たず、いまや世界中にEVメーカーが乱立しているといっても過言ではありません。 ご存じ中国はもちろん、ベトナムやタイといったアジア圏に加え、アフリカやブラジルでもEVメーカーが虎視眈々と次なるテスラを目指しているのです。もっとも、なかには金に目がくらんだかのような頼りないメーカーもいたりして、玉石混交の様子ではあります。 キーラモータース/ウガンダ アフリカ初のEVメーカーとして、2018年にウガンダ政府によって創立されました。が、同国のEVは2007年に国立マケレレ大学の学生たちが作った試作車が出発点。インド市場を対象とした5人乗りのプラグインハイブリッド電気自動車、Vision 200を設計するという世界的なサミットに、アフリカから唯一参加したことがきっかけで、その後も同大がEV開発をリードすることに。2011年にはアフリカ初のオリジナルEV「キーラEV」が完成し、すぐさま政府がキーラモータースを設立して販売ということに。 やっぱり政府主導となると各国の出資も集まるからか、当初の研究室レベルからは格段の進化を遂げています。2016年にソーラーパネルを装備した電動バス「カヨーラ」をリリースすると、アフリカのニーズに沿ったものか大量輸送車をコアに据えながら、さまざまなEVを発売。いまやアフリカ大陸でEVといえばキーラモータース一択、くらいのポジションを築き上げたとか。学生のプロジェクトに目をつけて、それを伸ばして成長させ、さらには一定の成功を収めるという絵に描いたようなストーリーではあります。 ビンファスト/ベトナム 2017年に、ベトナムの最大財閥ビングループが自動車産業に参入するために設立され、当初はガソリン車からスタートしたのですが、2022年にEV専業となっています。驚くべきは翌2023年にアメリカのナスダックに上場すると時価総額が一気に1900億ドルにもふくれあがり、テスラ、トヨタに続く3番手になったこと。これにはアメリカ市場ならではのマネーマジックがあったようですが、ビンファストのEVは、マーケットの妙な動きとは裏腹に着実に存在感を増しているようです。 たとえば、2022年から主力商品となっている「VF8」はご覧のとおり、スタイリッシュなクロスオーバーSUVで、出力380馬力のデュアルモーター×全輪駆動、航続距離もエコモードならば470kmを達成するとされています。また、ベトナム国内だけでなく、アメリカやドイツにも輸出され、戦略的な値付けもあるのか飛ぶように売れているのだとか。 いまでこそEVのビンファストとして知られていますが、創業当初はピニンファリーナやBMWといったパートナーを迎え、ラクス・シリーズというなかなか攻めたモデルを作っていたわけで、EVオンリーになってしまうのはいささかもったいないような気もします。
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