#トランプ
TEXT:桃田健史
トランプは石油推し! でもイーロンマスクが政権入り! アメリカのEV動向はいまだ不透明のまま

イーロン・マスク氏が政府効率化省のトップに 「掘って掘って掘りまくれ」 トランプ大統領が、第二次政権発足前から強調しているアメリカ国内での石油関連事業の拡大。これを受けて、日本では「トランプ大統領はEV普及に否定的」といった報道が目立つ。 そもそも、トランプ第一次政権の時点でも、EV普及を協力に後押ししたという印象はない。また、トランプ氏が返り咲きを目指した大統領選挙活動中でも、EVが普及することでアメリカの石油産業が縮小することに対して、トランプ氏は懸念を表明してきた。 一方で、テスラのイーロン・マスク氏がトランプ氏の大統領選挙活動に対して多額の寄付をし、あわせて全米各所でトランプ氏に対する応援演説をするなど、トランプ氏とマスク氏の交友関係が深まった印象が報道を通じてグローバルで広まった。 すると、「トランプ氏はEV普及に柔軟な姿勢を見せるのかもしれない」という見方が日本でも出てきた。さらに、トランプ第二次政権ではサプライズ人事が実行された。マスク氏が政府効率化省のトップとして政権入りしたのだ。これにより、マスク氏はアメリカ連邦政府関連機関での大胆なリストラを決行すると見られている。 日本人の感覚からすれば、大手EVメーカーのテスラ、またロケットなど宇宙事業を手がけるスペースX、さらにSNS大手のX(旧ツイッター)などさまざまな先進事業を手がける企業の経営トップが、政府の中核にそのまま入ることに違和感を覚えるだろう。それを実現できてしまうのがアメリカ社会であり、トランプ第二次政権のあり方なのだと、つくづく思う。 要するに、EVや自動運転など、次世代自動車や次世代交通について、現時点でアメリカの行方を先読みすることは極めて難しい。 大まかな予想では、バイデン政権が実施したIRA(インフレ抑制法)の見直しよって、7500ドルの税額控除が変更される可能性があげられている。仮にこれが減額されたり制度自体が廃止されたりすれば、当然ユーザーのEV購入動機に影響するのは確実だ。 また、マスク氏をテスラCEOの立場としてみれば、グローバルではとくに中国メーカーによるEV攻勢が激しくなるなかで、北米市場でのEV需要を確実にとっていきたいと考えるはずである。 マスク氏が政府の一員としての立場と、企業トップとしての立場をどのように両立させて事業計画を立てていくのかが注目される。 こうしたさまざまな要因によって、アメリカのEV市場がどのような振れ幅で動くのかまったく検討がつかず、日本メーカーとしては「つねに柔軟に動けるように準備するしかない」(大手自動車メーカーの開発部門幹部)という状況である。

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TEXT:桃田健史
日本のEV普及も「トランプ次第」か? 世界的に「政治利用」されるEVの未来

イーロン・マスクが政府効率化省のトップに 多くの日本人にとっては想像できなかった「まさか!」のトランプ第二次政権が2025年、ついに動き出す。 そうなると、「EVはどうなるの?」と思う人がいるかもしれない。なにせ、バイデン政権下で全米各地で政治活動を続けてきたトランプ氏は、EV普及に対して否定的な発言が目立ったからだ。 一方で、大統領選挙期間中にテスラのイーロン・マスク氏と急接近。マスク氏はトランプ氏の選挙活動資金として巨額の寄付をしたとされている。そのため、トランプ氏のEVに対する考え方は変化するのではないか、と思った人も少なくないだろう。 それどころか、驚くことに2者の関係は、マスク氏の政権入りにまで及んだ。役職は、デパートメント・オブ・ガバメント・エフィシェンシー(政府効率化省)のトップである。 マスク氏(長官)の立場から見れば、連邦政府関連の機関で、自身のビジネスとは、DOT(デパートメント・オブ・トランスポーテーション:運輸省)、EPA(エンバイロメンタル・プロテクション・エージェンシー:環境保護局)、NHTSA(ナショナル・ハイウェイ・トラフィック・セイフティ・アドミニストレーション:運輸省道路交通安全局)、DOE(デパートメント・オブ・エネルギー:エネルギー省)、そしてスペースXとの関係があるFAA(フェデラル・エヴィエーション・アドミニストレーション:連邦航空局)などとの関係がある。 こうした各方面に対して、トランプ大統領の意向として、マスク氏が政策や規制に大ナタを振ることも十分考えられる。ただし、あまりにも露骨な方法を取ると、まさに公私混同であり、テスラやスペースXへの利益誘導と世間からいわれかねない。 それでも、マスク氏が政権入りすること自体が、日本人の想像を超えるものであり、これがアメリカの現状だといわざるを得ない。つまり、トランプ第二次政権において、EVの行方を予想することは極めて難しい。 たとえば、燃費規制についてだ。トランプ第一次政権では、EPAが全米50州を燃費規制を統一し、EV普及の主導的立場を取ってきたカリフォルニア州を牽制したが、第二次政権で同じ策を講じるのか? CAFE(企業別平均燃費)をどう扱うのか? また、EVなど電動車普及率について、バイデン政権が掲げた数値をどう変えるのか? そして、電動車のアメリカ国内生産を基本とし、関連部品の輸入についてはアメリカとの同盟関係国との関係を考慮するという、IRA(インフレ抑制法)をどうするのか? IRAは実質的な対中政策であるため、中国に対して強固な姿勢を示すトランプ第二次政権にとっては維持するべきか、一部改良するのか、それとも新法に切り替えるのか? EVの普及のカギといえば、一般的には、生産コスト、航続距離、そして充電インフラが3本柱といわれる。 だが、現実は違う。2020年代の世界の動きを見れば、アメリカと中国の政治的な動きに、欧州が挟まれるような格好のなかで、EVは次世代の経済政策としての「ひとつのコマに過ぎない」という印象があるからだ。 はたして、トランプ第二次政権は外交の場で、EVをどう使うのか? それにより、アメリカ、欧州、中国、そして日本でのEV普及に影響が及ぶことになりそうだ。

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