#アット3
TEXT:生方 聡
「BYD アット3」のCEV補助金が満額の85万円に増額

アット3のCEV補助金が85万円から65万円に減額されていた BYD Auto Japanは、同社が2023年1月から日本で販売しているコンパクトSUVタイプのEV「BYD ATTO 3(アット3)」が国土交通省の型式指定認証を取得したことを受けて、「クリーンエネルギー自動車購入補助」(以下、CEV補助金)が満額の85万円の対象車両となったと発表した。 現在、一般社団法人 次世代自動車振興センターは、令和4年度補正予算のCEV補助金を受け付けている。電力消費率や一充電走行距離などが一定の基準を満たした普通自動車のEVでは、外部給電機能がない場合は65万円、外部給電機能がある場合は20万円アップの85万円を上限に補助が受けられる。 アット3は電力消費率や一充電走行距離が基準を満たしているうえ、自宅に給電するV2Hと、家電などに給電するV2Lの機能をともに備えており、令和4年度CEV補助金では85万円の補助対象車になっていた。ところが、令和4年度補正予算では65万円に引き下げられていたのだ。 アット3が300万円以下で買えるかも! これまでアット3は、「PHP(Preferential Handling Procedure)」と呼ばれる認証制度を利用していた。これは年間の販売台数が5,000台以内の輸入車に対して特別に設けられた認証制度で、型式指定に比べて簡素な手続きで販売できるというメリットがある。 一方、令和4年度補正予算ではCEV補助金の条件が一部変更になり、外部給電機能がある場合に20万円の上乗せを受けるには、型式指定自動車の取得が必要になった。 そのため、型式指定を取得していないアット3は、外部給電機能があるにもかかわらずCEV補助金が65万円に減額となっていたのだ。これに対して、BYD Auto Japanは、「なるべく早期にBYD アット3の型式指定を取得するべく準備を進めています」(広報部)と話していたが、2023年6月28日に国土交通省から認可を取得し、CEV補助金が85万円に復活したというわけだ。なお、中国の自動車ブランドが型式指定認証を取得するのは今回が初だという。 では、アット3を個人が東京都で購入した場合の補助金はいくらになるだろうか? 前述のとおり、CEV補助金は85万円。これに加えて、東京都の「電気自動車等の普及促進事業の助成金」は、外部給電機能がある場合は45万円になる。さらに区市町村独自の補助金もあり、たとえば葛飾区ではEVの購入に対して25万円の補助が受けられる。これらを合わせると補助金の額は155万円になり、440万円のアット3が実質285万円で手に入ることになるのだ。コンパクトSUVタイプのEVとして不満のない性能を備えることを考えると、この求めやすさは、アット3の購入をさらに後押しすることになるだろう。

TAG: #BYD #アット3 #補助金
TEXT:TET 編集部
BYD、フランスにEVを5モデル投入。コンパクトから高級セダン、SUVまでラインナップ

中国最大の電気自動車(EV)メーカー、BYDは、新たに参入したフランス市場に5つのモデルを投入すると発表した。併せて年内に15から20のサービス拠点をオープンし、2025年には100店舗を目指す計画を明らかにした。 すでに欧州14ヵ国に参入済みのBYD 2022年に世界で186万台以上のEVを販売し、米テスラを猛追する勢いを見せたBYD。日本国内でもコンパクトSUVの「ATTO 3(アット3)」を440万円からという戦略的価格で販売し話題になった。 実はこのBYD、EVの普及が遅れる日本よりも先に欧州で知名度を高めており、既に英国、ドイツ、オランダ、ベルギー、オーストリアなど欧州14ヵ国に参入を果たしている。そして今月、満を持してドイツ、英国と並ぶ自動車大国フランスで車両のデリバリーが始まり、間もなく一般販売も開始されるのだ。 当初、フランスで販売されるのは先述のアット3に加え、Eセグメントセダンの「漢(ハン)」、7人乗りEセグメントSUVの「唐(タン)」の3台とのこと。そして、Cセグメントハッチバックの「DOLPHIN(ドルフィン)」、Dセグメントセダンの「SEAL(シール)」がそれらに続くようだ。 ここでアット3以外の日本ではなじみの薄い4台を紹介しておこう。まず「ハン」はオーソドックスな3ボックススタイルのセダンで、次のタンと同じく歴代中国王朝の名に由来するシリーズの1台。運転手付きで乗っても馴染むフォーマルなルックスや、元々バッテリー専業メーカーだったBYDらしく、ブレードバッテリーという薄型電池を搭載していることが特徴だ。 「タン」は「レクサスRX」などと同等のボディサイズを持つミドルサイズクロスオーバー。3列シートのレイアウトで最大7人が乗れ、米国がメイン市場と見られるが、家族での長距離バカンスが定着している欧州でも商機があると踏んでいる模様。 >>>次ページ 今年中に日本でも発売予定のドルフィンとシール

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TEXT:生方 聡
「アット3」は買いか? [BYD アット3試乗記:その4]

「e-Platform 3.0」と呼ばれるEV専用プラットフォームを採用するアット3の走りをチェック。果たしてBYD日本投入第一弾は買いなのか? 心地よい走り アット3は全高が1,615mmと、SUVスタイルのクルマとしてはやや低め。クロスオーバーという表現のほうが合っているのかもしれない。この手のモデルでは大径タイヤを履くのが常で、今回の試乗車にもコンチネンタルタイヤのエココンタクト6 Q、235/50R18サイズが装着されていた。 そうなると心配なのが乗り心地だが、走り出してすぐにその不安は解消された。アット3は、路面によらずショックをうまく遮断し、終始マイルドな乗り心地を保ってくれるのだ。それでいて走行中の挙動はおおむね落ち着いており、高速走行時のフラット感も上々と、実にバランスの良いサスペンションに仕上げられている。 高速での直進安定性も良好。ワインディングロードを走るチャンスもあり、軽快なコーナリング性能により、ボディの大きさを忘れさせるほどだった。 気になったのは、アダプティブクルーズコントロールの動き。渋滞時にストップ&ゴーを繰り返すような場面で、前の車との距離が短いときに、加減速がやや大きいことがあった。もう少し動きが穏やかなほうが快適なのだが……。このあたりは、今後の熟成に期待したい。

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TEXT:生方 聡
このスピードはBYDならでは! [BYD アット3試乗記:その3]

150kWの電気モーターで前輪を駆動するアット3。その加速を、さまざまな場面で試してみる。 ※走行シーンはオーストラリア仕様。試乗は日本仕様で行っています 流行のスタイルとは違う リモコンキーを身につけていれば、ドアハンドルにタッチするだけでキーのロック/アンロックができる「キーレスエントリー」は、いまやポピュラーな装備。このアット3にも標準で装着されているし、カードキーをドアミラーにかざしてロック/アンロックができる機能も搭載されている。ただ、他の最新モデルでは、ドアハンドルに軽く触れるだけで操作ができるのに対して、アット3では小さい四角いボタンを押す必要があり、ボタンが用意されるのも運転席のドアに限られる。 加えて、パワートレインの始動にはセンターコンソールのプッシュボタンを押してやらなければならないし、ステアリングホイールのスイッチはタッチ式ではなく昔ながらのプッシュ式だ。もちろん、走行するうえで困るものではないが、「流行のスタイルを採用しないことでコストを抑えているのかな!?」というのが私の感想だ。 ブレーキを踏みながらスタートボタンを押してシステムを起動。センターコンソールにある大きめのシフトスイッチを操作すれば動き出す準備は完了である。ちなみに、日本仕様のアット3はウインカーレバーが日本車と同じ右側にある。 走行モードはセンターコンソールの右手前にあるスイッチで選択し、まずはNORMALで走り出すことにした。アクセルペダルを軽く踏むかぎりは、アット3の動き出しや加速はとても穏やか。EVらしい勢いの良い加速を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。それでも、加速そのものはスムーズで余裕が感じられるし、同じクラスのEVに比べて動きの軽さが際だつ印象だ。 アクセルペダルを踏み増せば、余裕ある加速が味わえる。さらに奥までいっぱい踏み込むと、ようやくEVらしい力強さが体感できた。走行モードをSPORTに切り替えると、アクセルレスポンスは素早くなるが、力強く加速させるには、やはりアクセルペダルを奥まで踏みつける必要がある。一方、ECOモードはNORMALよりも反応が穏やかになるが、それでも十分活発なドライビングが可能である。

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TEXT:生方 聡
クセ強め! 「アット3」のデザインについていけるか? [BYD アット3試乗記:その2]

ついに日本に上陸したBYDのEV第一弾「アット3」。さっそくエクステリアやインテリアをチェックしてみた。 ユニークなデザイン アット3を試乗する前日、たまたまサービスエリアで急速充電中のアット3に遭遇した。見覚えのない後ろ姿に「あのクルマは何だろう?」と興味津々で近づいていくと、ようやく途中でアット3と気づいたのだが、そのクリーンでスタイリッシュな雰囲気には好感を抱いた……というのが私の第一印象である。Dピラーをボディとは異なるシルバーのパネルで装飾するあたりは「アウディQ2」や「フォルクスワーゲンID.4」とイメージが重なるが、BYDの文字をあしったシルバーの細いパネルが特徴のフロントマスクに見慣れてくれば、遠くからでもアット3とわかるようになるのだろう。 一方、インテリアデザインには戸惑うところも。コックピットは奥行きのあるダッシュボードや、スイッチ類を排したセンタークラスター、ステアリングコラムに置かれた小さいデジタルメーターなどにより開放的な雰囲気。ダッシュボード中央に据えられた12.8インチの大型ディスプレイには、スイッチひとつで縦向きと横向きが切り替えられるギミックが仕掛けられている。 センターコンソールを見るとダッシュボード側に半円状のスロットが並んでいたり(実はエアコンの吹き出し口)、ドアのトゥイーターの上にドアハンドルがあったり、ドアポケットにギターの弦のような装飾が施されていたり……。遊び心に溢れているというか、自由過ぎるというか、クセの強さに正直なところ最初は驚いた。ただ、全体としてはエクステリアデザイン同様、スタイリッシュな印象であり、EVという新しい時代のクルマが楽しめる雰囲気にまとめられているといえるだろう。

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TEXT:曽宮 岳大
BYDオートジャパン、日本第一弾のe-SUV「ATTO3」(アット3)を発売。価格は440万円

バッテリーEVに新顔が登場した。その名は「BYD ATTO3」(アット3)。中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳を拠点に、バッテリー・メーカーとして産声をあげ、現在はグローバルにEVを展開しているBYD。その日本向け第一弾がクロスオーバーSUVの「アット3」だ。どんなクルマなのかさっそくチェックしていこう。 日産リーフに比べて80万円以上安価な価格設定 BYDオートジャパンは1月31日、日本向け第一弾となる電気自動車「BYDアット3」の販売を開始した。全長4455mm×全幅1875mm×全高1615mmの「アット3」は、人気の高いCセグメントに属するSUVで、サイズ的には「日産リーフ」(全長4480mm)に近い。クロスオーバーカテゴリーでは、「日産アリア」(全長4590mm)や「テスラ・モデルY」(全長4751mm)よりもややコンパクトなサイズ感だ。 そしてアット3の強みとなるのは、リーズナブルな価格設定だ。バッテリー容量58.56kWh、航続距離485kmを誇る一方、車両価格は440万円と、このクラスのバッテリーEVとしてはちょっとライバルが見当たらない。航続距離が近い日産リーフの60kWh仕様(航続距離450km/価格525万3600円〜)に比べると、85万円も安価な設定だ。なお、アット3は2022年2月に中国で発売されて以降、オーストラリアやタイでも販売されており、グローバルで累計20万台以上を販売するなど、人気を伸ばしている。 それではクルマの特徴を細かく見ていこう。まずBYDについてだが、同社は中国・深圳を拠点とするメーカー。1995年にバッテリー・メーカーとして創業し、現在は自動車のほかエネルギー関連やモノレール事業などを展開。その自動車分野の日本法人として設立されたのがBYDオートジャパンだ。 アット3は、BYDが独自開発したブレードバッテリー(リン酸鉄リチウムイオン・バッテリー)を搭載したEV専用のe-プラットフォームを採用する。同社はブレードバッテリーの特徴として、優れた航続距離や強度、長寿命を挙げている。公表された航続距離(WLTCモード)は、前述のように日産リーフを凌ぐ。ちなみに車重はアット3が1750kg、リーフ(60kWh)は1670kgである。 モーター出力は150kW(204ps)、最大トルクは310Nmで、リーフ60kWh(最高出力160kW[218ps]、最大トルク340Nm)をやや下回る。なお駆動方式は前輪駆動のみ。 充実した標準装備、給電機能も完備 なお、アット3は給電機能に対応している。駆動用バッテリーから電気を取り出して利用できる「V2L」や、自宅など建物に給電を行える「V2H」に対応しており、災害時やキャンプなどで活躍する。なおV2Lアダプター(AC充電口)はオプション扱い。 アット3の主な標準装備は、LEDヘッドライトをはじめ、ハイビームアシスト、車両の周囲の障害物の有無などをモニター上で確認できるBYDアラウンドビュー、テールゲート電動オープン/クローズ機能、12.8インチタッチスクリーン(GPSナビゲーション、Apple CarPlay、Android Auto対応)、シートヒーターなど、このクラスとしては充実している。 先進安全機能についても、自動緊急ブレーキはもちろん、アダプティブクルーズコントロール、車線中央の走行をサポートするレーンセンタリングコントロール、死角の安全確認に寄与するブラインドスポットインフォメーション、リアクロストラフィックアラートなど、欲しいものは揃っている。 店舗販売で展開、2025年末までに100店舗目指す このほかBYDオートジャパンの販売面における特徴として、国内における販売ネットワークを拡充させる計画を進めている。アット3の発売日の1月31日に合わせて全国20拠点に商談や試乗が可能な開業準備室の営業を開始し、今後はショールームも拡充させていく。2月2日には日本1号店となる「BYDオート東名横浜」が、2月23日には「BYDート堺」がオープンし、2月以降さらに全国12拠点に開業準備室をオープン予定という。2025年末までには100を超えるショールーム付きの店舗を作ることを目標に掲げるなど野心的だ。BYDオートジャパンはあくまで対面販売を中心に展開する予定で、このあたりはインターネットを通じて販売するテスラと戦略が大きく異なるところである。各店舗には50kW級の急速充電器を設置する予定で、急速充電はCHAdeMO対応だ。 中国の近代都市、深圳生まれのBYD。今後人気が上昇するであろうコンパクトSUVを第一弾にひっさげ、そのスペックと価格は既存のEVを脅かす内容だ。なお、BYDオートジャパンでは今後の展開として、2023年中頃にEVコンパクトカーの「DOLPHIN(ドルフィン)」を、2023年下半期に電動セダンの「SEAL」の日本での展開を予定している。今後の展開も楽しみだ。

TAG: #BYD #アット3
TEXT:TET 編集部
BYD、SUV型のEV「ATTO3」(アット3)が国内販売開始……デイリーEVヘッドライン[2023.02.01]

BYD、SUV型のEV「アット3」(ATTO3)が国内販売開始……1月31日から 【THE 視点】BYDの日本法人であるBYDオート・ジャパンは、1月31日よりミドルサイズSUVのEV「アット3」を発売した。  同社は今後、正規ディーラーを全国に順次オープン。1月31日より商談や試乗の案内が可能な開業準備室を全国20店舗で営業を開始。2月以降はさらに全国12ヵ所の開業準備室をオープン予定で、2月2日にはショールームを備えた店舗の日本1号店となる「BYDオート東名横浜」をオープンするという。  筆者は先日の東京オートサロンで、「アット3」の実物を初めて見た。最大の特徴は最新の「e-プラットフォーム3.0」が採用されていること。BYD製のバッテリー(LFP)モジュールを板状に構成した「ブレードバッテリー」を核に、バッテリーパックをベースとしたEVプラットフォームを構築している。バッテリー容量は58.56kWhで航続距離は485km(WLTC)となっている。  デザインは好みもあるが、特に幅が広くなりがちの最近の車にしてはちょうど良いサイズと感じた。外装のクオリティも高かった。室内も十分な空間が確保されていて、ガラスサンルーフも標準装備なので開放的に思えた。  インストルメントパネル周りは円筒型をモチーフにしたのだろうか、丸形で構成されるエアコンのダクトやシフトレバー等が印象的だった。ユニークに思ったのはセンターディスプレイで、パネルの中のスイッチをタッチすると90度回転し横型にも縦型にもなる。こういった遊び心を兼ねた実用面が考慮されていることは好印象だった。  やはり驚きは税込440万円という販売価格。EVの値上げが伝えられている中、先日の発表通りの価格で発売された。実物も見て「アット3」がすべてにわたり価格を超えるパッケージを有していると感じている。早く試乗もしてみたいものである。[関連記事はこちら<click>] (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★「BYDオート東名横浜」(横浜市緑区)を2月2日にオープン……BYDのショールームを備えた日本1号店 ★フォード、米本国でEVの「マスタング・マッハ-E」を値下げ……生産も増強[詳細はこちら<click>] ・トヨタ、トルコで新型「C-HR PHEV」の生産を開始……PHEV用バッテリーの組み立てではヨーロッパ初 ・ネクステージ、BYDオート・ジャパンとディーラー契約を締結……2023年夏頃に、池袋エリア(東京都豊島区)にショールーム開設、2月1日より開業準備室を稼働 ・ABB E-モビリティ、EV用充電器の世界販売台数が100万台に……日本国内では2022年までに450台のDC充電器を導入、2023年度に倍増を目指す ・BBS、「東京オートサロン2023」でEV向け新型ホイールを発表……アルミ合金の新素材「フォルテガ(FORTEGA)」を使用[詳細はこちら<click>] ・テラモーターズ、不動産企業「プロパティエージェント」と業務提携……管理物件に充電インフラ「テラ・チャージ」を導入 ・日産、奈良県宇陀市と連携……EV普及に向けた啓発活動のほか、災害時に「リーフ」などから電源を供給 ・折りたたみ電動バイクシェアの「シェアロ」、シェアリング・ステーションにソーラーを設置……外部電源に頼らない運用をテスト ・日本EVクラブ、「電気カート組み立て教室」を2月4日に開催……東京国際交流館(東京都江東区)にて、小学4〜6年・中学生対象

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TEXT:福田 雅敏
日本市場で存在感を増す新興EVメーカー……EV開発エンジニアのオートサロン探訪[その2]

世界最大級のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」が1月13日から15日まで幕張メッセで開催された。今回の「オートサロン」には、多数のEVも出展されると聞いた。そこでEV開発エンジニアであり本媒体のエグゼクティブアドバイザーである福田雅敏が現地に赴いた。その現場をレポートしたい。今回は「その2」をお送りする。 超合理的に作られた1人用超小型EV、KGモーターズ「ミニマム・モビリティ・コンセプト」 今回気になっていた展示車が、スタートアップ企業「KGモーターズ」(広島県)が開発した「ミニマム・モビリティ・コンセプト」だ。展示されていたブースは、テスラが認めたカスタマイズパーツを扱うアフターパーツメーカー集団「テスラ・アライアンス」の一角。車両は小さいながらも、異彩を放っていた。 今回実車が初公開された「ミニマム・モビリティ・コンセプト」は、既に発表済みの軍用車にも似たものとは異なり、愛着のわく可愛い原付4輪EVとなっていた。かなり特徴的なスタイリングだ。 ボディサイズは全長2,450×全幅1,090×全高1,500mmとなる非常にコンパクト。80年代のポラロイドカメラをモチーフにレトロ感を演出しながら、前後左右対称という近未来的なデザインとなっている。フロントから見ると、なんだかポーランド製の「フィアット126」を想起させる雰囲気があった。 このボディデザインには理由がある。この形とすることで、ひとつの整形型で左右のボディパネルが作れる。すなわち合理的にコストダウンができるのだ。ガラスもコストを抑えやすい平面ガラスを使用している。 走行性能は、定格出力0.59kW(0.8ps)、最高出力5kW(6.8ps)、航続距離は100kmと控えめだが、エアコンがついており、1人用のチョイ乗り下駄代わりとしては十分だ。展示された試作車は日本製の部品で組み上げたというが、今後中国製のバッテリー等も検討し100万円を切る価格での販売を目指すという。100万円で100km走れるEVというのは魅力的ではないだろうか。 現在はモニターを募集中で、月額1万円で2ヵ月100人を募集しているという。興味ある方はぜひKGモーターズに問い合わせてみてはいかがだろうか。

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TEXT:ABTwerke
BYD アット3がいよいよ日本発売! その価格と販売体制は日本のEV市場に革命を起こすか?

  これはEV維新というべき発表ではないだろうか。中国のEV大手BYDが日本に本格上陸。12月5日、BYDの日本法人であるBYDオートジャパンは、日本導入の第1弾のモデル「ATTO 3(アットスリー)」の価格を発表。同時に2023年からのBYDの日本展開についても語られた。それは日本市場に革命を起こしそうな規模である。 アット 3の価格は税込440万円(税抜400万円)、補助金を入れるとさらに手頃に 日本導入第1弾となる「アット 3」は、現在世界中のメーカーのドル箱であるSUVだ。価格は税込440万円。補助金の対象となるため、多くのケースでもっと手頃に購入できる。5日に行われたBYDオートジャパンによる発表会で、東福寺厚樹代表取締役社長は価格についてこう述べた。 「400万円という数字は、Eモビリティをみんなのものに、という我々が目指す姿の現れ。日本のどのクルマをベンチマークにしたというわけではないが、BEVとPHEVの総合的な価格帯から検討した結果、税抜400万円に決定した」 また現在は日本全体が値上げラッシュである。今後値上げの可能性があるかについては、このように答えた。 「価格は中長期的な視点で設定した。発表した以上は当面この価格で勝負したいと思っている」 この発言から、BYDの日本進出は流行を追った一過性のものではない、ということが窺える。 高級ブランドのエキスパートが手がけたデザイン アット3のボディサイズは全長4,455×全幅1,875×全高1,615mm。このサイズは国産のSUVと比較すると、「トヨタ・ハリアー」(4,740×1,855×1,660)や「日産エクストレイル」(4,660×1,840×1,720)、「マツダCX-5」(4,575×1,845×1,690)と同格と捉えられる。日本のユーザーでも馴染みやすいサイズではないだろうか。 滑らかな曲線とキャラクターラインを組み合わせたバランスは、欧州のプレミアムブランドと並べても見劣りしない。ホイールは車体の四隅に配置。ボンネットからキャラクターラインを経てテールランプに至るラインにSUVらしい腰高さを感じるものの、グリーンハウスの高さが抑えられていることで全体的にスポーティな印象だ。 インテリアはクルマらしい操作系が残されているのが特徴。全体としては、フィットネスジムをイメージしてデザインされたとのことだが、例えば細く感じるドアトリムやその上のホワイトのパネル、そこから前方のダッシュボード下部に至るラインからはデザインに対する意識の高さを感じる。 ダッシュボード中央にある12.8インチのタッチ式インフォメーションパネルは、「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応し、その他車体の設定もつかさどる。ユニークなのは画面を回転することができ、スマートフォンやタブレット端末のようにフレキシブルな表示が可能であること。例えばナビ使用時は、縦画面にすると見やすさが格段に向上するだろう。 またインフォメーションパネル下のセンターコンソールには、馴染みのあるシフトレバーが備わる。レバーの周りにはハザードスイッチやエアコンなどのボタン類も配置されている。他のモデルでは、エアコンスイッチなどをタッチパネルにしているものもあるとはいえ、ブラインドタッチでの操作性は物理的なボタンに敵わない。シフトレバーも、電子制御であることを考えるとハンドル周辺に小さいレバーとして配置しても良いが、馴染んだ位置にあるほうが高齢者を含めた幅広い年代層に訴求しやすい。アット3の操作系の設計は、扱いやすさも考慮した結果だろう。 続いてパワートレインのスペックを見てみよう。モーターの最高出力は150kW(204ps)、最大トルクは310Nm。性能的には申し分ない。トルクが素早く立ち上がるEVならではの特性によって、市街地での発進や幹線道路への合流がしやすいだろう。 アット3の低重心設計はEVならではの特徴だ。自社製の薄型「ブレードバッテリー」を採用し、それが床下1面に搭載されている。ボンネットの下にある電動パワートレインも小型で、それら全てがタイヤの全高よりも低い位置に搭載されている。 バッテリー容量は58.56kWhで航続距離は485km(WLTCモード)。この数値であれば、冬にバッテリーの消費が激しい暖房を使用しても安心だ。購入開始から8年もしくは15万km以内にバッテリーの性能が新品比較で70%以下になった場合は無償交換の対象となる。 設計陣が欧州で鍛え抜かれたエキスパートであることは注目に値する。アルファ・ロメオのチーフデザイナー経験者であるウォルフガング・エガー氏をはじめ、メルセデス・ベンツでインテリアデザインを手がけたミケーレ・パーネティ氏、そして同じくメルセデスでシャシーチューニングを担当したハインツ・ケック氏を起用。簡単に言えば、アット3はアウトバーンを走るクルマを手がけた人々がデザインしたものだ。 ボディパネルのプレス成形品は、日本のタテバヤシモールディングが手がけている。衝突安全性についても、ユーロNCAPで最高水準である5つ星の評価を獲得している。アット3は中国のクルマだが、実は先進国の知恵と技術を取り入れたプレミアムカーと言える。 市場が覆るほど充実した販売とサービス体制 今回の発表でもっとも驚いたのは販売体制とアフターサービス等の充実ぶりである。購入の敷居を下げるため、月額4万400円のサブスクリプション型のリースプランも用意している(任意保険は付帯しない)。もちろん従来型ローンや残価設定型もあるので、どの支払い方式を選ぶかは自由だ。 手頃な価格設定であっても、そもそも買いに行く場所がないと購入も何もない。BYDオートジャパンは、2023年1月下旬以降に15都道府県で22箇所の「開業準備室」を順次オープンし、そこで新車の販売や試乗、アフターサービスを受けられる。もちろんこれ以降も全国にBYDの正規ディーラーをオープンさせる予定で、その数は2025年末までに100を超える計画だという。 各店舗には50kW級の急速充電器を備えるほか、故障時には購入店か否かに関係なく相談と対応が可能。電欠などに対応できるコールセンターも24時間365日で稼働させる。BYDオートジャパンは横浜の大黒埠頭に大規模な物流倉庫を設け、そこには新車はもちろん車体パーツも保管される。修理に長期間を要する心配もないだろう。 冒頭で「革命が起きそう」と言った理由は、この販売・アフターサービス体制の充実ぶりにある。近年、最初からこれほどの体制を持って日本に上陸した輸入車メーカーはあっただろうか。よほどの自信と普及への意気込みがなければ、大規模な体制を構築することはできない。うかうかしていると、既存のメーカーは市場をあっという間にBYDに明け渡してしまうのではないだろうか。

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