スズキ 記事一覧

TEXT:TET 編集部
スズキ初の電気自動車「e VITARA」初公開! 完全新設計のBEV世界戦略車第一弾に期待大

スズキ初の電気自動車はクロスオーバーSUV 多くのメーカーが電気自動車(BEV)をラインアップに加えるなか、長らく内燃機関搭載車のみで戦ってきたスズキが満を持してブランド初の電気自動車を欧州にて発表した。 その名は「e VITARA」。2023年1月にインドで開催されたAuto Expo、次いで同年10月に日本で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで公開したコンセプトモデル「eVX」をベースとした量産仕様であり、スズキのBEV世界戦略車第一弾を担うモデルとなる。 エクステリアは、「High-Tech & Adventure」をテーマに、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいとなっている。大径タイヤとロングホイールベースによって、存在感もバッチリだ。 インテリアでは、フル液晶となったメーターパネルとセンターディスプレイが統合されたインテグレーテッドディスプレイがEVらしい先進的な印象をもたらす。また、タフさを期待させる独特の造形をもったパネル類やセンターコンソールは、レザーやピアノブラックなどといった上質な仕上げによって高級感も手にしている。 注目のパワートレインは、もちろん完全新設計。モーターとインバーターを一体化した高効率のeAxleと、安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用する。 プラットフォームは電動車用に新設計された「HEARTECT-e」となり、軽量な構造、高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を特長としている。 また、同時に見逃せないのが4WDモデルだ。というのも、e VITARAの「VITARA」とは、悪路走破性に優れるスズキのSUV「エスクード」の海外名。それだけに、このe VITARAも単なる都会派SUVとは一線を画したタフネスさを備えている。 それを実現しているのが、「ALLGRIP-e」と呼ばれる新設計の電動4WD機構。これは前後に独立したふたつのeAxleを配置したもので、パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能としている。 また、片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分(LSD機能)することで悪路からスムーズに脱出できるTrailモードも備えるというから、その悪路走破性には期待していいだろう。 このe VITARAは、2025年春よりインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始するとされている。 現段階では日本仕様の価格やスペックは未発表となっており、続報が楽しみなところだ。

TAG: #BEV #SUV #国産車
TEXT:TET 編集部
スズキが「2023国際ロボット展」でロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介

電動車いすで培った足まわり技術を転用 スズキは、2023年11月29日(水)から12月2日(土)まで、東京ビッグサイトで開催される「2023国際ロボット展」にて、ロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介することを発表した。 「国際ロボット展」は、第1回が1974年に開催され、世界最大級のロボットトレードショーで、2年に1度開催されている。前回の「2022国際ロボット展」には、615社・団体が参加しており、4日間で6万人を超える入場者数を集めた、注目のショーとなっている。 今回スズキが使用事例を紹介する電動モビリティベースユニットは、スズキがこれまで培ってきた電動車いすの技術を応用したものであり、電動車いすの足まわりベースユニットに自律走行システムを搭載することで、農業、配送、土木建設補助などさまざまな用途で活用できるロボットの足まわりとして展開することを想定している。 スズキはこれまでにも、農業分野や配送分野などで電動車いすの足まわりユニットの活用を検討してきた。そして今回の「2023国際ロボット展」への出展により、ロボット業界の足として、さらに広く受け入れられるのかニーズを調査するという。 将来的には、電動モビリティベースユニットをロボットの足として活用してもらうことで、より良い社会の実現を目指す。 今後もスズキは、これまでに数々の分野で培った技術力を活かした製品とサービスを提供していくという。

TAG: #SUZUKI #ロボットショー #電動モビリティ
TEXT:桃田 健史
スズキが小型EVで一気に主導権を握る? JMSに量産濃厚と見られるモデルを続々導入の背景

スズキは2023年10月3日、「JAPAN MOBILITY SHOW2023」の出展が概要を発表した。 このニュースを受けて、自動車産業界の様々なところから「ついにスズキが(EVで)本気になった!」という驚きの声が聞こえてくる。その内容とは? EVラインアップ強化の中、様々な電動小型モビリティ登場 出展車を見ると、四輪車では、EV世界戦略車第一弾「eVX」を筆頭に、軽ワゴンEV「eWX」、商用軽バンEV「e EVERY CONCEPT」が出る。 さらに注目は、様々な電動小型モビリティにある。 例えば、次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)」は、ベースのシャーシとアタッチメントを組み合わせて、ボディバリエーションを「椅子モード」、「立ち乗りモード」そして「担架モード」へと変身させる、電動パーソナル/マルチユースモビリティだ。 高齢者向け、観光向け、さらに災害時での対応などで実用化が大いに期待される参考出品である。 イメージとしては、米シリコンバレーのスタートアップが考案するような次世代ロボット型のモビリティとも言えるだろう。 特定原付の四輪版が登場 次いで、「SUZU-RIDE」と「SUZU-CARGO」については、いますぐ量産されても不思議ではない印象がある。 キモは、車両区分が「特定小型原動機自転車(特定原付)」であること。 特定原付については、2023年7月1日に改正道路交通法が施行されてから、いわゆる電動キックボードに世間の注目が集まった。 車両規定としては、特定原付は2輪、3輪、または4輪が可能であり、今回スズキの提案は四輪の特定原付となる。 そのため、16歳以上では免許不要で、最高速度は時速20km以下。一定の技術条件を満たせば時速6km以下で一部の歩道を通行することも可能となる。 さらに、電動小型配送ロボット「LM-A」も出展する。2023年4月1日の改正道路交通法の施行により、「遠隔操作型小型車」の実用化への道が開かれた。 このように、スズキは直近での法改正を鑑みて、実用における利便性を十分に考慮した様々な電動小型モビリティを世に送り出そうとしているのだ。 スズキはこれまで、小型電動モビリティとしては、電動車いす「セニアカー」を企画製造・販売してきた。今後も、セニアカー事業は継続する。 電動車いすでは、医療関連製品という立ち位置があり、スズキとしてはその枠を超えたモノづくりや市場展開について”あえて控えてきた”印象がある。実際、筆者はスズキ本社を介してセニアカー関連の取材をしてきており、そうした実感がある。 今回の様々な小型電動モビリティ登場は、明らかに「次世代に向けた方向転換」というイメージだ。

TAG: #スズキ #電動小型モビリティ
TEXT:TET編集部
スズキ、空飛ぶクルマ事業へ前進:24年春生産開始を目指しスカイドライブと基本合意書を締結

スズキの工場で「空飛ぶクルマ」を作る スズキ株式会社(以下、「スズキ」)は、「空飛ぶクルマ」の製造に向けた協力について、株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO福澤知浩、以下「スカイドライブ」)と基本合意書を締結。調印式にはスズキの神代英俊 常務役員、スカイドライブの福澤知浩 代表取締役CEOが出席した。 スカイドライブは「空飛ぶクルマ」の製造を目的とした100%出資の子会社を設立する。スズキとスカイドライブは、スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春ごろから製造開始を目指す。スズキは、スカイドライブ製造子会社の人材確保など、製造開始に向けた準備についても協力する。より具体的な条件については協議を継続し、別途取り決める予定。 2022年3月には 両社が「空飛ぶクルマ」の事業・技術連携に関する協定を締結した。さらに同年9月には、スズキがスカイドライブへの出資を明らかにしている。今回の基本合意書締結は、こうした協力関係をさらに強固にするものだ。 2社の連携協定には、機体開発及び要素技術の研究開発、製造・量産体制および計画、スズキの四輪・二輪・マリンに「空飛ぶクルマ」を加えた新しいモビリティの具体化、インドを中心とした本件対象の海外市場開拓など、「空飛ぶクルマ」の社会実装実現を目指した幅広いターゲットが盛り込まれている。

TAG: #スカイドライブ #スズキ #モビリティ #空飛ぶクルマ
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
トヨタ/ダイハツ/スズキ、軽自動車規格の商用EVバンを共同開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.18]

小型車企業がタッグを組み普及を加速 軽バンは日本の商用EVの強みとなるか 【THE 視点】トヨタ/ダイハツ/スズキは、3社共同開発の軽商用EVバンのプロトタイプを発表した。「G7広島サミット(主要国首脳会議)」と並行して行われる(一社)日本自動車工業会の展示イベントで実車を公開する。 この軽商用EVバンは、スズキとダイハツの小型車開発のノウハウと、トヨタのEV技術を持ち寄り共同開発。さらに商用EVの開発団体であるコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)も企画に参画することで、ラスト・ワンマイルの輸送に最適化したという。現在発表されている仕様では、最大航続距離が200km。生産はダイハツが請け負い、トヨタ/ダイハツ/スズキの3社が2023年度中に導入を目指すとのこと。 ダイハツの車体にスズキがバッジをつけることには驚いたが、この軽商用EVバンは今後競争が激化するカテゴリーであり、技術開発の加速や普及拡大のためには、これまでの垣根を超えたアライアンスは必然なのだろう。 三菱自動車も「ミニキャブMiEV」の再生産を開始し、ホンダも今年度より配送会社と実証試験を始め、来年には「N-VAN」ベースの量産EVを販売する計画だ。価格はホンダが100万円台を目指すと言っているが、200万円前後がこのジャンルの基準価格となると予想する。 ラスト・ワンマイルの配送には軽商用バンが最適なのは間違いない。日本の商用EV普及の鍵を握る重要なカテゴリーだと認識している。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQV」の登場を予告……バンモデル「Vクラス」のEVモデル、2023年夏に発表[詳細はこちら<click>] ★★日産、充電サポートサービス「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3」の利用料金を改定……日産のEVユーザー専用のサービスへ、1分単位の課金型に ★★EV用ワイヤレス充電が国内初の実用化……技研製作所が高知本社<高知市>にある超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」にて実証実験、ダイヘンのワイヤレス充電システムとトヨタの「C+Pod」を使用[詳細はこちら<click>] ★メルセデス・ベンツ、バンモデル専用のプラットフォーム「VAN.EA」を発表……2026年以降の中型・大型バンモデル全てに採用 ★ナビゲート、EV充電スポット検索アプリ「おでかけEV」をリリース……「iOS」「Android」双方に対応、有料会員登録でポイント獲得・交換も ★武蔵精密工業、ベトナムのEVスタートアップ企業「Son Ha Group」と協業……武蔵製のEVユニットを提供、ベトナム国内でEVバイクを開発 ★国際航業、パイオニアとV2H(EVの電力を家庭で利用可能にする機構)系のサービスで連携……国際航業のEV・V2H経済効果試算ツールと、パイオニアのEV消費電力推定技術を連携させ、高精度なEVの電力管理が可能に ★ヤマハ、EVトライアルバイク「TY-E2.1」を実戦投入……「FIMトライアル世界選手権 第3戦日本グランプリ」に出場、ライダーは黒山健一選手 ★アメリカ新興のルーシッド、ローンおよびリース契約の申し込みを開始……リースの場合1,299ドル(約17万7000円)/月(エア・ツーリング)から ★東陽テクニカ、モーターエミュレーターを「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市西区)/5月24日(水)〜26日(金)>に出展……インバーター開発向けのモーターのシミュレーター ★ヴァレオ、EVバイク「eMotorBike」を「人とくるまのテクノロジー展」に出展……48Vの駆動システムを搭載、最高出力は原付二種同等の9.5kW(13ps) ★ブレイズ、「憩の森マルシェ」<大高緑地公園 若草山芝生広場(名古屋市緑区)/5月21日(日)>に出展……「ブレイズ・スマートEV」など展示、試乗も可能 ★日産、千葉県とEV活用で包括連携協定を締結……「ブルー・スイッチ」施策で、災害時のEV活用など ★経済産業省、電力会社の値上げ申請を認可……北海道電力/東北電力/東京電力/北陸電力/中国電力/四国電力/沖縄電力の計7社が電気料金を値上げ

TAG: #THE視点 #ハイゼット #商用EV
TEXT:吉坂 直樹
FCEVのスムーズかつ強烈な加速と静かさを体感! 燃料電池車の未来が見えた!? ――バンコク国際モーターショーに合わせて開催された体験試乗会に参加

3月に開催された第44回バンコク国際モーターショー。それに合わせて現地のTAS(TOYOTA ALIVE SPACE)にて、FCEV化したトラックのプレス向け体験試乗会が開催された。タイ最大の財閥であるCPグループと日本の自動車メーカーの事業共同体であるCJPTが協業で取り組んでいる、トラックのFCEV化をアジアのプレスに発信するためのイベントだ。THE EV TIMESはその試乗会に合同で参加してきたので、そのレポートをお届けしたい。 アジアの生活向上を目的にトラックやバスなど、日本×タイでの開発を検討中 CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)とは、いすゞ自動車とトヨタ自動車、スズキ、ダイハツ工業が共同出資する商用事業会社で、商用車における技術の普及を通じ、カーボンニュートラルの促進を目標とする。現在はアジアの生活向上を目的に、トラックやバス、タクシーなどの車両を中心として、タイの豊富な資源を利用しながら、商用車のFCEV(燃料電池車)化を進めることを検討している。 すでにトヨタはタイ最大財閥であるCP(チャロン・ポカパン財閥)グループとの協業にも着手している。タイ国内の養鶏・家畜業から集めた家畜糞尿から生まれるバイオガスを活用し、水素を精製。この水素を活用したトラックのFCEV化にも成功しているのだ。 体験試乗会はTASショールームに隣接するテストコースで実施された。「SORAバス」にはショールームからの移動手段として乗車。「FCEV Heavy Duty Truck」は助手席のみの試乗だったが、それ以外の車両はすべて運転可能。0-60km/h加速を体験できた。 しかし実際、FCEVの商用におけるメリットにはどんなものがあるのか。物流トラックとして見た場合、EVでは充電時間が長くなるが、燃料電池車ならガソリンスタンド同等の燃料供給時間で水素の充填が可能。トルクがあるため加速にも優れるからドライバーの負担も軽減され、排ガスも皆無で環境にも優しい。10kgの水素ならチャージは約5分で済み、1kgにつき約80kmの航続が可能だというから、長距離を走る商用車としての資格も十分だ。ただし現在は水素燃料の価格がガソリン同様に高騰しており、1kgあたり1400円前後。価格の安定は今後の課題だろう。 ちなみに当日、試乗可能だったISUZU&TOYOTAの「FCEV Light Duty Truck」は、すでに日本の福島でも導入されている。水素タンクの容量は10kgで、250~260kmほどの航続が可能だ。ただし航続距離は運行ルートによっても差が生じる。重要なのはどれだけの重量を一度に運べるのかで、そのあたりの力強さに関してはクリアされているようだ。 さまざまな用途のFCEVを実体験! 商用車のFCEV化はかなり現実的な局面が近い! 用意された試乗車はさまざま。大型トラックはもちろん、バンコク国際モーターショーで人気のタクシーや、「ダイハツ・ハイゼットスモールバン」までズラリ。いずれも走行性は快適そのもので、「グランエースFCEV」の展示やオシャレなカフェ仕様も登場した。 さて実際に試乗してみた感想だが、まず驚いたのはスムーズ、かつ強烈な加速。60km/hまではそれこそアッと言う間に到達する感覚で、ガソリントラックのイメージを根本から覆すほどに速い。これなら大型トラックでも高速道路などへの合流がスムーズなので、運行がとてもイージーになるはずだ。何より常に室内が静かで振動がないことが、ドライバーの負担軽減につながる。 タクシーも快適そのもので、日本で馴染みのジャパンタクシーのもっさり感を劇的に裏切るほどに俊敏で走りがいい。バンは取りまわしがバツグンだから狭い道でもガンガン進める。細い道が多い日本の道路事情にも合いそうだ。 タイの家畜から出た糞尿から生まれるバイオガスを日本で水素化し、ビッグデータを最適化して物流の効率化を図るとともに、カーボンニュートラルも促進していくというCJPTの試み。まだ課題は残されているとしても、環境への貢献度は確実に高いといえる。運用はかなり現実的な段階まで進んできていると今回の試乗会では実感させられた。まずは日本経済を下支えする流通の改革と、カーボンニュートラルとの両立。FCEVはそのための選択肢として、候補に挙げておくべきだろう。  <イベント概要> Carbon Neutral Mobility Event CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies) 2023.03.23 Thailand TOYOTA ALIVE SPACE *当日用意された車両 試乗用= 1)HINO FCEV Heavy Duty Truck 2)ISUZU&TOYOTA FCEV Light Duty Truck 3)TOYOTA LPG-HEV Taxi […]

TAG: #EVトラック #タイ #燃料電池
TEXT:栁 蒼太
スズキ、2030年度に向けた成長戦略を発表

スズキ株式会社は、2030年度に向けた成長戦略を発表した。 「価値ある製品」づくりをモットーに、モノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」、柔軟さ・素早さ・チャレンジ精神を忘れない「中小企業型経営」、机上の空論を排した「現場・現物・現実」の三現主義で行動し、「スズキらしい2030年度に向けた成長戦略」の表明となった。 スズキは2030年度に向け、主要事業地域である日本・インド・欧州を核にして、カーボンニュートラル社会の実現とインド、ASEAN、アフリカなどの新興国の経済成長に貢献を望んでいる。 2030年度に向けた主な取り組み 各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を視野に入れ、グローバルでの対応を進める。 日本では、2023年度の軽商用BEVの投入を皮切りに、小型SUV・軽乗用などの投入を予定しており、2030年度までに6モデルを用意。また、軽自動車や小型車向けに新型ハイブリッド・システムを開発し、BEVと併せることで幅広い顧客層に対応する。 欧州では、2024年度よりBEVを投入し、SUV・Bセグメントなどに広げていき、2030年度までに5モデルを展開。欧州各国の環境規制やお客様ニーズに適したシリーズの拡大を進める。 さらにインドでは、「Auto Expo 2023」で発表したBEVを2024年度に投入し、2030年度までに6モデルを展開。BEVだけではなく、ハイブリッド車・CNG※・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関モデルも継続的に投入する。 ※CNG(Compressed Natural Gas):圧縮天然ガス 未完全、だからこそ面白い BEVの導入を中心にしたパワートレインの刷新にあたっては、先進国から新興国までの幅広いユーザーを踏まえ、各国の環境や規制事情に対応して展開する必要があるため、一様の手段では乗り切れないようだ。中には、THE EV TIMESが注目をしているEVだけではなく、内燃機関での対応も必要になるケースがある。ある意味、EVの技術革新の傍らで内燃機関の進化からも目を離せないと言えるだろう。 EVの魅力は確かに多い。ただ、視野を広げるとまだまだ対応出来ない「未完全」な部分がある。それを補うかのように内燃機関の技術も存在し、発展を続けている。両者の長所短所をうまく擦り合わせた技術にも期待が膨らむ。今後の技術革新が面白そうだ。

TAG: #スズキ
TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.13]

  スズキ、EVコンセプトモデル「eVX」を初公開…インドで開催中の「オートエキスポ2023」で 【THE 視点】 インド・デリー近郊で開催されている「オートエキスポ 2023」において、スズキのEVコンセプトモデル「eVX」が、スズキのインド子会社マルチ・スズキ・インディア社のブースで世界初公開された。  「eVX」は、2025年までに市販化を計画しているスズキのEV世界戦略車第一弾のコンセプトモデルという。  スズキは、「グランドビターラ」をはじめ「S-CROSS」といったSUVモデルを世界各国で展開している。EVモデルである「eVX」においても、スズキのDNAである本格4WDの力強さと最新のEVとしての先進性を融合し、ひと目でスズキのSUVとわかるエクステリアに仕上げたという。  全長4,300mm×全幅1,800mm×全高1,600mmのボディに60kWhの電池が搭載される。航続距離は550km(インドMIDCモード測定値)と発表されている。  車両の詳細は不明だが4WDをうたっていること、60kWhと大容量の電池を床下に配置するであろうことから前後2モーターの4WDとなるだろう。インドでの発表だけに、高温下でのバッテリーなどの熱管理が重要となる。  スズキは、提携先のトヨタからEV技術を学ぶともこの会場で発表した。先日はカナダの企業とEV用減速機の技術提携を発表しており、矢継ぎ早にEV戦略を打ち出している。  2025年には発売されるスズキの「eVX」。どんなEVになって発売されるのか今から待ち遠しい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★BYDオートジャパン、納車前点検を行うPDIセンターを横浜大黒ふ頭内に開設……三菱倉庫と業務委託契約し高品位な供給体制を構築 ★トヨタ車体、バギーのようなEV「ファンコム エクスプローラー」を「東京オートサロン2023に出展」……1人乗りの小型EV「コムス」をベースにカスタム ・日産、集合住宅でのEV所有を促進する「+e プロジェクト」を積水ハウスと推進……集合住宅にEVを導入する体験イベントなどを開催[詳細はこちら<click>] ・ジャガー、「I ペース」を本国で改良……スポーティグレード「R-ダイナミック」を追加 ・プジョー、 新型「408 PHEV」をブリュッセルモーターショーに出展 ……「e-208 GT」なども展示しEV時代をアピール ・キア、「EV6」が北米でカー・オブ・ザ・イヤー……受賞内容は「北米ユーティリティ・ビークル・オブ・ザ・イヤー」、50人からなる審査のうえ選出 ・ウィルスマート、「オートモーティブワールド」内「マースエキスポ」に出展……EVのカーシェアリングシステム「ウィル-モビ」など展示 ・オンセミ、シリコンカーバイド(SiC)パワーモジュールがキア「EV6 GT」に採用……直流800Vのバッテリーから交流モーターへ高効率で電力変換 ・東洋テクニカ、「エレクトリック・モータ・エミュレータ」を発売……モーターの動作を再現しインバータ開発の促進に寄与

TAG: #eVX #THE視点 #スズキ #デイリーEVヘッドライン #福田雅敏
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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