生方 聡 記事一覧

TEXT:生方 聡
最高出力390kW! 「アウディe-tron GTクワトロ」ってどんなEV? [アウディe-tron GTクワトロ試乗記:その1]

その名前が示すとおり、アウディがEVの時代を切り拓くために送り込んだGT(グランツーリスモ)がアウディe-tron GTである。ポルシェのDNAを持つこのクルマにはどんな特徴があるのか、まずはそのあたりから探っていこう。 e-tronは三車三様 プレミアムEVブランドナンバーワンを目指すアウディには、現時点で3モデルの「e-tron」、すなわち、EVが用意されている。ラグジュアリーSUVタイプのアウディe-tron/e-tronスポーツバック、コンパクトSUVタイプのQ4 e-tron/Q4スポーツバックe-tron、そして、4ドアクーペのe-tron GTだ。 面白いのが、この3モデルの成り立ちがすべて異なっていること。具体的には、アウディe-tron/e-tronスポーツバックは、同社の主力モデルのA4などにも使われている「MLB evo」プラットフォームを用いる生粋のアウディである。ちなみにアウディe-tron/e-tronスポーツバックは、マイナーチェンジを機にQ8 e-tron/Q8スポーツバックe-tronにモデル名が変更されている。今年中には日本にも導入される予定だ。 一方、Q4 e-tron/Q4スポーツバックe-tronは、フォルクスワーゲングループがEV向けに専用開発した「MEB」プラットフォームを採用。フォルクスワーゲンID.4と基本設計を共有しているのは、ご存じのとおりだ。 これに対して、e-tron GTはポルシェ・タイカンと同じJ1パフォーマンス・プラットフォームをベースとしている。911や718ケイマン/ボクスターといった2ドアモデルはいうまでもなく、マカンやカイエン、パナメーラ、そしてタイカンにいたるまで、全モデルを“スポーツカー”と位置づけるポルシェが手がけたプラットフォームだけに、e-tron GTの走りにおのずと期待が高まってしまうのは、私だけではないだろう。

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TEXT:生方 聡
「ID.4」は雪道が苦手ってホント?[ID.4をチャージせよ!:その7]

リアモーター、リアドライブのID.4は雪道が苦手——そんなイメージが本当かどうか確かめるため、スタッドレスタイヤを装着したID.4 プロ・ローンチエディションで雪の裏磐梯までドライブに出かけました。 15年ぶりの“鉄チンホイール” ID.4を購入するにあたって、ずっと気がかりだったのが雪道での走行性能です。日本で販売されるID.4は、ID.4 プロ、ID.4 ライトともに、リアアクスルにモーターを搭載し、後輪を駆動するRRを採用しています。FF(フロントエンジン、フロントドライブ)や4WDに比べて雪道に弱いというイメージがあり、本当にそうなのかどうか、実際に運転して確かめたいと思っていました。 そしてついにそのチャンスが到来! 愛車のID.4 プロ・ローンチエディションの納車が昨年の11月末で、そこからホイールとスタッドレスタイヤを手配したため、この2月に入ってようやく準備が整ったのです。 ID.4 プロ・ローンチエディションには20インチのアルミホイールと、前235/50R20、後255/45R20サイズのタイヤが標準装着されていますが、スタッドレスタイヤ用として、エントリーグレードのID.4 ライトに設定されている純正スチールホイールを購入。サイズは2インチダウンの18インチですが、ID.4 プロ・ローンチエディションには問題なく装着できますし、20インチのアルミホイールに比べて、かなり安上がりなのが決め手でした(笑) さらに、ID.4はリアのブレーキがドラム式で、自慢げに見せるものでもないので、スチールホイールのほうが好都合です。“鉄チンホイール”を履くのはなんと15年ぶり! これに、ID.4 ライトと同じ235/60R18サイズの「ミシュランX-ICE SNOW SUV」を組み合わせました。

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TEXT:生方 聡
CEV補助金は令和5年4月からどう変わる?

経済産業省は2月14日、令和5年4月からの「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(以下、CEV補助金)についてその概要を公表した。EV購入者向けの補助金の額はおおむねこれまでどおりだが、一部車両では減額になるなど変更も見られる。そこで、CEV補助金の歴史も含めて、発表の内容をチェックしてみる。 ※令和4年度補正予算CEV補助金に関する最新情報は、下記のコラムをご覧ください。 [最新版・補助金情報]令和4年度補正予算CEV補助金の申請受付が3月23日に開始

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TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その4 1モーターか2モーターか

気軽に乗れる1モーター スポーツカー顔負けのパフォーマンスを示すC40リチャージ・ツインモーターに対して、XC40リチャージ・シングルモーターは動きが軽い印象。モーターの最大トルクはツインモーターの半分だが、モーター1基ぶんとバッテリー容量を減らしたおかげで車両重量は150kg軽く、発進から余裕ある加速を見せてくれる。ツインモーターの痛快さはないが、どんな場面でもその速さに不満を覚えることはなかった。 加速だけでなく減速の印象もツインモーターとは異なる。ツインモーターの場合、One Pedal Driveがオンの状態でアクセルペダルから足を離すと強めに回生ブレーキが効くが、シングルモーターでは効きが穏やかになり、多くの人が、こちらのほうが扱いやすいと感じるだろう。ツインモーターと比べると、シングルモーターの乗り心地はマイルドで、快適性ではシングルモーターに軍配が上がりそうだ。 ただ、シングルモーターは前輪駆動ということもあり、フル加速時にステアリングが乱されることがあった。その点、ツインモーターは、4WDならではの高い接地感が確保され、さらに加減速時の安定感、フル加速時の高いトラクション性能など、ダイナミックな性能の高さは実に魅力的。私が選ぶなら、C40リチャージ、XC40リチャージともに、100万円高いツインモーターかなと思うし、その中身を考えればC40リチャージ・ツインモーターの759万円、XC40リチャージ・ツインモーターの739万円は十分に納得がいく価格といえる。

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TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その3 EVらしさを前面に

300kWの鋭い加速 まずはパワフルな走りが自慢のC40リチャージ・ツインモーターを試す。運転席に収まり、システムの始動ボタンを探すがどこにも見当たらない。それもそのはずで、いまどきのEVらしく、システム始動の儀式は不要で、リモコンキーが車内にあれば、あとはシートに座り、ブレーキを踏みながらシフトレバーを操作すれば、発進の準備は完了するのだ。ちなみに、フォルクスワーゲンID.4でも同様に準備は整うが、始動ボタンは見えにくい場所に備わっている。 さっそくDレンジを選んで走り出したいところだが、その前にひとつ確認しておきたいことあがる。C40/XC40リチャージでは、走行中にアクセルペダルを離したときの動きを、ドライビング設定で選ぶことができるのだ。「One Pedal Drive」の項目をオンにすれば、アクセルペダルを離したときに強めの回生ブレーキが効き、最終的にはクルマが完全停止する、いわゆる“ワンペダルドライブ”が利用可能になる。一方、One Pedal Driveをオフにすれば、アクセルペダルを離したときに回生ブレーキが効かない惰力走行になる。ワンペダルドライブが無効のときには、ブレーキペダルから足を離したときにゆっくりと動くクリープがあるので、車庫入れなどではこのモードが使いやすい。 とりあえずOne Pedal Driveをオンにして走り出すことにする。アクセルペダルを軽く踏むだけで、C40リチャージ・ツインモーターは力強く発進。カタログを見ると、前後モーターともに最大トルクの330Nmを0〜4,350rpmで発揮するとあり、動き出しの力強さはまさにEVの醍醐味といえるものだ。クルマが動き出したあとも、アクセルを軽く操作するだけで意のままに速度を上げてくれるだけに、ストレス知らずのドライブが楽しめる。

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TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その2 Googleを味方につけて

クールなフロントマスクがEVの証 C40リチャージとXC40リチャージは、4,440mmの全長、1,875mmの全幅、2,700mmのホイールベースがすべて共通。一方、全高はXC40リチャージが1,650mmであるのに対して、低くルーフラインが特徴のC40リチャージは55mm低い1,595mmとなる。リアのデザインも大きく異なり、スポーツモデルをイメージさせるC40リチャージのリアエンドを見ると心が躍る。 これに対して、フロントエンドのデザインは、C40リチャージとXC40リチャージで共通のイメージだ。フロントグリルにボディ同色のカバーが施されたことで、他のボルボとは異なるクールな印象を強めている。 レザーフリーを実現したインテリア C40/XC40リチャージのインテリアは、基本的にはガソリンモデルのXC40を受け継いでいて、プレミアムコンパクトSUVと呼ぶにふさわしい心地よい仕上がり。一方、ガソリンモデルと異なるのがダッシュボードとフロントドアの装飾パネル。等高線をイメージした模様の黒いパネルは、照明が灯るとバックライトで絵柄が浮き上がってくる凝ったデザインなのだ。 驚いたのはC40/XC40リチャージのインテリアには環境対策に配慮した結果、一切レザーが使われていないこと。ステアリングホイールの手触りはレザーそのものに思えるのだが、実際には人工皮革が使われているという。もちろんシートにもレザーは使われていない。ボルボが“レザーフリー”を採り入れるのはこのC40/XC40リチャージが初めてだが、その試みは成功といえる。

TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その1 選べる4タイプ

人気のプレミアムコンパクトSUVがEVに 「安全なクルマ」といえば、真っ先に思い浮かぶのがスウェーデンの自動車ブランドであるボルボ。自動車安全のリーダーである彼らが、安全とともにいま取り組んでいるのがEVブランドへの転身である。すなわち、2025年までに販売台数の半数(日本は45%)をEVとし、2030年にはEV専業メーカーになることを目指している。 その実現に向けた第一歩として市場に投入されたのが、コンパクトSUVのXC40をEVに仕立てた「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」である。XC40は2018年に国内で発売されるや、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、販売面でも40シリーズは常に輸入車トップ10に入るほどの人気を続けている。 当初、ガソリンエンジン車だけだったXC40は、2020年8月にプラグインハイブリッド・モデルを設定。そして、2021年11月、満を持してEVモデルのC40リチャージが登場した。XC40のクーペ版といえるC40リチャージだが、XC40と異なるのはEV専用のモデルであること。実はヨーロッパではC40に先行してXC40のEVモデルが導入されていたが、日本市場にはより性格が際だつC40を先に導入したという経緯がある。 その後、2022年5月にはBEV仕様のXC40が追加され、2023年2月の時点では2モーターのC40リチャージ・ツインモーターとXC40リチャージ・ツインモーター、1モーターのC40リチャージ・シングルモーターとXC40リチャージ・シングルモーターの4モデルが設定されており、選択肢が多いのがうれしいところだ。

TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その6]「e-Mobility Power」ネットワークは頼みの綱

自宅に充電設備がない私にとって、なくてはならないのが急速充電できる充電スポット。なかでも「e-Mobility Power」(以下eMP)の充電ネットワークは頼みの綱です。 コンビニからサービスエリアまで 前回のコラムでは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各オーナーが利用できる「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」を紹介しました。いまのところ比較的空いていて充電スピードも早いということで便利に使っていますが、2022年末の時点で全国に222基の設置で、高速道路などでは利用できないことから、おもに利用しているのがeMPの充電ネットワークです。 eMPの充電ネットワークは、急速充電器だけでも全国に約7,800口(2023年3月時点)あり、日産や三菱、トヨタ、メルセデス・ベンツ、BMWといった自動車ディーラーをはじめ、高速道路のサービスエリア/パーキングエリア、道の駅、ショッピングモール、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドなど、さまざまな場所にある急速充電器が、専用の充電カードをかざすだけで利用できます。 フォルクスワーゲン・ジャパンでも、ID.4やeゴルフのオーナー向けに、eMPの充電ネットワークが利用できる「フォルクスワーゲン充電カード」(以下、VW充電カード)を用意していて、私もすでに入手したことは[ID.4をチャージせよ!:その3]で紹介しました。 実は以前eゴルフを所有していたときにもVW充電カードを利用していましたが、その当時と現在では料金体系が異なっています。eゴルフのときに加入していた「プレミアムプラン」では、月額5720円で急速充電と普通充電がなんと使い放題! 最強の充電カードといっても過言ではありませんでした。残念ながらこのプランはeゴルフオーナー専用で、2022年12月31日で新規受付は終了しています。 代わりに登場したのが「普通・急速充電器併用プラン」です。会費が月額7810円に値上がりしたうえに、急速充電は1分あたり16.5円、普通充電は2.75円の料金が発生します。月90分の急速充電料金が含まれているので、実質の月会費は6325円ということになりますが、eMP自身が発行する充電カードと比べて割高です。ただ、ID.4を新車で購入した場合、月会費が1年間無料となるので、そのあいだはVW充電カードを利用しない手はありません。

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TEXT:生方 聡
アウディ ジャパン、「Audi Sustainable Future Meeting」をアウディ浜松で開催。ショールームも急速充電もすべてグリーン電力で。

アウディ ジャパンは、1月27日、正規ディーラーのアウディ浜松で「Audi Sustainable Future Meeting」を開催し、同店舗における二酸化炭素排出ゼロの取り組みを紹介した。いまではワンワードで語られてしまう「カーボンニュートラル」だが、その背景には多くの工夫と大規模な投資が存在するようだ。 初期費用はゼロ 浜松駅と東名高速・浜松インターのほぼ中間という好立地、プレミアムブランドのカーディーラーが軒を連ねるエリアにアウディ浜松はある。2019年1月にリニューアルオープンした同店だが、今年の1月5日から新たな取り組みを始めた。日本の自動車ディーラーとして初めて、電気とガスの二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを達成したのだという。 アウディ浜松を運営するサーラカーズジャパンは、愛知県東部、静岡県西部を中心に、都市ガスやLPガスなどエネルギー供給事業をはじめ、輸入車ディーラー、住宅関連事業などを手がけるサーラグループの一員。グループの売上ではエネルギー関連が約5割を占め、地域の生活をサポートする企業として、なくてはならない存在である。アウディ浜松が、電気とガスのCO2排出量実質ゼロを実現できたのは、グループ企業の連携があったのが大きい。 では、どのようにしてCO2排出量実質ゼロを達成したのだろうか。アウディ浜松の屋上には400枚、150kWのソーラーパネルが設置されている。この発電によりショールームと急速充電の電力をまかない、余った電気は電力会社が一定価格で買い取るFIT(固定価格買取制度)により売電している。 ソーラーパネルによる発電量は年間173,000kWhで、そのうち71,000kWhをアウディ浜松が消費する。ということは、102,000kWhの余剰電力が生じる計算だが、取材当日のように雪が降っているときや夜間はソーラーパネルによる発電は望めず、こうした太陽光発電が不足する場面では、サーラeエナジー社が供給する実質CO2フリー電力を利用する。さらに、ショールームの空調に用いるガスエンジンヒートポンプエアコンには、サーラエナジー社が供給する「カーボンニュートラル都市ガス」を使用。これにより、電気、ガスともにCO2排出量実質ゼロを達成するというわけだ。 なお、ソーラーパネルの設置や所有、維持管理はサーラエナジー社が担当し、同社からアウディ浜松が電気を買う契約を結んでいるため、アウディ浜松は初期費用0円で太陽光発電を導入できたという。導入の検討段階では業務用電力に比べて割高になる可能性があったが、昨今の電気料金高の状況では電気代が15〜20%節約になっているという。 このようにして、「自分たちが使う電気は自分たちでつくる」を実践するアウディ浜松では、もちろんEVの急速充電でもカーボンニュートラルな電気が利用できるため、EVの走行中だけでなく、発電段階でもCO2の排出量が実質ゼロになり、車両の生産から使用までに発生するCO2の量(ライフサイクルCO2)の低減を可能とした。 アウディ ジャパンでは、パワーエックスと業務提携を行い、再生可能エネルギーを急速充電に用いるための仕組みを構築する考えだが、アウディ浜松はいちはやく独自の方法でその実現に漕ぎ着けた。さらにサーラカーズジャパンは、このアウディ浜松を皮切りに、2023年4月にはフォルクスワーゲン/アウディ第2工場(浜松整備工場)、2023年年央にはフォルクスワーゲン浜松とフォルクスワーゲン浜松西でも、CO2排出量実質ゼロ化を計画している。 クリーンな電気で走りたいと思うEVオーナーのひとりとして、このような取り組みが今後ますます増えることを期待したい。

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その5]90kW急速充電はこんなに速い!

「ID.4をチャージせよ!」は連載5回目にしてようやく“チャージ”、すなわち、実際に充電する話題に漕ぎ着けました。まずは「プレミアムチャージングアライアンス」の90kW急速充電をチェックします。 最高75kWをマーク! ID.4オーナーは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各ディーラーにある90kW超の急速充電器が相互に使用できる「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」が利用できます。[ID.4をチャージせよ!:その3]で触れたとおり、すでにPCAの加入手続きを済ませているので、いつでも利用することが可能な状態です。 使い方は簡単で、クルマに充電プラグを挿し、PCA専用アプリで充電器のQRコードを読み取り、あとはアプリの指示にしたがって進めていけば、自動的に充電が始まります。果たして、どれくらいの電力で充電できるでしょうか? ID.4ではセンターディスプレイで充電中の電力をリアルタイムに確認することができます。ずっと監視している必要はないのですが、面白いので眺めていたら最高で75kWをマーク! 90kW急速充電器といっても実際には90kWで充電が行われるわけではなく、その数字より低めというのが現実です。フォルクスワーゲン・ジャパンの担当者によれば、90kW急速充電器で75kWというのはほぼ最速とのこと。それでも、40〜50kW急速充電器に比べて2倍近いパフォーマンスです。ちなみに、150kW急速充電器では94kWが上限。本来125kWの急速充電に対応するID.4ですが、日本の環境ではその実力が発揮しきれないのが残念なところです。

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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