欧州勢には優位でも中国市場での苦戦は免れない
実際に、新型ESを競合となるドイツブランドのEVセダンと比較してみると、動力性能はわずかに見劣りするものの、高級EVセダンとして大きく劣っているような点は見受けられません。その上でES 350eは790万円であり、優遇されているCEV補助金を考慮しなくても、ドイツ高級EVセダンよりも割安に購入することが可能です。とくに新型ESは多くの装備が標準搭載されていることから、ドイツ高級EVセダンで同等の装備内容をオプションとして追加すると、そのコスト競争力の差はさらに広がります。

ただし、日本市場で気をつけるべきは、そもそものESの市場規模という点でしょう。旧型モデルの販売台数はこの数年間、月間200〜300台程度で推移しており、いわゆるレクサスの主力モデルではないため、EVモデルが売れたとしても、月間100台程度がいいところと推測できます。残念ながら、縮小するセダンマーケットを活性化するようなモデルとしては期待できません。
そして、新型ESについて懸念するべきは、主力マーケットとなる中国市場における競合のEVセダンとの比較です。直接の競合となり得るシャオミSU7、BYD Denza Z9GTなどとのEV性能を比較すると、SU7が電費性能や急速充電性能、動力性能でリードを許しています。

さらにDenza Z9GTは、電池容量、航続距離、充電性能、動力性能、最小回転半径、ホイールベースの長さによる車内空間の最大化、フロントトランク、CDC付きデュアルチェンバーエアサスペンション、シティNOAを含めたハイエンドADAS、Devialet製24スピーカーシステムなど、多くの指標でリードを許している様子が見て取れます。
また、中国ユーザーの多くが新型ESに対して指摘しているのが、貧弱な標準装備内容です。中国仕様では「助手席快適装備オプション」として、
・14インチ助手席スクリーン
・助手席レッグレスト
・運転席と助手席の4方向ランバーサポート
・シートメモリー機能
が1.2万元(日本円で約28万円)のセットオプションです。

さらに、「五感を刺激する至福のひとときオプション」として、助手席快適パッケージの内容に加えて
・マークレビンソン製17スピーカーシステム
・竹製半透明ドアパネル
・後席サイドサンシェード
が3万元(約70万円)のセットオプションです。
助手席ディスプレイや高級オーディオなど、中国勢の高級EVでは基本的に標準装備されている内容であり、ネット上では不満の声が散見されます。
レクサスとしては、日本で設計開発するモデルでは中国高級EV市場を満足させるような豪華装備内容をコスト競争力高く実装することが難しい様子が見て取れます。これらの要因こそ、トヨタがレクサス専用工場を中国上海に建設して、2027年に創業をスタートさせようとしている理由なわけです。

いずれにしても、レクサスのEVシフトを進める上で新型ESがどれほどの貢献を果たすのか。日本ではCEV補助金込みで実質660万円から購入可能であり、ハイブリッド車ではなくEVモデルを購入検討してみるのもいいかもしれません。
また、新型ESの主力マーケットとなる中国では、これまでまったくEVが売れていないなか、ハイブリッドモデルとEVモデルの販売比率がどのように推移するのかに注目です。

















































