フォードがEV事業で損失195億ドルに陥った
最近、EV事業が原因で大きな損失を出した自動車メーカー関連のニュースが目立つ。日系メーカーでは、やはりソニーホンダモビリティの件がある。ソニーとホンダという、それぞれの分野で日本を代表する大手が組んだことに対して、自動車や電機・ITなどの業界だけではなく日本の産業界全体が大きな期待をしていた案件だった。
関連して、ホンダは北米を主要市場に見込んでいた「0シリーズ」の「サルーン」と「SUV」の開発を凍結。さらに、中国でのEV事業も抜本的に見直す。これにより、ホンダは2025年3月期と2026年3月期で、最大2.5兆円の損失を計上する見通しだ。

EV事業の見直しによる巨額損失計上といえば、アメリカのGMとフォードに関するニュースが2025年第4四半期(10〜12月)に明らかになった。
フォードの場合、同期の最終損益が111億ドル(1ドル160円換算で1兆7760億円)で、2027年までに計上する損益は195億ドル(3兆1200億円)に上ると発表した。
こうしたホンダを超える巨額損失に陥った理由はなにか。
ひとことで表現すれば「見通しが甘すぎた」。そもそもフォードという企業は、「フォード=Fシリーズ」と揶揄されるようにピックアップトラックなど小型〜中型商用車が長年に渡り収益の基盤となってきた。当然、商用車領域でもEV化を進めてきたものの、商用車市場の規模は乗用車と比べると明らかに小さく、フォードのような大企業にとって高コストなEVシフトを短期間にマネタイズするビジネスモデルは描きにくい。

そのうえでF150をEV化して、新生「ライトニング」を市場導入することでピックアップトラック市場の特徴である商用と乗用の垣根を超えてEVシフトを盛り上げようとした。ところが、ピックアップトラックでのEV化は市場ニーズにマッチせず、販売は低迷した。
一方、乗用EVについてもマーケティング領域で大きな課題を抱えた。なにせ、あの「マスタング」の名前を使ったEV専用モデルを市場に導入したのだ。当然、既存のマスタングユーザーはフォードの戦略に戸惑った。名ばかりのマスタング、という商品イメージをもったといえよう。

こうした出口戦略としてのマーケティング領域での失敗によって、電池メーカーやEV生産技術の委託先などへの多大な初期投資の回収の目処がつかなくなるという悪循環に陥った。
確かに、トランプ政権による環境政策は、オバマ・バイデンの民主党政権の思考と180度転換し、アメリカでのEV市場の先行きが不透明になったとはいえ、フォードとしてのEV事業戦略の基盤が不安定だったことが、今回の巨額損失計上を招いたのだと思う。













































