アメリカでテスラに次ぐもうひとつのEVメーカー
「Lucid(ルシード)」と聞いても、日本ではこれがEVメーカーだという認識はほとんどないだろう。一般ユーザーはもとより、自動車業界関係者でも「ルシードって初めて聞いた」という人が少なくないはずだ。企業名称としては、ルシード・モーターズ。同社の沿革によれば、最初の一歩はテスラの元幹部らが2007年に起業した「Atieva」だ。

そう聞いても、こちらについても日本人の多くが「初めて聞いた会社名」と言うだろう。
テスラの創業は2003年だが、2007年時点では英国ロータス「エリーゼ」をベースに、南カリフォルニアのEVシステム開発企業の技術を組み合わる初号機の量産に向けた準備をしていたころだ。グローバルで大量生産型の本格的EVはまだ登場しておらず、三菱自工が「i-MiEV」を、また日産は「リーフ」を世に送り出すために悪戦苦闘していた時期である。まさに、EV普及に向けた「日の出」の前といった雰囲気だった。

アメリカではオバマ政権が発足すると、環境関連政策を強く打ち出し、そのなかで米エネルギー省はアメリカ国内で次世代車を開発・製造するための資金を低利子融資する制度を制定。こうしたEV普及に向けたアメリカ連邦政府の後押しに、テスラは上手く乗ることができた一方で、Avievaは目立たない存在だった。
そうしたなか、テスラが車体から自社開発した第1弾である「モデルS」の量産体制に入ろうとした2013年に、同プロジェクトを主導したピーター・ローリンソン氏が「Atieva」の経営陣のひとりとして参画し、事業基盤を再構築。2016年には社名もルシードに改められた。
モデルとしては、セダンの「ルシード エア」とSUVの「ルシード グラビティ」がある。

技術的には、その後にインテルに買収されることになったイスラエルのモービルアイとADAS(先進運転支援システム)に関して、またアマゾンとは音声認識のアレクサなどを導入するなど、次世代EVとしての商品性を高めていった。
だが、2020年代中盤の現時点で、ルシードが主要市場として見ているアメリカは、第2次トランプ政権が環境関連政策を大幅に見直したことで、EVに対する逆風が吹き荒れている状況だ。ホンダ「0(ゼロ)シリーズ」や、ソニー・ホンダモビリティ「アフィーラ1」等の開発中止や、デトロイト3(GM、フォード、ステランティス)によるEV関連投資の大幅縮小など、ルシードのライバルたちが事業を転換している。
こうしたなか、ルシードがどんな「次の一手」を打ってくるのか、注目したい。













































