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急速充電は「早食い競争」のようなもの! EVのバッテリーは人間の食事と考えると「寿命を延ばす」コツがわかる


TEXT:御堀直嗣 PHOTO:日産自動車/TET編集部
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バッテリーは人間のように扱うのがベスト

とはいえ、コンピュータ制御によるきめ細かい管理が行われているため、利用者はそれほど神経質にならなくても快適にEVを利用できる。スマートフォンなどに比べ、EVにまつわるバッテリー事故が圧倒的に少ないのは、そもそも衝突安全なども含め、安全第一で開発・製造される自動車産業の、安全に対する意識と技術、知識などの高さにあるといえるだろう。

日産リーフの実験風景

リチウムイオンバッテリーを最適に使うには、充電では容量の80%を目安に、放電では20%前後を目安にすると長もちさせることができる。

リチウムイオンバッテリーは、電極間をイオンが移動することで充電と放電を行っており、正極と負極のどちらか一方の電極にイオンが偏り過ぎない状態が望ましい。また、普通充電(200V)を主体に行えば、性能維持に効果がある。500V前後の直流電流による急速充電がいけないわけではないが、普通充電を基本に考えるのがよい。

普通充電器のイメージ

その扱いは、人間の食事に例えることができる。

普段とる食事は、よく噛んで、腹八分目が健康によいとされる。あまり空腹になると、急いでたくさん食べようとするので消化が悪くなる。普通充電は、それに似ている。急速充電をたとえるなら、早食い競争のようなものだ。イベントなどでたまに挑戦するのはいいが、日々の食事での早食いや食べ過ぎは避けたほうがよい。

人間との比較でさらに付け加えると、リチウムイオンバッテリーの適切な使用温度領域は、人間が快適に暮らせる気温に近いとされる。充電は0~45℃、放電は-20~60℃、保管は0~25℃の範囲がよいとされている。温度幅の両端の値は人間には辛い温度域であるにしても、おおよそ人が暮らせる温度の範囲とみることができるのではないか。

このことから、多くのEVがバッテリーの温度管理に液体を用い、きめ細かい調整を行っている。当初の日産リーフは空冷としていたが、最新のリーフは液体での温度管理に変更されている。ほかにも、寒い季節に急速充電したい場合、充電前にあらかじめバッテリー温度を高めておく制御を用いる車種が増えている。

ヒョンデ IONIQ5Nのメーター

リチウムイオンバッテリーは、まるで人間のような生き物と接するように扱うと、大きなトラブルは起きず、長く使い続けられるだろう。

ただ、忘れてはならないのは、EVでの役目を終えた「EV卒」のリチウムイオンバッテリーにも、まだ70%ほどの容量が残っているということだ。これを使い切ってこそ、資源の有効活用になる。

そこで、EVの走行性能ばかりに目を向けて新車を開発したり評価したりするのではなく、EVを卒業するときに車体からバッテリーを取り外しやすく、かつ分解可能なケースと組み付け方法で設計することが肝心だ。

車体と一体構造のバッテリーケースは、容量の増加という点では意味があっても、総合的な環境性能という点では不十分だといわざるを得ない。

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