ほかの部品も耐久性が高いと考えられる
<インバーターという盲点>
モーターとセットで語るべき部品がインバーターだ。この装置は直流(DC)で出力されるバッテリー電力を交流(AC)に変換し、周波数を自在に変えることでモーターの回転数を制御する。インバーターなくして現代のEVは成立しない。インバーターが高性能化したことで、小型で使い勝手のいいACモーターが車載動力源として現実的になったという歴史的経緯がある。
インバーターは半導体スイッチ(MOSFETやSiC MOSFET)とその周辺の冷却システム、制御回路から構成され、動作中のスイッチング損失や熱応力が劣化の要因となる。近年はSiC(炭化ケイ素)半導体が採用され、従来のシリコン素子と比べて発熱量の低減が実現されている。

まだ放熱設計と冷却性能の信頼性という開発上の課題は残っているが、実際の信頼性評価では、EV用インバーターは車載用途向けに、振動・温度サイクル・耐久試験など厳格な信頼性試験を経ており、設計寿命は10年以上、数十万km走行レベルでの使用を想定しているという。つまりインバーターも「長寿命設計」が前提であり、実用上は信頼性が確保されている。
バッテリー、モーター、インバーターという3つの主要部品を総合的に見ると、いずれも劣化は存在するが、それぞれの劣化モードと時間スケールが異なる。モーターとインバーターはどちらも構造上劣化が少ないため、寿命が長く、実用上はバッテリーが先に交換要件に達するケースが多い。モーターは回転部の摩耗や軸受けの劣化がメインの課題だが、実用寿命の範囲内ではほとんど問題を起こさない設計になっている。インバーターは半導体と熱管理がポイントだが、技術の進化により熱耐性と信頼性が向上している。

したがって、EVの寿命を語る際には、バッテリー、モーター、インバーター、それぞれの特性をわけて考えることが必要であり、バッテリーと比べればモーターやインバーターは相対的に長寿命だといえる。以上のことからEVオーナーにとって重要なことは、バッテリーの残存容量ばかりに目を向けるのではなく、冷却・充電習慣・駆動系の定期点検を合わせて行うことが、長期的な信頼性確保に役立つといえるのではなかろうか。

















































