デザインコンセプト「ジオメトリカル・オーガニック」とは
取材中たびたび持ち出される「新化」というワード。通常の「進化」ではなく、あえて「新化」というのには訳がある。昨年の東京オートサロンと大阪オートメッセで、モデリスタは「上質・洗練のブランドになる」という宣言に加え、「機能価値を付与していく」ことを今後のビジョンとして打ち出している。ここでいう「機能」とは、一般的な速く走るであるとかスイッチひとつで何かが起きる便利機能などを指しているのではなく、触り心地や乗り心地といった「五感に響く機能」なのだという。
クルマ自体もそうだが、ライフスタイルも時代とともに変化していく世の中にあって、モデリスタというブランドもそれに合わせて変化していく必要があり、「上質」「洗練」「五感に響く機能」というブランドテーマを掲げたうえで、新しいものを生み出していく過程を「新化」と表現している。
その「新化」を形として表現したものが「MODELLISTA EMBRYO(モデリスタ エンブリオ)」という造形物だ。一見、宇宙船のような造形物だが、仔細に眺めると非常に複雑かつ優雅な面と線で造られ、前後左右で異なる表情を見せることに気づかされる。
さらに、右側面上部には鼓動のように光るLEDと、その下には暗闇のなかで刻々と表情を変えるLED表現がなされていた。これが何者なのかとは定義されているわけではなく、見る人それぞれの価値観、感じ方で解釈してもらいたいそうだ。
そこで私は「お腹のなかに子どもを授かったお母さん」だと表現したところ、「それはさすがに初めていわれました」とモデリスタの担当者に驚かれてしまったが、アート作品なので受け手の感じかた次第ということでご勘弁を。
では、エンブリオのデザインコンセプトは何かといえば「GEOMETRICAL organic(幾何学的×有機的=近未来的な造形)」なのだという。つまり、直線(ジオメトリカル)と曲線(オーガニック)を組み合わせて形作ることを指しており、今後のモデリスタデザインの新化を示唆するコンセプトとなっている。それをまずは立体的なイメージモデルとして表現したのがエンブリオだ。
そのエンブリオから新化した近未来のモデリスタデザインを、実際のクルマに反映し具現化したスタディモデルが、トヨタbz4Xをベースとした「MODELLISTA CONCEPT ZERO(モデリスタ コンセプト ゼロ)」なのだ。