「HiPhi Z」が約521kmを走りダントツの首位!
これによると、2023年に首位に立ったテスラ・モデルSは、WLTP基準から約105km、16%の乖離、すなわちカタログ値よりも悪かったことが報告されています。もっとも、テスラをかばうわけでもありませんが、フォルクスワーゲンID.7は公称の航続距離から約195km手前でアウト、ボルボにしてもC40が約177km不足(30.9%)するなど、欧州EVメーカーは総じて低調な結果に終わっているのです。
そんななか、HiPhi Zは約521kmを走り切り、WLTP値(555km)との差はわずか約34kmというダントツの首位! にわかには信じがたいと思われるでしょうが、製造元のHuman Horizonsによれば、ヒートポンプを用いた効率的なAC空調システムと、インテリジェントな温度管理システム「E-Powertrain」とを組み合わせた結果と、自社開発した温度管理システムにアドバンテージがあったとしています。
たしかに極寒のなかでは室内の空調(テスト時はオートエアコン任せでなく全車とも温度計を使って21度に調節)はもちろん、バッテリーの温度低下が無視できないビハインドとなることは確か。HiPhi Zはスタイリングだけでなく、このあたりのハイテクも一歩リードしていたに違いありません。
現在、低温下でのバッテリー効率の低下に対してはさまざまな研究がなされており、そのなかには寒いときにバッテリーの電力を一部使用することで、バッテリー自体を温かく保つことや、内部に液体をもたない安定性の高い全固体電池の開発といったメニューが挙げられています。当然、Human Horizonsその道のトップランナーに名を連ねていますが、今回の航続距離レースで苦杯をなめたテスラや他社が猛追することは間違いないところ。
とはいえ、これだけのパフォーマンスに加え、さまざまなドライバーサポート、アメニティを搭載しながら10万5000ユーロ~(約1700万円)というプライスタグに対抗できるメーカーは、さほど多くないのが実情でしょう。EV界におけるHiPhi車はこれからも目を離すべきではないでしょう。