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ZEEKRからも新型バッテリー現る
同じく中国のZEEKRは、ゴールデンバッテリーと名付けたリン酸鉄のリチウムイオンバッテリーを車載する。日本にはまだ市場導入されておらず(2025年の予定という)、その詳細は不明だ。材料の若干の変更と、構造設計により、一般にリン酸鉄の体積利用率が約66%とされるところ、83.7%へ増大させたことで、2023年の広州モーターショーで公開された007では、100kWhのバッテリー搭載(後輪駆動のロングレンジ仕様)により、一充電走行距離で870km(中国のCLTC)を達成しているという。
車載バッテリーの写真を見ると、ブレードバッテリーと似た組付けだが、ブレードバッテリーのセルが左右のサイドシルをつなぐ長さがあるのに比べ、ゴールデンバッテリーは車体の中央で左右にセルが分かれているようだ。
ちなみに、テスラ・モデル3のアップグレード版(ハイランド)の最上級車種であるパフォーマンスは、78.4kWhのバッテリー容量で、日本のWLTCモードでの一充電走行距離は610kmである。
WLTCは、CLTCに比べその測定法の違いにより、エネルギー消費が25%以上低くなるとの報告がある。そこで、007の870kmという数字を換算すると、約652kmになる。モデル3の一充電走行距離に近く、それに比べバッテリー車載量は3割弱多いことがわかる。BYDのシールと比べれば、同等性能といえそうだ。
あとは、100kWhの大容量バッテリーを搭載しながら、車両価格をどこまで抑えられるかで、ゴールデンバッテリーの本当の実力が見えてくるのではないか。
資源の地域偏在性や原価のほかに、リン酸鉄バッテリーの利点として、充放電性能に優れたり、発火などの危険性の少なかったりがいわれている。とはいえ、リン酸鉄のバッテリーでも火災は起きているとの話もあり、いずれにしても、リチウムイオンバッテリーは、製造段階での厳密な品質管理と、使用段階での制御の緻密さ、そして温度管理の徹底などが、万全な安全対策につながるはずだ。