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ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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価格は日本円で269万円から

まずLingxi Lは前輪側をモーター駆動するFWDです。59.22kWhのLFPバッテリーを搭載することによって航続距離は中国CLTC基準で520kmを実現しています。ちなみにLFPバッテリーにはBYD製のブレードバッテリーを採用しています。他方でM03は、エントリーグレードにおいても515kmと、Lingxi Lと同じような航続距離を確保しているものの、バッテリー容量は51.8kWhと、より少ないバッテリー容量で実現できています。実際の電費性能は、Lingxi Lが12.9kWh/100kmであるのに対して、M03は11.5kWh/100kmと、効率性でかなりの差がついている状況です。

Lingxi Lとライバル車のスペック

また、車両サイズについて、Lingxi Lは全長4830mm、全幅1845mm、ホイールベースが2731mmというコンパクトセダンです。対するM03も全長4780mm、全幅1896mmと、同じようなサイズ感でありながらホイールベースは2815mmと、車内空間の広さに直結するホイールベースをより広く確保することに成功しています。他方で、M03の最小回転半径は5.3mと、Lingxi Lの5.65mを凌ぐ小まわり性能を実現しています。

さらに、Lingxi Lのトランク部分の収納スペースは502リットルであるのに対して、M03は621リットルと、さらに大容量を確保することに成功しています。

つまり、今回のLingxi Lは、ベンチマークであるM03と比較しても、「車両サイズに対するホイールベースが短く、取り回しも悪く、その上で収納スペースも少ない。EV性能でも、同じバッテリーサプライヤーから電池セルを購入するものの、その性能では大きな差がついている」といえます。よって、プラットフォーム自体の完成度で、ホンダがXpengの後塵を排してしまっているといえるでしょう。

Lingxi Lのフロント

そして、もっとも注目するべきは値段設定です。Lingxi Lは12.98万元、日本円で269万円からのスタートです。一方のM03は、さらに日本円で20万円も安価に発売することに成功しており、コスト競争力の高さを実現しています。

また、EV性能とともに標準装備内容も確認していきましょう。とくに今回比較するのは、値段設定でまったく同等のM03のロングレンジグレードです。Lingxi Lと比較して、航続距離は100kmも余分に確保しています。その上でLingxi Lは、
・12.3インチのディスプレイをふたつ搭載しながら、さらに12.15インチのヘッドアップディスプレイも搭載
・電動トランク開閉機能は非搭載
・運転席側のみ8方向電動シート調整であるものの、助手席側は手動調整
・シートヒーターをはじめとする追加機能はなし
・アンビエントライトはオプション設定
・ヒートポンプシステムやガラスルーフ、2.2kWのV2L機能は標準搭載
・M03はレベル2ADASであるXpilotが標準搭載であるものの、Lingxi Lはオプション設定

Lingxi LとMONA M03のスペック

また、オーディオシステムやアンビエントライトなどのセットオプションを追加することで、レベル2ADASを追加可能なものの、そのオプション設定は2万元、日本円で40万円です。するとM03では最上級グレードのMaxグレードを購入可能となり、M03 Maxではレベル2+である高速道路と市街地までも含めたNOAであるXNGPを利用可能となります。レベル2+は現在、中国市場における若者世代に注目されているハイエンドADASです。

いずれにしても、若者世代というターゲット層の場合、レベル2ADASを標準設定してきていないのは悪手であるといわざるを得ず、販売台数にどのような影響を与えるのかには注目です。

Lingxi Lの先進安全性能イメージ

このようにして、今回ホンダが新たに発売してきたLingxi Lは、中国市場における若者世代をターゲットに据えたEVセダンとして期待されているものの、ちょうど現在、中国市場で大ヒットとなっているXpengのMONA M03との完成度を比較してしまうと、EV性能と標準装備内容を含めたコスト競争力で後塵を排してしまっている様子が見て取れます。

Lingxi Lのフロントマスク

果たして、現在中国市場において壊滅的な販売減少を記録してしまっているホンダが、Lingxiシリーズをはじめとする新型EV投入ラッシュによって、どれだけ存在感を取り戻すことができるのか。ホンダの戦いには注目です。

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