キャデラックの近未来を表現したコンセプトカー
エクステリアは世界耐久選手権シリーズや、IMSAを戦うハイブリッドレーシングカー「Vシリーズ.R」のボディデザインにみられる美学を忠実に再現している。ドラマチックにドレープされたサーフェスとシンプルで洗練されたモダンな外観、特徴的な低いシルエットとすっきりとしたフロントマスクは、人々の目を引き付ける。フロントとリヤの乗降は、大きなバタフライドアによって、広々としたドア開口部を確保している。
これらにより2+2のエアロダイナミックフォルムを形作り、ハイパーカーの個性とラグジュアリーなデザインを実現している。また、特徴的なバーティカル・ライティング・シグネチャーが、このコンセプトカーに洗練された精悍さをもたらしている。
広々とした車内は、リヤからフロントへと滑らかに広がるドレープ状のサーフェスにより、すべての要素が宙に浮いているように見える、すっきりと途切れのない流れを実現しているという。3D情報対応ワイドスクリーンディスプレイ、フルデジタルコックピット、レースから着想を得たY字型ステアリングホイール、ボイスコマンドユーザーエクスペリエンス、直感的なインフォテイメントシステムなど、キャデラックの芸術的な統合技術の追求は、次世代テクノロジーによって構成されている。
色彩にもこだわりが感じられる。メタリックダークブルーのインテリアカラー「セレーネ」は、メタルのブラシ仕上げとグラデーションの色合いをハードトーチ塗装技術により表現し、車両の大胆な個性を強調し、サーキットでの卓越したパフォーマンス性能を示している
3Dプリント技術を駆使してインテリア全体に施されたモチーフは、プリズムのような装飾の直線的なツートンカラーの刺繍を採用。車内のライティング効果や「Vシリーズ」の特徴である精緻さと呼応して、精密さとスピードを表し、ティントシルバーのパールフレークに包まれたクールな色調のフラックスファイバーが、軽量パフォーマンス素材の本質を華麗に体現しているのだという。
コンセプトカーには技術的な証明を目的にしたもの、発売を前提にしたスタディモデルの意味を持たせたもの、そして「オピュレント・ヴェロシティ」のように近未来のビジョンを提示したものなど、それぞれ意味合いが異なり人々の受け止め方も異なるだろうが、このコンセプトカーに関しては「クルマとは何か?」という原点的な問いかけも含んでいるような気がしてならない。既成概念にとらわれてはいけないのだ。