日本でもBYDが存在感を強めてきた
それでは、日本国内でどのようなEVが人気であったのかを確認してみましょう。
まず、2023年販売台数トップに君臨したのが日産サクラの存在です。3.7万台以上を販売しました。
また、販売が停止中の日産アリアについても年間7600台以上を販売することに成功、日産サクラの兄弟車である三菱eKクロスEVに関しても年間7000台以上を販売することに成功しています。
輸入EV最大シェアを有するテスラは、直近の12月において972台と、12月という観点では、史上最高の販売台数を実現しました。とくに、モデル3のアップデート版の納車が始まった月であるということを踏まえると、納得の販売台数の増加であるように見えます。
ところが、四半期別の販売台数の変遷を見てみると、確かに2023年シーズンのなかでは最高の四半期であったものの、前年同四半期と比較すると、販売規模は3分の2にまで縮小してしまっている状況です。
モデル3のアップデート版、モデルSとXのモデルチェンジバージョンの納車スタートというイベントがあったことを踏まえると、2023年はテスラジャパンにとってかなり苦しい1年であったと捉えることができそうです。
ちなみに、国内の独自充電ネットワークであるスーパーチャージャーの設置は加速しており、2023年末の段階で、累計104カ所、508基のスーパーチャージャーの設置を完了してます。
また、12月のEV販売で注目するべき動向として、まず日産アリアの販売台数がたったの130台と、2023年後半は販売台数が減少している点です。理由は不明ですが、もしかしたら2024年度のEV補助金に合わせるために供給を調整している可能性はありそうです。
また、トヨタbZ4Xについては、最新のデータが判明している11月が36台と、販売が低迷していることが見て取れます。KINTOを通したリース販売に加えて、一般の売り切り販売をスタートしながら、550万円からのエントリーグレードを追加して、2024年以降どれほど販売台数を伸ばせるのかに注目するべきだと思います。
中国BYDについては263台と、史上最高の月間販売台数を更新。とくにドルフィンの本格的な納車がスタートしたことが要因と思われます。また、BYDに関しては、2023年シーズン、1400台以上のEVを販売することに成功しています。2024年シーズンに関しても、ドルフィンとシールの追加によってさらなる販売増加に期待可能です。
そして最後に、2024年シーズンは昨年に引き続いて、日本のEV普及という観点で厳しい1年になるのではないかと推測しています。国内メーカーについては、日産はアリアの販売再開、リーフのモデルチェンジがあるものの、新型EVの投入予定がほとんどないからです。
ただし、商用車セグメントについては、ホンダがこの春に、N-VAN:eの発売をスタート予定です。
また、もともと2024年3月までに発売予定であった、トヨタ・スズキ・ダイハツ連合の開発する商用軽EVについては、ダイハツの不正問題によって2024年度以降の発売順延が決定したものの、商用軽EVという観点では、主要な国内メーカーから車種が出揃う格好であり、ラストワンマイル用の車両についてはEVが主流となっていくことに期待できそうです。