2023年5月
TEXT:TET 編集部
半導体開発のマクニカ、自動運転EVバス「ナビヤ」を吸収。新会社を立ち上げ、レベル4自動運転EVバスを世界へ

横浜市に本社を置く半導体等のトータル・ソリューションプロバイダー「マクニカ」は、仏本拠のエンジニアリング会社「GAUSSIN(ゴーサン)」と新会社を設立し、自動運転EVバスを専門とする仏「NAVYA(ナビヤ)」社の資産を受け継ぎ、グローバル展開を図ると発表した。 誤差数センチの高精度自律運転を実現 まず、ナビヤの概要を見ていこう。2014年にフランスで創業したスタートアップ企業であるナビヤは、公道走行可能な自動運転シャトルバスや空港で使われる自動運転トーイングトラクターなどを製作、販売し、既に20ヵ国以上で180台以上の導入実績を築いている。特に前者のシャトルバスは、我が国でも東京都の「羽田イノベーションシティ」内での無料循環バスや茨城県境町の生活路線バス等で導入されているから、そのファニーな外観に見覚えがある人もいるだろう。 ナビヤの現行ラインナップは、オペレーターが同乗する自動運転レベル3に対応した「ARMA(アルマ)」と、限定されたエリア内でオペレーターなしの自動運転レベル4を実現する「EVO(エヴォ)」の2種類。そのどちらもが、15人の乗客を乗せ、最高速度25km/hで約9時間(100km)の自動走行が可能となっており、例えばホテルやショッピングモールなど大規模施設内での移動や、公共交通機関へのアクセスが悪い地域における日常の足などが代表的な活用シーンとなる。 そのテクノロジーはハイテクの塊で、前後にひとつずつのカメラで周囲を認識するほか、赤外線を使った「LiDAR」により障害物を検知。また、EVOでは「GNSS」というシステムで車両位置を特定し、基準局の情報を共有することで誤差数センチの精度を実現している。 ということで、いかにも未来へ向けて大きく飛躍しそうなナビヤなのだが、残念ながら本年初頭に支払い停止宣言に追い込まれてしまった。詳細な背景は不明だが、自動運転は先行投資がかさむ先進技術分野だけに、事業に将来性はあっても金融機関の貸出し態度次第で資金ショートを起こしてしまうことはありうる。特に足下の金利上昇局面では資金繰りが苦しかったのかもしれない。 >>>次ページ レベル4自動運転EVバス、4年間で500台以上の販売を計画

TAG: #自動運転
TEXT:TET 編集部
新車販売の10台に1台がEVに。メルセデスEQシリーズ、前年比89%増へ

メルセデス・ベンツは2023年第1四半期の電気自動車(バッテリーEV)の販売実績が、前年同期比89%増の51,639台に達したと発表した。EQシリーズのラインナップ拡充に呼応して販売台数が上向いているメルセデス製バッテリーEV。グローバル販売は想像を超える勢いだ。 高価格帯EVのフルラインアップ化が着々進行 SUV「EQC」やセダン「EQE」など、日本国内においてもバッテリーEV専用のサブブランド「EQ」から矢継ぎ早に完全電動モデルを発表しているメルセデス・ベンツだが、グローバル販売におけるバッテリーEVの存在感は我々の想像以上に高まっているようだ。 今回、同社が公表した資料によると、本年1月から3月における乗用車部門の全世界での販売台数は前年同期比3%増となる50万3,483台。これに対してバッテリーEV販売台数は冒頭のとおり5万台強だから、メルセデス・ベンツの新車のうち10台に1台はバッテリーEVが占めていることとなる。しかも、ご存じのとおり足下では半導体など生産に必要な部品の不足が完全には解消されていないため、今後サプライチェーンの正常化が進めば、バッテリーEV販売台数はさらに増えることが期待される。 もちろん、こうした躍進の背景には魅力的なニューモデルの投入があり、例えば先月には上海モーターショーで最高級ブランド「メルセデス・マイバッハ」初のバッテリーEVとして「マイバッハEQS SUV」が公開された。国内にも導入予定のメルセデス「EQS SUV」をベースに贅をこらした内外装を与えられた同モデルは、EVらしい先進的なルックスと最高級車のクラシカルなディテールを融合させたデザインが特徴で、メインマーケットと位置付ける中国や米国でヒット作となる可能性は高そうだ。 こうしたハイエンドモデルが売れまくっていることが現在のメルセデス・ベンツの強みで、バッテリーEVだけに特化した数字は公表されていないが、高価格帯のトップエンドセグメントは第1四半期に前年同期比18%増の9万1,772台を販売した。全体の販売が微増となる中で、相対的に利幅の大きいトップエンドが強く伸びていることは会社全体としての利益率の上昇にも寄与しており、開発投資の余力が増すことでさらに商品力が高まるという好循環が実現しているように映る。 >>>次ページ 商用部門のEV化も加速

TAG: #グローバル販売 #メルセデスベンツ #メルセデスマイバッハ
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
マセラティ、SUVタイプのEV「グレカーレ・フォルゴーレ」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.05.02]

ブランド2機種目のEVはSUV ガソリンモデルよりも快適性が高いか 【THE 視点】マセラティは、SUVタイプのEV「グレカーレ・フォルゴーレ」を「上海モーターショー2023」で世界初公開した。マセラティの2車種目のEVモデルであり、SUVタイプのEVとしてはブランド初となる。 デザイン面では、マセラティの新しいビジュアルシンボルが取り入れられているのが特徴。特に低いグリルを持つフロントフェイスは印象的だ。 パワートレインは、前後2モーター式のAWDが採用され、最高出力は合計410kW(557ps)、最大トルクは820Nm(83.6kgm)となっており、最大容量105kWhのバッテリーが搭載される。航続距離は500km(WLTP)だ。 マセラティとしても2機種目のSUVは、EVをラインナップして登場した。マセラティは、2025年までにすべてのモデルにEVバージョンを用意し、2030年までにEVに完全移行するという。 SUVは、セダンなどよりも快適性が重要視されると思う。EVの「グレカーレ」は、室内騒音や加速特性といった快適性の点では内燃エンジンのモデルよりも高いはず。マセラティというブランドを考えると、VIPを迎える「ショーファー・ドリブン・カー」として使用するユーザーもいることだろう。もしかすると、エンジン車よりもそういったニーズに応えやすいかもしれない。 「グレカーレ・フォルゴーレ」は、EVメーカーとなるマセラティが、今後どのような価値を各EVモデルに与えていくかの指標となるのではないだろうか。大いに期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★明電舎、「MEIDEN e-Axle(メイデン・イー・アクスル)」の販売を開始……独自開発のモーター一体型駆動装置の開発を完了、高さを抑え3列シート車にも対応可能 ★★EVモーターズ・ジャパン、商用EV専用の組み立て工場「ゼロエミッション e-PARK」<福岡県北九州市>を起工……バスなど商用EV国産化の基盤に[詳細はこちら<click>] ★伊藤忠商事、アメリカのEV充電系企業ヴェローチェ・エナジーと資本業務提携……充電インフラの国内展開も視野 ★半導体開発のマクニカ、自動運転EVバス「ナビヤ」を吸収……フランスのゴーサンとともにゼロ・エミッション自律型モビリティ開発の新会社を設立、ナビヤの「アルマ」などは継続販売[詳細はこちら<click>] ★山口県周南市、「令和5年度周南市燃料電池自動車普及促進補助金」を決定……令和6年3月25日までに新規購入・新規登録された燃料電池自動車に対し、50万円/1台を補助 ★日立チャネルソリューションズ、駿河信用金庫とともにカーボン・バッテリーの実証実験……営業活動用のEVバイクでリチウムイオン・バッテリーと交互に利用し性能比較 ★鈴与、物流センターにて「ラピュタ自動フォークリフト」を試験運用……自動運転機能搭載のEVフォークリフトを活用し人材不足を補う

TAG: #THE視点 #グレカーレ・フォルゴーレ #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏
トランスミッションを装備したEVは今後増えるか……現役EVエンジニアが解説するギヤ付きEVの意外な難点[THE視点]

近年発売されたEVや今後発売されるEVには、これまで不要と言われてきた「トランスミッション(変速機)」搭載車が、少しではあるが見られるようになってきた。中には、わざわざクラッチを付けた3ペダルのマニュアル・トランスミッション(MT)を搭載したEVもある。 車好きにとって、昔ながらの3ペダル式のトランスミッションは特別な存在だろうと思う。EVにもそれが搭載されれば、より運転が楽しくなるのではないだろうか。しかし実際は、EVにトランスミッションを搭載するのは簡単ではない。現役EV開発エンジニアの視点から、EVのトランスミッション搭載を考察してみたい。 マニュアル・トランスミッションを採用した趣味性の強いモデル 「トヨタ AE86 カローラ・レビン」 今年の「東京オートサロン2023」では、トヨタが「AE86型カローラ・レビン」のEVを展示していた。この「AE86」には、モーターにMTが直結されていて、クラッチペダルやシフトレバーがそのまま残っており、本来ならそれらが必要のないEVとして一種の違和感を覚えた。MTとした理由を聞くと、「EVでもクラッチ操作やシフト操作が楽しめること」とのことだ。 また昨年、トヨタがEV用のMTを開発中と話題になった。しかし実際はシフトレバーとクラッチペダルは付いているものの、物理的なクラッチとトランスミッションは非搭載という。これはMT感覚も味わえるセミATに近いかもしれない。逆に言えば、クラッチ操作を必要としないDCTのような感覚も再現可能かもしれない。 シフトレバーやクラッチペダルを設けたということは、アナログ的な操作することに価値を見出した今回の「AE86」に通じるものがあるが、トヨタの場合は、トランスミッションが必要か否かというよりは、「EVにもMTの操作感の楽しみを与えたい」というファンの部分を優先しているようだ。 「ジープ・マグニトー」 ジープも先日、オフロードEVのコンセプトカー「マグニトー」の最新版「マグニトー 3.0」を公開した。2021年に第1型が発表され、今回のは第3型となる。 「マグニトー」は2ドアの「ラングラー」にモーターを搭載したもので、モーターに6速MTのトランスミッションと、さらにクラッチを備えた独自の電動パワートレインを採用している。今回の「3.0」には6速MTに最高出力484kW(659ps)/最大トルク1,152Nm(117.5kgm)の強力なモーターが組み合わされた。 「マグニトー」のコンセプトは、「完璧なロッククライミング力を備えたEV」。岩場などでの強力な登坂能力と一般道での快適な走行能力を両立するため、MTの搭載を選択したのだろう。もちろん「マグニトー」は趣味の要素が強い車でもあるため、遊び心を表現する意味もあると思う。 道路環境や仕事環境に合わせた例 「ポルシェ・タイカン」 一方、MTではないがトランスミッションが付いているEVもある。その代表的なものが「ポルシェ・タイカン」である。フロントは変速なしだが、リアには自動変速のトランスミッション(2速)を採用している。 これは発進加速性能を高めると同時に、アウトバーンを走るときなどの最高速を引き上げるための措置で、スポーツカーのイメージが強いポルシェが名折れしないよう「タイカン」の性能を高めるために必要不可欠だったのだろう。 なお、アウディも、EV向けトランスミシッションの採用に積極的なメーカーである。「タイカン」とプラットフォームを共用する「e-tron GT」だけでなく、2023年後半から市場投入予定のEVにもトランスミッションを搭載すると報じられている。 ちなみにだが、テスラは初代「ロードスター」で2速のトランスミッションを採用しようとしたが、開発がうまくいかず断念した経緯がある。その代わりに、モーターの性能を上げたのだろう。 EVトラックの「ボルボ VNRエレクトリック」 トランスミッションは実用車だけではなく商用車への搭載も見られる。海外では大型トラックのEV化が進んでおり、ボルボ・トラックス・ノースアメリカのEVトラック「VNRエレクトリック」はトランスミッションを採用している。 同車はいわゆるトラクターヘッドで、連結時の「連結車両総重量」(GCW)は41トンあり、2速のトランスミッションを備えている。搭載しているモーターは定格出力400kW(544ps)/最大トルク5,500Nm(560kgm)というもの。おそらくだが、トラクターヘッドのみの走行をした場合、牽引時との重量差が大きく、1速だけではギクシャクしてしまうだろう。そこで2速とすることで、牽引時と空荷時の走行を両立できるようにしているのではないだろうか。 コストダウンを目的とするスズキ また最近では、スズキがカナダのスタートアップ企業「インモーティブ社」と提携して、EV向けの2速のトランスミッションの開発に着手している。 しかしポルシェのそれとは方向性が異なり、「高効率なモーター駆動による航続距離の延長や、電動駆動ユニットの小型化によるコスト削減」を開発の理由としている。モーターを小型化してコストを下げつつ、トランスミッションでトルクを増強するなど性能をカバーすることが目的のようだ。

TAG: #THE視点 #テクノロジー #トランスミッション
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(後編)」アンケート 結果発表(最終回)

EVオーナーアンケート結果発表の最終回は、「EVの良いところ/悪いところ」に関するコメントを拾ってみた。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 良いところ 第3回で「次もまたEVを買う」という方が9割近くを占めるという結果を報告した。いわゆるアーリーアダプターにとっても、EVは一度乗ったらハイブリッド車やICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)には戻れないもののようだ。 上のグラフは「ご自身が所有するEVの気に入っているところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。114名の回答者のうちほとんどの方が出足や加速の良さなど動力性能を挙げている。フリーコメントを拾っていく。 「初動からダイレクト感が素晴らしく、回生モードだとアクセル、ブレーキがワンペダルで運転できる点が楽でいい」(東京都:BMW・i4) 「アクセルだけでの回生ブレーキによる減速操作」(東京都:VW・ID.4) 「とにかく上質な加速フィールと、回生ブレーキを使った(ほぼ)ワンペダル走行は良いです」(群馬県:日産・サクラ) 「加減速の操作感は圧倒的に電気が秀でる」(東京都:BMW・i4) 古典的なクルママニアの一部にはEVを毛嫌いする風潮が根強く残るが、リニアな加減速フィールはドライビングの悦びに直結することは間違いない。加減速をアクセルだけで済ます「ワンペダル」も、ICE時代にはなかったにもかかわらず好評を持って迎えられているようだ。 僅差の次点は静粛性だが、こちらも動力性能と合わせて言及されることが多かった。 「トルクフルな走りで静粛性の高いところ」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) 「速い・スムーズ・静か」(群馬県:テスラ・モデル3) たしかに大型のEVに乗ると、V12エンジンを積んだ超高級ICEサルーンのような静粛性と大トルクを味わうことができる。重量物であるバッテリーは床下にあり低重心にも寄与するから乗り心地も良い。 3位は「自宅で充電できること」。ICE時代は当たり前だった「ガソリンスタンドに寄る」という行為は、言われてみればたしかに無駄骨である。地域によっては燃料補給のためだけに往復数十kmも走らねばならないことだってある。 「ガソリンスタンドに行かなくていいのが凄く便利」(奈良県:テスラ・モデル3) しかし思わぬ罠もある。 「オイル交換やガソリンスタンドに行かなくて良いので楽。その分空気圧など日常点検を自分で行う必要がある」(千葉県:テスラ・モデルX) ガソリンスタンドがタダで貸してくれるあのエアポンプ、公共充電施設にも必要かもしれない。 「その他」では、どっしりとした乗り心地など快適性に関する記述が目立ったが、ガソリン臭くない、エンジンをかけなくても冷暖房が使える、メインテナンスがラクなどの声もあった。オイル交換と無縁なEVは、家電のように「使いっぱなし」が当たり前なのだ。 悪いところ 上の表は「ご自身が所有するEVについて、改善してほしいところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。最多得票は「気温が低いと航続距離が短くなる」であった。そもそもの「航続距離が短い」と合わせると、1充電の走行可能距離については多くの方から指摘されていることになる。 「強いて言えば冬の長距離は航続距離が落ちるところが気に入らないところです」(神奈川県:BMW・i4) 「厳寒時の電費が不満。急速充電もバッテリー温度が低いと15kw/hくらいしかでない。バッテリーコンディショナー欲しい」(群馬県:日産・サクラ) ICE時代は季節的なエンジン性能差など事実上なかったが、EVは外気温によるバッテリーの性能劣化を多分に意識させられる。加えてEVではヒーターの熱源も電気だ。陽が短ければヘッドライトなど灯火類の使用時間も増える。冬が辛いのはEVにとって運命的なものといえる。一方で、 「冬季充電施設の除雪をキチンとしてほしい」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) という意見もあった。充電施設は基本的に無人だから、小さそうで大きな問題である。なお、充電関連については第6回でも取り上げているのでそちらも参照されたい。 「車両価格が高い」「購入できる車種の選択肢が少ない」は、現時点ではどうしようもない。ただしメーカー各社はICEよりEVの開発に多く投資しているようだから、こちらは時が解決してくれるのではないか。 「その他」では、バッテリーの経年劣化について心配する声が多かった。 「SDGs的には長期保有が望ましいが、バッテリーの劣化という致命的な問題が付き纏う。調べれば調べるほどバッテリー劣化は避けられない運命です。短期所有で乗り換えを繰り返す人は気にしていないだろうが、長期保有する人ほどリスクを負う構造は知っておいた方がいい」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) この方は「買い替えは10年以上先」とお考えで、そうした時間軸ではEVはまだ重大な問題を抱えているといえる。 「まだわからないが、電池が劣化した時の電池交換の値段、もしくは下取り価格が不安」(埼玉県:日産・サクラ) 「走行用バッテリー交換のサポートの拡充。リーフは結局ディーラーが断り続けて交換出来ませんでした。北国では全くおすすめ出来ません」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) バッテリーの劣化で早々に車両そのものを買い替える、というのではちっとも環境に優しくない。バッテリー劣化度合いの公的基準(ボディ修復歴のような)と、中古車市場における表示義務の確立が急がれる。一方のメーカーはリーズナブルなバッテリー交換を目指さねばならない。 以上、掲載しきれないコメントもまだたくさんいただいているが、EVオーナーアンケート結果報告は今回で終了となる。基本的にアーリーアダプターならではの悦びに溢れていて我々も嬉しかったが、充電関連を中心に哀しみも少なくなかった。ただ、いまや自動車メーカーの開発資源はEVに多く振り向けられているし、関係諸官庁もEV時代に向けた環境整備に本腰を入れている。EVが当たり前の時代はもうすぐそこまで来ている、というのが集計作業を経た今の実感だ。

TAG: #C40 #i4 #ID4 #アイオニック5 #サクラ #モデル3
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ホンダ、リチウムイオン・バッテリーの国産化を推進……デイリーEVヘッドライン[2023.05.01]

GSユアサ/ブルーエナジーと協力関係を強化 2027年4月より量産体制へ 【THE 視点】本田技研工業(ホンダ)/GSユアサ/ブルーエナジーの3社は4月28日、リチウムイオン・バッテリーの共同研究開発体制について連携を強化すると発表した。 ホンダとGSユアサはかねてよりリチウムイオン・バッテリーの共同研究開発の体制を深めてきた。今回は、そこにブルーエナジーも加えての量産投資計画が、経済産業省の施策「蓄電池に係る供給確保計画」に認定された。これにより、今後拡大が見込まれているバッテリーの国内需要に対応していくという。 事業総額約4,341億円のうち、助成金額はその約3分の1の約1,587億円(最大)となる。生産規模は20GWh(国内)で、2027年4月に生産ラインを稼働させ、同年10月より本格量産を開始。2030年にかけても順次ラインを立ち上げて量産体制を整えていくという。 生産規模の20GWhという数値は、バッテリー容量50kWhのEVに換算すると、40万台分に相当する。ホンダの2022年の国内生産台数は64万台程度なので、2030年には6割程度のバッテリー生産能力を国内に持つことになる。これでようやくホンダが電動化に向けて動き出したように感じる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★エネオス、法人会員向けEV充電サービスを開始……経路充電サービス「ENEOS Charge Plus」にて展開、100%再生エネルギーを使用した充電も可能 ★★凸版印刷、パワー半導体事業を開始……ウェハーを製造代行受託、製造プロセスはJSファンダリ新潟工場内に ★★米国カリフォルニア州、2036年以降販売の中・大型車もZEV以外を禁止に……ゴミ収集車とローカルバスは2039年までにZEVでなければならないとも規定 ★ステランティス、バッテリー用のニッケルと硫酸コバルトをオーストラリアから調達……アライアンス・ニッケル社の株式を11%(920万ユーロ/約13 億9,000万円)購入 ★ボッシュ、アメリカで炭化ケイ素(SiC)半導体の製造を計画……アメリカの半導体企業「TSIセミコンダクターズ」を買収、EV需要に対応しカリフォルニアにて生産へ ★メルセデス・ベンツ、2023年第1四半期のEV販売台数が5万1,639台……前年同時期比89%増、グループ全体の販売台数は50万3,483台[詳細はこちら<click>] ★ヤマハ、広島G7サミットに合わせた自工会展示ブースに電動製品を出展……「ひろしまゲートパークプラザ」<広島市中区/5月18日(木)~21日(日)>にて、EVスクーター「E01」などを展示

TAG: #THE視点 #バッテリー #国内ビジネス
TEXT:岩尾 信哉
ハイパフォーマンスかつスタイリッシュな電気自動車、 ポールスター4が上海国際モーターショーにて発表

去る4月に中国で開催された上海国際モーターショーにおいて、ボルボ・カー(以下、ボルボ)は、電気自動車(EV)専用のハイパフォーマンスカー・ブランドであるポールスターの新型SUVモデル「ポールスター4」を発表した。 ポールスターの成り立ち 現在ボルボは、ジーリー・ホールディング・グループ(浙江吉利控股集団)傘下にあり、ジーリー・オート(吉利汽車、以下吉利)、ボルボ、ボルボのEV専用ブランドのポールスター、吉利のLynk&Coの各ブランドに、共同出資するかたちで業務提携している。 ポールスターは2000~2010年代にボルボのモータースポーツでの活躍を支えた後、2017年にハイパフォーマンスを訴えるEV専用ブランドに生まれ変わった。現在のポールスターは過去から引き継がれてきたスポーツ性を備えつつ、独自の個性をもつブランドとして成立している。 ポールスター・モデルの成り立ちは、近年では吉利とボルボの協業によって変化を続けている。現状で吉利グループ内のEV専用プラットフォームは、吉利がSEA(サステナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー)、ボルボがSPA2(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー2)が挙げられる。 ポールスターでは、クーペセダンEVのポールスター2(2019年発表)が広くボルボ車で使用されてきたCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を採用する。続く2021年に発表されたラージSUVのEVであるポールスター3は、ボルボ・ブランドのEX90と新世代プラットフォームであるSPA2を共有する。対して、最新モデルであるポールスター4は吉利が開発したSEAプラットフォームを使用するなど、吉利とボルボでの使い分けが進められている。 ポールスター4は「SUVクーペ」と表現 ポールスター4はポールスター3に続く2番目のSUVモデルとなり、ラインナップとしては既存のポールスター2とSUVのポールスター3の中間に位置づけられる。クーペライクなSUVというカテゴリーはすでに群雄割拠の体をなしているが、ポールスター4はデザインをより斬新な仕立てとしていることが特徴といえる。 流麗なプロファイルを備えるポールスター4のボディ仕様を確認すると、全長4,839mm、全幅2,139 mm、全高1,544 mm。 ホイールベースを2,999 mmとして、欧州のDセグメントに位置するボディサイズを生み出した。 ポールスター3とスペックを比べてみると、ポールスター4はより小柄といえる。ポールスター3は、全長4,900mm、全幅:2,120mm、全高1,628mm。ホイールベースが2,985mmとなり、ポールスター4はよりSUVらしいポールスター3よりも全長が短く、全高は低く抑えられたにもかかわらず、ホイールベースが長く採られていることが、より伸びやかなボディラインを形成することに貢献している。 グリルレスのフロントデザインはポールスター・モデルに共通のアイテム。「スマートゾーン」と呼ばれる、シャープな形状のヘッドライトの間の部分にはレーダー/カメラが内蔵される。いっぽうで、ポールスター4には大胆にもルーフ部分をボディ背後にまで延長したうえでリアウィンドーを廃して、ルーフ全体におよぶグラスルーフを与えた。フルグラスエリアといえるルーフ部は、電子制御調光機能も備えている。このルーフデザインにより、ポールスター4は、エアロダイナミクスの向上を含めた美麗なスタイリングを成立させることに成功している。 ボディのボリューム中心を前方に設定しているため、後席空間の不足が懸念されるが、後席位置をを低めて、繭に包まれたような感覚を与えたとポールスターは主張する。 インテリアでは、持続可能性の確保への取り組みを進めている。内装材としてニット素材の100%リサイクルされたPET(ポリエチレンテレフターレート)表皮と「マイクロテック」と呼ばれるバイオ素材を設定。カーペット素材にもリサイクルPETなどが使用される。ドア内装パネルにはNFPP(ナチュナルファイバーポリプロピレン:木材繊維強化再生PP)製として、バージン材使用を50%以下としつつ、40%の軽量化を実現したという。

TAG: #SUV #ポールスター4 #上海モーターショー
Volvo Studio Tokyoの内観イメージ
TEXT:小川フミオ
ボルボが東京にEV特化型の施設をオープン。試乗は出来ても「売らない」ショールームの狙いとは

電動化を超積極的に推進するメーカーのひとつであるボルボ。彼らが先ごろ東京・青山にオープンしたショールーム「Volvo Studio Tokyo」は、私たちにとって新しいジャンルのクルマであるEVに特化し、その新鮮な世界観をユニークな演出でカスタマーにアピールしようとする施設だ。その空間を通して、彼らは何を伝えようとしているのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオがレポートする。 クルマを見せるだけの場所じゃない ボルボ・カー・ジャパンが、EVに特化したショールーム「Volvo Studio Tokyo」を、2023年4月8日にオープンした。 話題の理由は「Volvo StudioとしてEVに特化したのは、このVolvo Studio Tokyoが世界で初」(ボルボ・カー・ジャパン)というのがひとつ。 もうひとつ、注目すべきは、Volvo Studio Tokyoが、たんにクルマを見せるだけの場所にとどまらない、ということだ。 491平米の広い面積を持つショ−ルームでは、ボルボC40 リチャージとXC40 リチャージというピュアEVを展示。望めば、最長90分の試乗もできる。 Volvo Studio Tokyoがおもしろいのは、ボルボがEVを作った背景を理解し、EVのある生活をイメージするための場所ということ。 「デジタルネイティブ世代と言われる若年層のお客様にとっても垣根を低くし」ていると、ボルボではプレスリリースで、この施設の特徴を解説。 具体的には、来訪者は、じぶんのスマートフォンと、用意されたアプリを通じて、デジタルコンテンツを体験する。 施設内には「マーカー」が設定されている。それをスマートフォンのカメラで読み込むと、画面上で、ボルボの歴史やブランドストーリーや、トリビアクイズが展開。 ボルボ車のインフォテインメントシステムに組み込まれたGoogleアシスタント機能の体験や、展示車に乗り込み、ストックホルムの街を駆け抜けるEV走行のバーチャルドライブも楽しめる。 販売員がいないという「強み」 ショールームにいると、さまざまなひとが入ってくる。XC40 リチャージを友人たちと観にきた30代とおぼしき女性3人組もいれば、20代そこそこの男女も。 ボルボ車目当てでないひとのためにも、テーブルのマーカーを読み込むと、フィーカと呼ばれるスウェーデンのティータイム文化が紹介され、おいしそうなスイーツの画像も。 スイーツは食べられないけれど、いっしょに登場するコーヒーなら無料でサーブされる。またスウェーデン人が好きな屋外キャンプの風景もバーチャルで登場。 カメラの向こうがわに立つと、森の画像とともに撮影が可能。“映(ば)える”画像が残せる。Volvo Studio Tokyoを訪れた足跡がデジタルで残せる仕掛けなのだ。 「Volvo Studioは、現在、ストックホルム、ニューヨーク、上海、ワルシャワ、ミラノといった都市で展開中ですが、ここまでEVに振り切ったコンテンツは東京だけのものです」 ボルボ・カー・ジャパンで企業広報を担当する赤堀淳さんはそう語る。

TAG: #C40 #XC40 #ショールーム

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
シーライオン7が大好評で他モデルも絶好調! BYDが国内の単月登録台数で過去最高を記録
中古EVの購入不安が一気に解消! BYDが「10年30万km」のバッテリーSoH延長保証を認定中古車にも採用
南房総エリアの入口拠点に高速道路初の従量課金制ハイパーチャージャーを設置!  「ハイウェイオアシス富楽里」に150kW級の超急速充電ステーションがオープン
more
コラム
自動車メーカーですら苦戦する「EV」に電子やITメーカーが参入するのはなぜ? どこに「勝ち筋」を見いだしているのか
EVのスペシャリストが選出! 後世に語り継ぐべきEV遺産!!
BYDの更なる一手は欧州獲り!? ドルフィンサーフの投入で小型EVバトルはどうなる?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択