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燃費と加速性能を両立するカワサキのハイブリッドバイク[EICMA(ミラノモーターサイクルショー)レポート:その3]


TEXT:小川 勤
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EICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表されたカワサキのハイブリッドバイクと水素エンジンバイクについて、カワサキ側の考えを聞いて、実車を見て、モーターサイクルジャーナリストの小川さんが思ったこととは?

距離を走ることと加速。これが趣味領域のバイクに大切なこと

『125cc以上=距離を走る趣味の領域』はハイブリッド。これがカワサキの出したカーボンニュートラル化のひとつの答えである。フルEVや水素ももちろん開発しているが、まずは燃費を良くすることにカワサキは注力する。

それがエンジンと電気のハイブリッドバイクであるHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)モーターサイクルだ。数ある二輪メーカーの中でもハイブリッドに着目しているメーカーは少ないが、カワサキはその可能性を模索している。

「EVの開発を進めていると、125cc相当はEVの方が効率が良いことがわかってきました。しかしそれ以上になるとバッテリーも大きくなるし、コストもかかる。もちろん重たくもなります。でも、遠くには行きたい。街から出たいじゃないですか。ニンジャZX-10Rなどを開発しながら、頭の中でハイブリッドやりたいなとずっと燻っていました。

ガソリンエンジンのままではいつまでもカーボンニュートラルにならないけれど、ハイブリッドなら燃費をよくできます。四輪のハイブリッドは、燃費を良くすることにふっていますが、バイクだと燃費を狙うとファンの部分をつくるのが難しい。

だからカワサキのハイブリッドは、加速を楽しめるハイブリッドです」とカワサキの先進技術&カーボンニュートラルの総括部長である松田義基さん。

すでにテスト走行シーンも公開しているが、その加速性能はテストライダーも驚くほどなのだという。

「ゼロ・スタートからバンッといきます。加速感はまさしくエンジンとモーターを足した感じです。面白いのは間違いないんです」と語る松田さんの表情は自信に満ちている。

電動化の前に燃費を良くすることを考える

いま、欧州のガソリン価格は国によって変わるけれど1L1.5ユーロ以上で、日本よりも高い。クルマやバイクでの移動はコスト的に楽ではないのだ。さらに今後ガソリンはもっと高くなるだろう。

世界的にカーボンニュートラル化の話が進めば、ガソリンにはより多くの税金がかけられるようになり、反対にe-fuel(※)は税金を少なく、補助金などを出しながら価格を下げていく流れになる可能性が高いからだ。もちろん国にもよるが先進国ではこの流れになっていくのが妥当だ。
二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を原材料として製造する石油代替燃料

そんな時、やはり好燃費のバイクの方が良い。カワサキのハイブリッドは、もちろんe-fuelになった社会でも、恩恵を受けられる。

「燃費と加速を両立するのがカワサキのハイブリッドです。e-fuelになっても燃費が良い方がいいじゃないですか。技術的には大変です。難しいところもたくさんあります」と松田さん。

排気量などの詳細は発表されていないが、車体を見るとエンジンは並列2気筒だ。油圧のクラッチシステムでエンジンとEVを切り替えられるパラレルハイブリッドで、EVのみの走行も可能となっている。車体を見るとシステムが大きくなるハイブリッドの懸念をすでに克服しているのがわかる。

細かいディテールを見るほどに、テストライダーも驚いたというその加速を早く体感してみたくなる。

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