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最新のFCEVに乗って分かったBMWが“二刀流”を目指すワケ[BMW iX5 HYDROGEN海外試乗]


TEXT:清水和夫 PHOTO:BMW
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iX5 HYDROGENの走りは感動的

気になるパフォーマンスは0-100キロ加速が6秒以下と俊足ぶりを示し、最高速度は185km/h。アウトバーンの追い越し車線でエンジン車とタメに走るパフォーマンスを持っている。ちなみに、トヨタ・ミライの最高速は175km/hだが、0-100キロ加速は9秒台と、BMWとの差は大きい。だが、航続距離はミライは750kmと足が長い。

早速試乗を開始した。iX5 HYDROGENのステアリングを握りながら、まずベルギー郊外までドライブする。市内に敷かれた石畳路でも快適に走れるのは、気が利いたエアサスペンションのおかげだろう。X5というSUVをベースにしているので、デコボコ道でも不快な印象はない。町中のストップ&ゴーを繰り返すシティ・ドライブはとても静かで、レスポンスがよい加速が味わえた。

郊外に出てスロットルを目一杯踏み込むと、水素ポンプの音がかすかに聞こえるものの、プレミアムなSUVの乗り味は十分に感じられた。ベルギーの高速道路は120km/hに規制されているので最高速度は試せないが、それでも0-100キロ6秒以下のパフォーマンスは十分に体験できた。正直に告白すると、エンジン車を含めて、過去最高のX5だと確信した。駆動方式は後輪駆動のみだが、今後4WDが登場することについては否定していない。

iX5 HYDROGENは電気だけで駆動するので乗り味はBEVと似ているが、決定的に異なる点は重量が軽く、フットワークがよいということ。日本で試乗したBEVのiXよりもスポーティだ。また、充填時間はわずか5分程度と、BEVの欠点を補っている。途中で水素を充填してみたが、セルフで簡単に行うことができる。充填するノズルが軽いので女性でも使いやすい。

BMWは電気と水素のエキスパート

BMWはiX5 HYDROGENを発表したことで、トヨタとホンダとヒョンデに続いて、FCEVを市販する4番目のメーカーとなった。メルセデスもGLC F-CELLを市販したことがあったが、すぐに燃料電池の戦略を見直した結果、大型車にシフトすることを決定し、GLC F-CELLは廃止された。乗用車はBEVに専念する考えだ。

しかし、BMWは乗用車でもFCEVとBEVの二本柱が必要と考えている。充電時間が長いBEVが大量に普及すると、充電ステーションが数多く必要となり、社会コストは膨大なものとなる。さらに、コバルト、リチウム、ニッケルなどのレアメタルを必要としないFCEVはリサイクルも容易で、FCEVの開発によりBMWの地政学的な強靭性を高めることができる。

BMWのBEVの経験は2013年に市販したi3から始まっているが、最近ではiXやi7という高級車のBEVを積極的に販売している。しかし、BEVだけではカーボンニュートラルを達成できないと考え、水素で電気を発電して走るFCEVの市販化に踏み切った。BMWは2002年ごろに水素エンジン(水素で燃焼する内燃機関)を発表したこともあり、水素に関しては長い経験もある。つまり、BMWは電気と水素のエキスパートだったのだ。

カーボンニュートラルを達成するには、再生可能なエネルギーにシフトし、二次エネルギーである水素と電気を上手に使い分けることが必要なのである。BEV一本足打法では限界があり、大谷翔平のような二刀流が必要なのである。

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