年に一度のカスタムカーの祭典、「東京オートサロン2023」が1月13日(金)、幕を開けた。東京オートサロンでは、市販車をベースとしたカスタムカーのほか、往年の名車のレストア車や、市販化を視野に入れたコンセプトカーならびに参考出展車も顔を並べる。ここで紹介するトヨタ車体の出展車も、いわゆるチューニング系のカスタムカーではなく、メーカーが将来の商品企画を示唆するものとして、あるいは技術発表の場として展示する参考出展車だ。
トヨタ車体は、トヨタ自動車の系列会社。企画から生産までを手掛ける完成車両メーカーで、タフさで定評のある「ランドクルーザー」や「ハイエース」も同社の工場から生まれている。
オートサロンでは、ランドクルーザーの祖先であり、ジープのような古典的な佇まいで定評のある「40系」のボディと、現代の技術でタフネスに磨きがかけられたオフロードモデル「70系」のシャシーを組み合わせた参考出展車「ランドクルーザー40×ランドクルーザー70」を出展。いずれもマニア垂涎の名車だが、諸寸法の異なる両車を完全にマッチングさせたその完成度の高さは、生みの親ならではの仕事ぶりを感じさせるところ。

市販車をベースに独自の個性を際立たせるのもカスタマイズなら、時代を異にする2モデルを合体させてオリジナルさながらに完成させるのもカスタマイズである。今回の作例では、現代技術が生んだ70系の耐久性・走破性の高さと、過去の秀作「40系」のスタイリングを蘇らせた。メーカーの技術がこうした分野に発揮されれば、カスタマイズの可能性が広がるのは間違いない。そんな期待を抱かせる参考出展車だ。
くさて、そんなトヨタ車体のカスタマイズ技術を活かして生まれたのが、「Fun・COM(ファンコム)エクスプローラー」だ。ファンコム・エクスプローラーは、セブン-イレブンなどにも配備されている1人乗りBEV(バッテリー型ピュアEV)「コムス」をベースにアレンジされたモデル。今後普及するであろう、個人向け小型電動コミューターのひとつの可能性を示唆している。

ちなみに「コムス」は、昨今のEV化の波に乗って生まれた車両ではない。前身は、「エブリデーコムス」の名で2000年に誕生(当時はアラコ株式会社が製造)しており、20年以上の歴史があるEVコミューターだ。一般的なクルマなら3世代分にあたる年月を経てきたコムス。メーカー発表によると、2012年に登場した2代目コムスの登場から現在までに累計1万台を販売しているという。
ファンコム・エクスプローラーは、そのコムスのボディをデイリーユースで楽しめるスタイリングにカスタマイズされたもの。ルーフを取り払ったフルオープンスタイルは、アウトドアやレジャーユースで楽しめそう。コムスの新たな可能性を示唆する1台となっている。
なお、トヨタ車体はこのほかランドクルーザー300のダカールラリー仕様「ランドクルーザー TLC カスタム」を出展。今年度、同ラリーはサウジアラビアを舞台に12月31日から1月15日にかけて開催されており、TLC(チームランドクルーザー・トヨタオートボディ)は、新型車両となる「ランドクルーザー300」で参戦、10連覇を目指す。こちらのリザルトも楽しみだ。










































