回生ブレーキにも独自の主張が
e-tron GTクワトロには、EVらしくないところもある。それが回生ブレーキの効き方だ。標準の状態では、アクセルをオフにしても回生ブレーキは効かずに惰力走行を続け、ブレーキペダルを踏むとはじめて回生ブレーキや油圧ブレーキが効くことになる。アクセルをオフしたときにすぐに回生ブレーキを効かせたないなら、パドルで回生ブレーキの強さを「回生ブレーキなし」「弱め」「強め」の3段階で設定することも可能だ。しかし、強めの設定でも、他のEVに比べると減速は緩やかで、エンジン車の“エンジンブレーキ”に近い感覚。「減速したいときにはブレーキペダルを踏みなさい」という作り手の主張が伝わってくる。
一方、フットブレーキを使う場面では、常用する0.3G程度までの減速では油圧ブレーキの代わりに回生ブレーキで対応するため、このやり方でもしっかりとエネルギー回収が行われるのはいうまでもない。ふだんEVとエンジン車を交互に乗る人にとっては、同じスタイルで運転できるのは好都合だろう。
というわけで、グランツーリスモとしてとても魅力的な仕上がりを見せるe-tron GTクワトロ。EVでエキサイティングなドライビングを楽しみたい人は、ぜひ購入候補に加えてほしい一台である。
Audi e-tron GT quattro
全長:4,990mm
全幅:1,965mm
全高:1,415mm
ホイールベース:2,900mm
車両重量:2,290kg
前後重量配分:前1,140kg、後1,150kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:200Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:534km(WLTCモード)
システム最高出力:390kW(530ps)
システム最大トルク:640Nm
バッテリー総電力量:93.4kWh
モーター数:前1基、後1基
トランスミッション:前1速固定/後2速
駆動方式:4WD
フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン式
リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式
フロントブレーキ:ディスク
リアブレーキ:ディスク
タイヤサイズ:前245/45R20、後285/40R20
最小回転半径:5.5m
荷室容量:405L
車体本体価格:14,650,000円